連続インタビューVol.1 ビズリーチ・茂野氏「インサイドセールスが企業の成長に欠かせない理由とは?」

Vol.1『インサイドセールスが企業の成長に欠かせない理由とは?』

みなさん、こんにちは。

今回から隔週で全14回にわたり、株式会社ビズリーチのインサイドセールス部長 茂野氏のインタビュー記事を連載いたします!

今回の連載では、先進的な営業組織「インサイドセールス」にフォーカスしてインタビューして参ります。連載インタビューですので、「もっと、こんなことを聞いてみたい!」などのご意見があれば、コチラからご連絡頂けますと幸いです。皆さんを代表して質問をぶつけて参ります!

まず、茂野氏に連載インタビューさせていただくことになった経緯を簡単にご説明します。

Sales Hackerは「営業の未来を拓く智のインフラとなる」ことをミッションとして掲げています。そこで、先進的な営業に取り組む第一人者の連載インタビュー記事を作成することにしました。

人選にあたって、「先進的な取り組みをしている」「確固たる実績がある」「現場に近いマネジメント」「試行錯誤の上、失敗しながらも成功に至っている」という条件を並べて、真っ先に思いついたのが、茂野氏でした。

茂野氏は、ビズリーチ社のインサイドセールス部隊を創り上げて急成長する同社を支えている傍ら、Salesforce社主催のインサイドセールス分科会の会長を務めたり、様々な会社のインサイドセールス部隊起ち上げのアドバイスをしたり、社内外で広くご活躍なさっています。

そんな精力的な茂野氏は、いつもスケジュールがパンパンで分単位で活動しているので、半ば諦めモードでメッセンジャーでお願いしたところ、「良いっすよ!」とご快諾いただき、今回に至りました。
(茂野さん、ご多忙の折、本当にありがとうございますm(_ _)m)

というわけで、隔週で全12回にわたり、株式会社ビズリーチ インサイドセールス部 部長 茂野氏にロングインタビューを行って参ります。内容としては、以下を予定しておりますが、皆さんのご要望を受けて変更する可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。


  1. インサイドセールスが企業の成長に欠かせない理由とは?
  2. ビズリーチへの入社経緯と、ビズリーチがインサイドセールスに注力するきっかけ
  3. インサイドセールスチームの組織や採用について
  4. 人材育成・モチベーション管理・定量目標について
  5. 業務を円滑するために工夫しているポイント
  6. インサイドセールス導入後に注意すべき、組織間のコミュニケーションや体制構築
  7. インサイドセールス導入時に絶対にやってはいけない事
  8. インサイドセールス導入後にやってはいけない事。インサイドセールスに向いている人は?
  9. スランプに陥ったときにはどうすれば良いのか?
  10. 現時点の残課題と、今後の展望。茂野さんが説く理想のインサイドセールスとは?
  11. よくある質問に徹底的に答えます Part1
  12. よくある質問に徹底的に答えます Part2



株式会社ビズリーチ
キャリアカンパニービジネスマーケティング本部 インサイドセールス部 部長
茂野 明彦氏 / Akihiko Shigeno
大手インテリアメーカーを経て、人材系ベンチャー企業に転職。5年間大手通信会社に出向後、自社に戻り研修事業を立ち上げる。2012年8月、株式会社セールスフォース・ドットコムに入社し、グローバルで初のインサイドセールス企画トレーニング部門立ち上げに携わる。2016年12月、ビズリーチ入社。現在は、インサイドセールスグループとマーケティンググループを統括する。
※所属・役職等は取材時のものです。

インサイドセールスで覚醒!

——本日はよろしくお願いいたします。

茂野 明彦氏(以下、敬称略)
よろしくお願いいたします。

——早速ですが、茂野さんはこれまでどのようなお仕事をされてきましたか?

茂野
これまでインテリアメーカー、人材系スタートアップ、セールスフォース・ドットコムで、インサイドセールスの仕事をしてきました。主にフィールドセールスですが、前職のセールスフォース・ドットコムではインサイドセールスを経験しました。

——前職でインサイドセールスを経験するキッカケは何だったのですか?

茂野
元々はフィールドセールスを希望していましたが、IT経験がなかったため、まずはインサイドセールスから始めることになりました。インサイドセールスという言葉自体全く知らなかったのですが、「これはすごい!この仕組み、みんな使えばいいのに」と思いました。「何もしていなくても勝手にカレンダーが埋まっていくし、お客様への詳細なヒアリングも付いているし。なんて素晴らしいんだろう」と感じました。インサイドセールスによって、フィールドセールスがお客様に向き合う時間が増えますし、商談に集中できるので、セールス組織全体にとってとても良いことだと感じたのを覚えています。

なぜ成功したかを体系化せよ!

——インサイドセールスについては後ほど深堀りするので、ちょっと横に置いて、営業全体について伺います。

——いままで多様な営業キャリアを歩んできたなかで、営業に目覚めた瞬間はどんな時ですか?

茂野
大幅に目標達成した時、ブレークスルーした感覚がありました。
人材系スタートアップ企業に在籍していた時、出向先で目標1,400%達成しました。

この大幅達成は、ゼロから新規顧客を開拓して成し遂げた訳ではなく、既存顧客へのアプローチ方法を変えたことで得られたものなんです。この時、新規顧客を開拓しなくても、既存顧客へのアプローチを工夫して変えることで、圧倒的な成果につながるんだなと感じました。

その成果を上司に報告したとき、今でも忘れられない言葉を上司から言われました。
「なぜ成功したかを体系化しなさい。そうしないと、お前は成功したんじゃなくて、成功しちゃったんだ。」と。

営業って、実際はとてもクリエイティブで、アプローチの仕方によって結果は大きく変わるし、それを体系化できないと良しとされないと思い知らされました。

その時にセールスはとても面白いと感じ、「成功の再現性」を追求する熱意が生まれました。この熱意が生まれた瞬間が、営業に目覚めた瞬間です。

——茂野さんにとってセールスの本質とは?

茂野
時代によって変わるかなと思います。

昔は、リレーションシップビルダー(Relationship Builder)、コミュニケーションビルダー(Communication Builder)が重視されていたと思います。いわゆる、顧客との「関係構築」です。

その後に出てきたのが、ソリューションセリング(Solution Selling )や、リアクティブ プロブレム ソルバー(Reactive Problem Solver)。この人に言えば何でも問題を解決してくれるという「課題解決力」です。つまり、「関係構築できる人=信頼できる人」だったものが、「課題解決してくれる人=信頼できる人」に変わったということです。時間の遷り変わりと共に、信頼の形が変わったと思います。

そして、今の時代はチャレンジャー(Challenger)や、インサイトセールス(Insight Sales)というような、攻めの論客タイプが重宝される。自分が知らないことを教えてくれる、自分の価値観を変えてくれる、衝撃的なコミュニケーションをとってくれる人が求められていると思います。情報が溢れている現代では、情報そのものの相対的価値が低くなっているため、これまで培ってきた価値観の外側というか裏側に踏み込んでくれる人に価値があると思います。ですので、現代におけるセールスの本質は、「いかにインサイトを与えるか」ということだと思います。

サッカーで例えるなら司令塔の役割を果たすミッドフィルダー

——これまで多業界の様々な規模の会社をご経験なさっていますが、キャリア選択の軸として、「成長企業か否か」と「単純におもしろいか否か」の2軸があるように思います。
「成長」と「おもしろさ」という二つのキーワードでインサイドセールスを読み解くとどうなるでしょうか?

——まずは、「成長」。インサイドセールスが企業の成長に欠かせないのはなぜですか?

茂野
一言でいうと、リモートでコミュニケーションする為、生産性が高く、今まで物理的にリーチできなかった企業様にもリーチできるからです。

スタートアップは最初から大きなリソースがないですし、営業の訪問数にも限界があります。
例えば、リソースが無いなかでプロダクトを作るときには、小さくても良いので試作品をいくつも作ってどんどん改善していきますよね。営業も一緒で、経験を積み重ねることで質が向上していくという考え方があります。

どうしたらスピーディーに数多くの経験を積めるかというと、フィールドセールスとインサイドセールスを分業する必要があります。インサイドセールスを導入すると人が成長するし、結果として企業も成長していきます。量質転化の法則です。
よって、最初はまず経験を素早く蓄積していくことが重要で、次第に課題がみえてきて、成功がみえてくるのです。

初めてインサイドセールスに触れたとき、「お客様に会わずにクロージングするなんてなんて非常識な?」と思いました(笑)
事実、当初はお客様にも抵抗があったように感じましたが、4,5年前からポジティブに捉えてくれるお客様が増えてきました。また、「遠くて訪問できない」と他社から断られたエリアのお客様にも、インサイドセールスであればちゃんと説明し、アプローチすることができます。

さらにビズリーチのインサイドセールスチームではスピードという掛け算もできます。遠くて会えないお客様に対し、今日の午後でも明日の昼でも「今見たい、早く知りたい、すぐ使いたい」というご要望にお応えすることが出来ますので。

——次に、「おもしろさ」。インサイドセールスの面白さって何ですか?

茂野
個人としての面白み、組織としての面白み、2つの面白みがあります。

個人としての面白みは、サッカーで例えると、司令塔的な役割を果たすミッドフィルダーになれることです。仲間から最適なタイミング・場所でボールを貰って、フォワードが欲しいところにパスを出す。つまりゲームメーカー、チャンスメーカーですね。インサイドセールスが、試合をつくっていく。これは面白いと思いました。

あと、インサイドセールスは自分で自分の仕事の価値観を決めることができる仕事です。インサイドセールス=テレアポというイメージを持っている人もいますが、全然違います。
アポ取りだけしようと思えばアポ取りだけで終わるけど、フィールドセールスがお客様のところへ行ったら直ぐに注文書を受け取れる状態で引き継ぐことも出来る。考え方ひとつで、仕事の幅が全く変わってくるのは、面白いと思います。

組織として面白みですと、企業成長の話と被ってしまいますが、人のキャリアの選択肢を増やすことができる仕事だと考えています。

どこかの業界に一度入ってしまうと、他の業界に移るのって日本だと難しい場合も多くあります。だけど、インサイドセールスによって業界の壁が溶けて職業選択の自由が増します。

どういうことかというと、卓越した営業スキルがなくとも、量質転化の法則で自然と営業力が身に付くので、他業界から来ても毎日多くのお客様と接するなかで抱えている課題が見えてきますし、それに対する解決策も上手く説明できるようになります。

若くて優秀な人を採用したいと思う企業でも、すぐに成果を出せるポジションばかりではないので、なかなか採用に踏み切れないというケースも少なからずあります。素質のある優秀な若手をまずはインサイドセールスに配属して、その後色々な部署に再配属するという人材の受け皿・インキュベーション的な役割を果たすのは、面白いと考えています。

次回予告

さて、まだまだお話は続きますが、今回はここまでとさせて頂きます。
次回は「ビズリーチ入社に至った経緯」や「入社後に取り組んだこと」、そして「ビズリーチがインサイドセールスに注力する理由」について公開予定ですのでお楽しみに!

 


株式会社ビズリーチについて

「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションとし、2009年4月より、人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRテック・ベンチャー。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、シンガポールに拠点を持ち、従業員数は1,238名(2018年6月現在)。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、AI技術を活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」、求人検索エンジン「スタンバイ」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」などを展開。
参照URL:https://www.bizreach.co.jp/