連続インタビューVol.9 ビズリーチ・茂野氏「スランプに陥ったときにはどうすれば良いのか?」

みなさん、こんにちは。

株式会社ビズリーチ インサイドセールス部 部長 茂野 明彦氏へのロングインタビュー、第9回です。

前回は、「インサイドセールス導入後にやってはいけないこと」、「インサイドセールスに向いている人は?」を中心にお話を伺いました。

今回は「インサイドセールスの採用について」、「スランプに陥ったときにはどうすれば良いのか?」についてお話していただきました。
また、今回もインサイドセールスグループ マネージャー高田 佳政氏にも登場いただきます。


株式会社ビズリーチ
キャリアカンパニービジネスマーケティング本部 インサイドセールス部 部長
茂野 明彦氏 / Akihiko Shigeno
大手インテリアメーカーを経て、人材系ベンチャー企業に転職。5年間大手通信会社に出向後、自社に戻り研修事業を立ち上げる。2012年8月、株式会社セールスフォース・ドットコムに入社し、グローバルで初のインサイドセールス企画トレーニング部門立ち上げに携わる。2016年12月、ビズリーチ入社。現在は、インサイドセールスグループとマーケティンググループを統括する。

ビジネスマーケティング部 インサイドセールスグループ マネージャー
高田 佳政氏 / Yoshimasa Takata
2015年 ビズリーチに入社。
主にスタートアップ、ベンチャー、中小企業様を担当し、ダイレクト・リクルーティングコンサルタントとして採用と事業成長を支援。ビジネスマーケティング部 インサイドセールスグループのマネージャーとして組織をまとめる。
※所属・役職等はインタビュー取材時のものです。

インサイドセールスは成功するための近道

――インサイドセールスチームの立ち上げ時期とチーム拡大時期で比べると、採用要件は異なりますか?

茂野
はい、異なります。
立ち上げ時期はパフォーマーを揃えたほうが良いと思います。

ビズリーチでも立ち上げ時期はパフォーマーを中心に採用していました。しかし、やはりパフォーマーだけですと、良い組織になっていかないため、拡大時期にはユニコーンやカルチャービルダーの採用を行っていきました。
(パフォーマーやユニコーン、カルチャービルダーについての過去インタビュー記事はコチラ

――ビズリーチさんはインサイドセールスチームに元営業以外の人も採用しているとお聞きしたことがありますが、それはなぜでしょうか?

茂野
10年間営業に取り組んでいるトップパフォーマーとなれば話は違いますが、若年層の場合は経験で判断をすることが難しいためです。

1年間営業経験がある=セールスに適正がある、とは言い切れないですよね。
ですので、基本的にはポテンシャルで採用しています。

ビズリーチのインサイドセールスチームの中でMVPを取ったメンバーのひとりには元アパレルで活躍していた社員がいます。また、トレーナーとして活躍しているメンバーやトップパフォーマーの中には元ウェディングプランナーとして仕事をしていた者もいます。

――インサイドセールスの雇用形態に関して、正社員ではなく、派遣社員やアルバイトはいけないのでしょうか?

茂野
派遣社員やアルバイトなど色々な形があって良いと思っています。

重要なことは長期的に顧客と関係性を築ける態勢が出来るかです。お客様にとって、誰から電話が掛かってきたかというのは大事だと思いますし、長期的なコミュニケーションを活かして商談を作ることもあります。

週2日のアルバイトでも良いのですが、ある程度の期間コンスタントに出勤できることが求められます。その態勢が築けるのであれば、雇用形態に固執しなくても良いと思います。

欧米の外資系企業では学生をインターンとして採用し、インサイドセールスチームに配属、意向次第で正社員登用するというケースがあります。
やはり大切なことは長期的な顧客との関係性を構築することが重要であるという前提を持っているかです。

――ビズリーチさんのインサイドセールスは25~28歳くらいの若手メンバーが多いですが、それはなぜでしょうか?

茂野
パフォーマンスの高さです。

Rules of Engagementというルールブック(詳細はコチラ)を見て頂けると分かりやすいのですが、インサイドセールスは覚えることが非常に多く、またマーケティングの知識やツールを使いこなす力も求められます。

よって、ITリテラシーの高さ、柔軟性や吸収力の高さ、素直さ、伸びしろの高さなど様々な素養が必要になります。それらの点を考えると若手のほうが向いていると感じています。

――ビズリーチでは若手はインサイドセールスからスタートすることが多いですが、フィールドセールスを早くやりたいという方にはどのような対応やモチベーション管理をしますか?

茂野
その点に関しては、モチベーションを管理することはありません。事実をそのまま伝えます。

その事実とは「経験が無い人の直接配属はない」ということと「インサイドセールス出身のほうがフィールドセールスに異動した際の初速が早い」という事実です。ビズリーチでは沢山のインサイドセールス出身者が成功を収めていますから。

同時に「なぜビズリーチにおいてセールスをしたいのか?」というゴールを聞くことです。

なぜならば、インサイドセールスはその答えを解決するための近道であることが多いからです。ビズリーチのインサイドセールスは沢山のお客様の課題を聞くことができ、ヒアリング能力も養うことが出来ます。量が多いためPDCAを回しやすいですし、それらを管理するためのツールの知識も手に入ります。

このようにセールススキルを磨くための地盤があるのがインサイドセールスです。先程の質問に「セールス力を高めたい」、「売れるセールスになりたい」、「顧客の課題を掴みたい」などの返答が多いですが、それはインサイドセールスの仕事と紐づきます。ですので、彼らの考えを深堀した上で、インサイドセールスを推奨しています。

見えない敵と戦わない

――インサイドセールスのマネージャーには、どのような心構えや素養が必要ですか?
――良いインサイドセールスマネージャーに共通していることはありますか?

茂野
パフォーマンスが高いという意味ではやはり量を出来る人です。

それは量を行うために必要な構造化力や論理的な思考力といった要素を兼ね備えている人と言えます。またツールの使い方も上手いです。見るポイントや効率化のための工夫が見られますし、複雑なレポートダッシュボードを作れる人は優秀です。

また、先程の答えとは相反しますが、良い意味でスイッチを切れる人も挙げられます。例えば、「今は電話をする時間でそれ以外はしない」など、プレイヤー・マネージャーに限らず集中力が高い人は優秀な方が多いと思います。

またインサイドセールスとしてユニークなのはツールです。SFA/CRMなどを効果的に使える人はマネージャーとしても優秀です。彼らに共通するのは定性的なことをほとんど言わないということです。

「最近元気ないね、頑張っていこう」ではなく「最近アベレージに比べて20%ぐらいコール量が下がっているけど何かあったの?」と定量的な指摘が出来ます。特に若手のメンバーは率直で事実に基づいたフィードバックを求めることが多いので、それを言えるかどうかは大きいと思います。

――セールスの仕事は、プロスポーツ選手と同じでスランプがあると思うのですが、スランプに陥った時の対処法はありますか?

茂野
これはとてもシンプルで、見えない敵や不安と戦わないことです。

例えば、「商談が取れなくて困った。なかなか電話が繋がらない。」と考えてしまうことが1番良くないです。インサイドセールスの仕事は全て数字で分解出来るため、数字と向き合うことが1番最初にすべきことです。

また定性的な面では、何日か商談が取れないと取り方自体が分からなくなることがあります。例えば、「いつ日程の話を切り出したら良いんだろう?」となってしまいます。

そのような時の対処法として、お客様とお話する機会だけを取ることを目的に電話することもあります。お客様の条件など色々なことがありますけど、まずはとにかく興味を持ってもらい、時間をいただくということだけに集中して、1件商談機会を取れれば、その後が変わってきます。

――なるほど。。。勉強になります。
――もし悪循環に陥りそうなメンバーには、マネージャーが因数分解してあげて、「ここが◯◯だから、もっと◯◯しよう!」と声を掛けてあげるイメージですね。

茂野
はい、そうですね。
例えば、電話がつながらないと悩んでいるメンバーに、「コネクトの率は他のメンバーと比べても変わらないから、だとしたらコール量を増やせば今のままでも全然変わるよね」みたいな話をしてあげると、スランプ解消のキッカケになると思います。

変化を見逃さない

――スランプに予兆はあるのでしょうか?

茂野
急な休みや遅刻が増えるといった勤怠の乱れは予兆として分かりやすいです。

また、インサイドセールスは社内にいることが多いため、表情や見た目、発言などの変化から予兆を伺えることも多いです。愚痴が相対的に多くなり他責傾向になる、服装が乱れるなどは具体例として散見されます。

コールアクティビティの低下や、受注率が落ち始めているなども予兆として捉えるべきではあるのですが、プラスアルファとしてそうした定性的な所でも判断する必要があります。

――マネジメントとして、スランプに陥らないように心掛けていることはありますか?

茂野
外で息抜きが出来るフィールドセールスとは異なり、インサイドセールスはオフィスの中での仕事のため、スランプに陥りやすい傾向にあると言えます。逆に言えば、メンバーを常に見ることができる環境であるからこそ、しっかりとメンバーの変化を見てあげるということは大事な部分だと思います。

高田
ビズリーチのインサイドセールスチームはマネージャーが複数名いますが、マネージャーも人間なので得意不得意があります。そのため、マネージャー同士で体調管理や勤怠について声掛けする人、励ましの声掛けをする人などといった役割分担をしていました。またマネージャーだけでメンバーと会話するのではなく、他部門を巻き込んで全社でコミュニケーションをとることも行っています。

前提として大切な点は「数字以外もしっかりと見ているよ」というコミュニケーションを取ることだと思います。ビズリーチの場合は1on1 ミーティングを週1で行っていますので、そこでしっかりとコミュニケーションを取ることを心掛けています。

次回予告

さて、お話はまだまだ続きますが、第8回はここまでとさせて頂きます。
次回は「現時点での残課題と今後の展望は?」、「理想のインサイドセールスとは?」について公開予定ですのでお楽しみに!

【過去記事】
第1回インタビュー記事「インサイドセールスが企業の成長に欠かせない理由とは?」
第2回インタビュー記事「ビズリーチがインサイドセールスに注力する理由」
第3回インタビュー記事「インサイドセールスチームの組織や採用」
第4回インタビュー記事「人材育成・モチベーション管理・定量目標」
第5回インタビュー記事「業務を円滑にするために工夫しているポイント」
第6回インタビュー記事「インサイドセールス導入後に注意すべき、組織間のコミュニケーションや体制構築」
第7回インタビュー記事「インサイドセールス導入時にやってはいけないこと、やるべきこと」
第8回インタビュー記事「インサイドセールスに向いている人は?」

 

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株式会社ビズリーチについて

「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションとし、2009年4月より、人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRテック・ベンチャー。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、シンガポールに拠点を持ち、従業員数は1,238名(2018年6月現在)。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、AI技術を活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」、求人検索エンジン「スタンバイ」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」などを展開。
参照URL:https://www.bizreach.co.jp/