(はじめに)
コールセンターの運営効率化のために、ATT(平均通話時間)を短縮することは大切です。
ATT短縮の必要性について理解して取り組むことで、業務効率化やコスト削減だけではなく、顧客満足度を上げることもできます。そのため、コールセンターを運営する管理職の方はATT短縮の実現を目指して取り組みましょう。
この記事では、ATT短縮を実現するためのポイントについて詳しく解説します。
目次
ATT(平均通話時間)が長くなるオペレーターの特徴
ATT(Average Talk Time)とは、オペレーターの平均通話時間をいいます。ATTの短縮はコールセンターの生産性向上のために必要不可欠です。
オペレーターは、お客様の課題や要望は丁寧にヒアリングして解決策を提案する必要がありますが、工夫次第でATT(平均通話時間)を短縮できます。ATTが長くなるオペレーターには、以下のような特徴があるからです。
【ATTが長くなるオペレーターの特徴】
- ATT短縮の重要性に気付かずに無駄話が多い
- 質問に回答するまでに時間がかかる
- 過去に尋ねた内容を繰り返し聞いている
- 難しい専門用語を使用して説明している
- 顧客が理解している内容まで説明している
上記の問題点を改善していけば、ATTの短縮はできます。
ATT短縮のメリット
ATT短縮の必要性とは何なのでしょうか?次に、ATT短縮のメリットについて解説します。
生産性向上
ATTを短縮することで、コールセンター全体の生産性を向上させられます。1人の顧客に対する平均通話時間を短縮できれば、業務時間中に対応できる顧客数は増やせます。回転率を上げていくためにもATTを短縮していく必要があるのです。
コスト削減
コールセンターを立ち上げる際に、最も気になることは「コスト」です。コールセンターの人件費を削減するために、少ない人員で現場を回したい方もいるでしょう。ATTを短縮すれば、1人当たりの対応件数が増えるため、少ない人員でコールセンターを運営していけます。
顧客満足度の向上
顧客満足度を向上させるためには、お客様の課題や要望を丁寧にヒアリングして提案することが大切だと思われがちです。
しかし、お客様は根本的に「問題を早く解決したい」という気持ちを抱いています。お客様の疑問に素早く回答してあげることが顧客満足度の向上に繋がるのです。そのため、オペレーターは丁寧で素早い対応を目指す必要があります。
ATT短縮のための指導方法
コールセンターを効率的に運営していくためには、各担当者への指導が欠かせません。実際に、どのような指導を行えばよいのでしょうか?次にATT短縮を実現するための指導方法をご紹介します。
1.ATTが長い担当者を見つける
まずは、インサイドセールス担当者の平均通話時間を確認します。AI搭載IP型電話を搭載するなど、各オペレーターの平均通話時間や通話内容を可視化できるツールを導入しましょう。
データ収集をして、コールセンター全体の平均通話時間を把握して、許容範囲の時間を設定します。設定した通話時間より長いオペレーターを見つけていきます。
2.コールフローを分解して課題を見つける
ATTが長いオペレーターを指導する前に、コールフローを分解して課題を見つけておきます。
オペレーターのスキルに応じて適切にお問い合わせを振り分けていない結果、平均通話時間が長くなっている恐れもあります。そのため、コールフローを分解して課題を見つけておきましょう。
3.担当者の通話を確認して指導する
次に、各オペレーターの通話内容を聞いてみて問題点を改善していきます。
例えば、顧客の質問に対して素早く回答できないため平均通話時間が長くなっていることを指摘して、改善方法を提示します。指導をする場合は、目標の通話時間を提示せずに、現在の平均通話時間を少しずつ改善していくことが大切です。
(参考:ICMI「HERE’S A BETTER WAY TO COACH AVERAGE TALK TIME」)
ATT短縮の実現を加速させるコツ
各オペレーターの指導はATT短縮に必要不可欠ですが、より効率的な運営を実現するために、以下のようなものを整備しておきましょう。
トークスクリプトを作成しておく
各オペレーターの平均通話時間を均一化するために、トークスクリプトを作成しておきましょう。トークスクリプトとは、お客様の課題や要望に添った対応方法を記載したマニュアルです。
トークスクリプトを作成しておけば、スムーズな対応が実現できます。
スキルアップ研修を開催する
ATT短縮のためにスキルアップ研修の開催を検討してみましょう。オペレーターの中には、ATT短縮の重要性に気付かずに無駄話をしている方もいます。このような方には、オペレーションの基礎知識を教える必要があります。
また、成果を出しているオペレーターの通話内容を共有すれば、コールセンター全体のボトムアップが実現できるでしょう。商品やサービスに関する知識を身に付けるための研修など、さまざまな研修が開催えきるはずです。
どのような研修が必要であるかを考えて、定期的にスキルアップの場を設けましょう。
FAQを作成する
顧客の質問に対して素早く回答できないオペレーターもいます。このような問題を解決するために、FAQを作成しておきましょう。
FAQとは、お客様からの質問をまとめたものです。質問の回答を瞬時に取り出すことで、保留時間を削減できます。そのため、コールセンターの運用効率化にFAQは欠かせません。FAQは1度作成したら終わりではなく、定期的に見直してください。
AI搭載型の電話を導入する
顧客満足度が高いオペレーターは、高い技術力を身に付けています。例えば、話速やTalk:Listen率、被り率によって顧客満足度は変わります。そのため、通話内容を分析できる音声システムを導入してみてください。
成果を出している担当者と成果が出ない担当者の通話を比較することで、どこに問題があるかを検証していけます。また、ACW(平均後処理時間)を短縮するために、通話内容の文字起こしができる音声システムを導入すれば、大幅に業務効率化ができます。 ちなみに、ACWを短縮する方法についてはこちらの記事「アフターコールワーク(ACW)の効率化とは?具体的な改善方法と企業事例」をご覧ください。
ATT短縮を実現するための注意点
ATT短縮を実現するための方法をご紹介しましたが、実施する際には以下のような点に気をつけてください。
各オペレーターのコールデータを蓄積する
オペレーターの指導をする場合は、その都度の通話内容に指摘するものではありません。コールデータを蓄積して、そのオペレーターの癖を見つけてあげることが重要です。
問題になっている癖を改善することで、ATTが大幅に短縮できます。そのため、コールデータを蓄積していきましょう。
FAQは一元管理して共有しておく
FAQは使用しやすいのであれば、紙のマニュアルでも問題がありません。しかし、紙のマニュアルだと検索に時間がかかるため、検索性の高いFAQシステムを導入しましょう。
また、マニュアルは社内共有しましょう。マニュアルを社内共有することで、オペレーターの品質の均一化を実現できます。
音声認識の精度が高いシステムを導入する
ATT短縮のためには、各オペレーターのコールデータを蓄積して分析することが大切だと述べました。このような指導を実現するためには、音声認識システムが欠かせません。精度が高い音声システムを導入することで、問題点を見つけることができ、効率的に改善していけます。
応対品質との両立を考慮する
ATTの短縮で応対品質が下がり、顧客満足度の低下にならないようにしなければなりません。品質管理担当者によるフィードバックや顧客の声をコミュニケーターの評価基準に取り入れたりすることで、応対品質を維持することが大切です。
まとめ
ATT(平均通話時間)を短縮することで、コールセンターの生産性向上やコスト削減、顧客満足度の向上に繋がります。そのため、管理職の方はATT短縮のための教育を実施していきましょう。最後に、ATT短縮のためのポイントをおさらいしておきましょう。
【ATT短縮の実現を加速させるコツ】
- トークスクリプトを作成しておく
- スキルアップ研修を開催する
- FAQを作成する
- AI搭載型音声システムを導入する
【ATT短縮を実現するための注意点】
- 各担当者のコールデータを蓄積する
- FAQは一元管理して共有しておく
- 音声認識精度が高いシステムを導入する
- 応対品質との両立を考慮する
ぜひ、コールセンターを運営する管理職の方は、これを機会にATT短縮を目指してみてください。