無敗営業 -チーム戦略- オンライン+オフラインのハイブリッド営業の基本【後編】

2021年7月9日に開催した『「一段上」のハイブリッドセミナー』を要約しましたので、無敗営業チームを結成したい方は参考にしてみてください。


TORiX株式会社 代表取締役 高橋浩一氏

東京大学経済学部卒業。1日100件のテレアポ新規開拓や数十人の営業組織をゼロから作り、アルー株式会社上場に向けた足がかりに貢献。2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業を中心に50業種3万人以上の営業強化を支援。行動変容を促す構造的アプローチに基づき、年間200本の研修、800件のコンサルティングを実施。自らがプレゼンしたコンペ勝利率は100%を誇り、「無敗営業チーム戦略」は6万部以上の大ヒットを記録。

企業URL:https://www.torix-corp.com/

Twitter: https://twitter.com/takahashikoichi?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor


無敗営業を実現するためには、顧客心理の現状維持バイアスを理解した上で、二人三脚で合意を形成していくこ必要があります。どのような営業手法であれば、顧客の合意が得られるのでしょうか?

この記事では、ハイブリッド営業(オンライン+オフライン)を最大限に活用した無敗営業の手法について分かりやすく解説します。

【基礎】無敗営業で「気持ちよく」顧客の合意を得る方法

無敗営業を実現するためには、商談の場の作り方が大切です。どのように商談を進行していけばよいのでしょうか?

書籍『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)でも解説されていますが、ここでは、商談の場の作り方についてお伝えします。

1.商談の進め方は「W型」を意識する

顧客心理には現状維持バイアスが作用しています。そのため、顧客の発言を拾った上での提案が高い効果を発揮します。

  • どのタイミングで相手にボールを渡すか
  • どこまで話を深堀りして顧客に寄り添うか
  • どのタイミングでリードをするか

上記に記載した3つのポイントを商談の場の作り方として、考慮する必要があります。結論を説明すると「W字型」で商談の場を進行すれば、相手の合意は得やすくなります。

商談を前半と後半に区切り、前半で顧客側にボールを渡してヒアリングをしてください。中間地点で、顧客の発言を簡単にまとめて受け入れた姿勢を示します。後半で、ポイントを絞り込み議論することで、顧客の納得感が醸成できて合意が得やすくなります。

大切なことは、中間時点で簡単に話をまとめることです。このような進行を行えば、顧客が納得できて有意義に感じる商談の場が実現できます。

2.具体的な問いかけで応えやすくする

商談でよく発生する問題が、顧客の反応の薄さです。商談の場を設けているにも関わらず「商談中に不明点を確認できなかったことがある。」と約7割の人が回答しています。不明点が確認できなかった主な原因として、以下のようなものが挙げられています。

  • どこがわかりにくいか説明するのが難しかった
  • 確認するタイミングが与えられなかった
  • 不明点は後から聞けばいいと思った

顧客側は上記のような悩みを抱えているため、フォローをしてあげましょう。

「他社では、〇〇のような悩みを聞くのですが、そのようなお悩みは抱えていませんか?」と回答しやすい質問を投げてあげると、顧客の課題が聞きやすくなります。

3.顧客の話に耳を傾けて深堀りする

顧客側の納得感を醸成するために、相手の話を深堀りしてください。顧客に自分を理解してくれる味方だと認識してもらえて、合意が得やすくなります。相手の話を深堀りするタイミングは下記の通りです。

ビジョンや目標の名言 組織や個人のビジョン、目標を強調してきたとき
繰り返し出てくる発言 同じキーワードが繰り返し登場してきたとき
理想と現実のギャップ 現在抱えている問題(理想と現実のギャップ)を話したとき
周囲と本人のギャップ 周囲との意見の食い違いが発生しているなど、現状の悩みを訴えかけてきたとき
ジレンマ 相手がジレンマを感じていそうなとき

4.追加情報はタイミングを見極める

顧客の納得感を醸成する商談の場の作り方では、適切なタイミングで追加情報を提供します。営業資料は1つにまとめるのではなく、コンテンツ毎に用意をしておきましょう。

顧客側から話を深堀りできた後に、課題解決や要望を実現できる追加情報を提供することで「自分を理解してくれている担当者の話は受け入れよう」と心理に作用します。

最初から、情報を出してしまうと「どうせ営業トークだ…」だと敬遠されてしまうので、情報提供はタイミングは見極めてください。

5.次のアクションを最後に伝える

商談の最後には、必ず次のアクションを確認しましょう。次のアクションを伝えずに商談を終えてしまうと、メールの返信が来なくなるなど、気まずい関係になってしまいます。顧客との連絡が途絶えないように、検討上のネックやリクエストを確認しておき、今後のコミュニケーションの許可を得ておくことがポイントです。

次のアクションを約束せずに、メールの返信が来なくなっても、リマインドをしてはいけません。返事が来なかった場合に気まずい関係になってしまいます。このような関係性に陥った場合は、お役立ち情報を配信して関係を繋いでおきましょう。

【応用】無敗営業で「気持ちよく」顧客の合意を得る方法

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リモート化が進み、オンライン商談の機会が増えました。オンライン商談は移動時間を削減して、営業活動時間を最大化できるメリットがあります。それだけではなく、メモや資料の画面共有や共同編集など言葉の見える化がしやすいです。

これらの特徴を活かしたオンライン商談であれば、契約が獲得しやすくなります。具体的に、どのような営業手法を行えばよいのでしょうか?ここでは、オンライン商談上における顧客との合意形成の方法について解説します。

1.オンライン商談前に資料を共有しておく

顧客側がオンライン商談の進行方法で求めていることは、下記の通りです。

  • 課題や意向を事前に把握したい
  • 段取りや当日の資料、注意点を事前に示して欲しい
  • 資料説明やプレゼンの焦点を示して欲しい

オンライン商談で、顧客側は段取りを求めていることが調査結果から分かります。全ての資料を共有する必要はありませんが、議題の部分の資料は渡しておきましょう。

オンライン商談前に何を話し合うかを把握できることで、お客様から質問される機会が増えます。有意義なオンライン商談には、事前準備が欠かせません。

2.リアルタイムの議事録を活用する

顧客側に情報提供する場合は、視覚に訴求すると高い効果が得られます。メラビアンの法則では、視覚情報が最も効果的であることが証明されています。視覚に訴求する情報提供は、リアルタイム議事録で実現が可能です。

オンライン商談であれば、画面共有をしながら商談を進めていけます。メモを共有して、顧客と一緒に議論しながらメモを作成していくことで解像度が一気に挙げられます。

商談で顧客が陥りがちな不明点をクリアにしていけるのです。

補足:複数人数のオンライン商談は「WV型」

複数人に対してオンライン商談を実施する場合は「WV型」の商談の場を作りましょう。前半で顧客から話を聞いた後に話を簡単にまとめます。中間地点で、社内検討のためのブレイクアウトルームを設けるのです。

中間地点で、話し合ってもらうことで、クロージングがかけやすくなります。ブレイクアウトルームを設けることは、商談の日程調整時に伝えておきましょう。 

商談前にお客様と接点を作る方法

商談の場の進行方法について解説しましたが、顧客育成の方法について学んでおきましょう。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、顧客接点は難しくなりました。

しかし、ハイブリッド営業(オフライン+オンライン)を主軸に考えれば、顧客接点が作りやすくなります。「メール」「電話」「オンライン商談」「対面営業」をフル活用したハイブリッド営業のポイントを押さえておきましょう。

1.お役立ちメールを配信する

メールを送る場合は、テンプレートを使用したものを送るのは控えてください。顧客の課題や要望に見合った「お役立ち情報」を配信して、顧客との信頼関係を育てましょう。

お役立ち情報は、各担当者で管理するのではなく、組織全体で共有してください。どのような情報の反響が高いかを計測していき、PDCAを回してメールのクオリティを上げていきましょう。 

【お役立ち情報の参考例】

  • お客様が探している情報を提供する
  • 同業界の成功事例を提供する
  • 最新の市場調査レポートを提供する
  • 会社の資料を顧客向けに加工してみる

2.フォロー電話をする

さまざまなオンラインツールの登場により、顧客側の行動が可視化できるようになりました。頻繁にホームページを訪問していたり、メール開封率が高かったりする顧客には電話でフォローを入れましょう。

見込度の高い顧客であれば、電話に出てくれます。電話に出た顧客が具体的に話を聞きたいようであれば、オンライン商談に繋げてください。このような1対1のコミュニケーション強化は、インサイドセールス部門で行います。

3.組織を攻略する

顧客との関係性を構築していくには、組織を攻略することが大切です。

例えば、決裁者に送る資料と決裁者意外に送る資料を分けるという方法もあります。決裁者以外には、表紙ナシの資料を送付することで、圧力をかけずに顧客に寄り添いたい気持ちを伝えられます。

稟議に通してもらえる場合に表紙を付けて資料を送るなど、組織の担当者を攻略した戦略も関係構築で重要です。

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンライン商談の機会が増えました。顧客と意思疎通がしにくいと悩む方もいますが、適切な方法でアプローチをすれば絶大な効果が見込めます。最後に、無敗営業による商談の場の作り方をおさらいしておきましょう。

【基礎】無敗営業で「気持ちよく」顧客の合意を得る方法

  • 商談の進め方は「W型」を意識する
  • 具体的な問いかけで応えやすくする
  • 顧客の話に耳を傾けて深堀りする
  • 追加情報はタイミングを見極める
  • 追加情報はタイミングを見極める

【応用】無敗営業で「気持ちよく」顧客の合意を得る方法

  • オンライン商談前に資料を共有しておく
  • リアルタイムの議事録を活用する
  • 補足:複数人数のオンライン商談は「WV型」

ぜひ、これを機会に、ハイブリッド営業を実践して売上拡大を図っていきましょう。