イエスバット法は古い?ビジネスに役立つクッション話法を紹介

電話営業をスムーズに進めていくためには、適切なアプローチが必要です。相手と異なる意見を主張したい場合は、相手の話を否定せずに、受け入れてから自分の意見を伝えましょう。このような営業テクニックを「クッション話法」と呼びます。その中で、相手の意見を「そうですね」と肯定した後に「しかし」と否定の意見を述べる方法(イエス・バット法)はビジネスパーソンの間で広く普及してきました。

しかし、近年では押し売りを受けているような印象を相手に抱かれてしまうなどの理由から、使われる場面が少なくなっています。本記事では、イエス・バット法のみならず、代わりのクッション話法についても解説します。ぜひ、この記事を参考にしてみてください。

 

イエスバット法とは?

相手の意見に反論したいけれど、気分を害したくないときに使う営業テクニックです。相手の意見を「Yes」と肯定した後に「but」と否定することで、相手を尊重しつつ会話が進められます。

例えば、以下のようなビジネス場面で使用されます。

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『まあ、そうですよね。確かにA様と同じ意見を聞く機会は多くあります。しかし、弊社の商品は他社とは違い〇〇という機能も、△△という機能も付いています。他社には無い機能が沢山付いていますので、弊社の商品はとてもお得だと思いますよ。』

 

イエスバット法が通用しない理由とは?

イエスバット話法は、近頃営業においては使われなくなってきています。原因は主に3つあります。

顧客側で商品の比較ができるため

インターネットの普及により、顧客側で商品の比較・検討ができるようになりました。顧客が企業へお問い合わせをするときは、インターネット上では把握できない詳細部分を聞き、商品購入を具体的に検討したいと思っています。つまり、インターネット上で収集できない部分を補ってもらいたいと思っているのです。そのため、営業担当者は自分の意見を主張してはいけないのです。主張しすぎると、押し売りを受けているような印象を相手に抱かれてしまい、営業がうまくいかなくなります。このような背景により、イエスバット法を活用する場面が少なくなってきています。

類似商品が溢れているため

イエスバット話法が通用していた1990年代(バブル崩壊までの年代)までは、商品を販売すれば売れる時代でした。自社商品と比較・検討される競合商品が少なかったのです。そのため、営業担当者が否定的なことを伝えても、購入するメリットがあれば契約に至っていたのです。

しかし、今は違います。自社商品に対する類似商品が溢れているため、顧客は営業担当者の態度が気に入らなければ「他の商品を購入します」と主張できるようになりました。そのため、顧客に不快感を与えない話し方が求められてきているのです。

顧客の承認欲求を満たせないため

インターネットで情報収集できる時代のため、ビジネスの主導権は顧客側が握るようになりました。顧客は意思決定権を持ちたいと思っているため、「しかし」と話を折られてしまうと不快感を抱いてしまいます。顧客の承認欲求に働きかけることで、ビジネスはスムーズに進んでいくため、相手の話を折らないことが大切です。このような背景により、イエスバット法が通用しなくなってきました。 

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『まあ、そうですよね。確かにA様と同じ意見を聞く機会は多くあります。しかし、弊社の商品は他社とは違い〇〇という機能も、△△という機能も付いています。他社には無い機能が沢山付いていますので、弊社の商品はとてもお得だと思いますよ。』

顧客:『そんなことはすでにネットで調べてるから知ってるし、〇〇機能も、△△機能も正直、うちには要らないんだよね…』

 

イエスバット法以外のクッション話法とは?

相手の話に同意した上で、自分の意見を主張する話し方をクッション話法と呼びます。クッション話法は、イエスバット法以外にもあります。ぜひ参考にしてみてください。

イエスアンド法

イエスアンド法とは、「しかし」などの接続詞を使用せずに、自分の意見を主張するテクニックです。否定の接続詞を使用しないため、全体的に言葉が柔らかくなります。

例えば、ビジネスでは以下のような場面で使用されます。

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『そうですよね。お客様と同じ意見を聞く機会が多くあります。実は、弊社の商品、3年間の保証が付いているんですよ。他製品だと保証期間が1年間になるため、弊社の商品の方が安心して利用できますよ。ご検討してみてください。』

「しかし」を「実は」に置き換えることで、相手の意見を否定している印象が消えます。このように、イエスアンド話法を利用すれば、相手に不快感を与えずに自分の意見を伝えられます。

イエスイフ法

イエスイフ法とは、相手の意見を肯定した上で「もし、〇〇の場合ならどうか?」と質問して、再度検討してもらうテクニックです。契約に至らないハードルを払拭して契約を獲得していきます。

例えば、ビジネスでは以下のような場面で使用されます。 

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『そうですよね。お客様と同じ意見を聞く機会が多くあります。もしも価格が安くなれば、ご検討していただけますか?』

「もしも価格が安くなれば、ご検討していただけますか?」と条件に置き換えることで、顧客に譲歩しながら意見を主張できます。イエスイフ法を使用すれば、営業がスムーズに進められます。

イエスハウ法

イエスハウ話法とは、相手の意見を肯定した後に「どのようなものを希望しているか?」と納得できる条件を聞き出す方法です。顧客が抱えている課題やニーズを探るために使用されます。

例えば、ビジネスでは以下のような場面で使用されます。 

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『そうですよね。お客様と同じ意見を聞く機会が多くあります。お尋ねしたいのですが、どのような価格帯のサービスをご希望ですか?』

「どのような価格帯のサービスをご希望ですか」とヒアリングすることで、顧客が抱えている課題やニーズを把握できます。このように、イエスハウ法を使用すれば、顧客のニーズが明確に分かるようになります。

イエスワット法

イエスワット法とは、相手の意見を肯定した後に、話を深掘りするテクニックです。イエスワット法は、具体的な回答が得られるようになり、認識を共有できるようになります。

例えば、ビジネスでは以下のような場面で使用されます。 

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『そうですよね。お客様と同じ意見を聞く機会が多くあります。その他に、サービス購入に迷われる不満な点はありますか?』

「サービス購入に迷われる不満な点はありますか?」とヒアリングすることで、顧客の要望を把握することができます。顧客の要望に応えれば契約に至るでしょう。このように、イエスワット法を使用すれば、顧客の要望が明確に分かるようになります。

イエスソーザット法

イエスソーザット法とは、相手の意見を肯定した上で、自分自身の意見として引き込むテクニックです。顧客と対話をしながら、顧客の背中を押してクロージングするために使用するテクニックです。

例えば、ビジネスでは以下のような場面で使用されます。 

顧客:『御社の商品は、他社のと比べて価格が高いんだよね。だから、価格の面で購入を決められないんだよね…』

営業担当者:『そうですよね。お客様と同じ意見を聞く機会が多くあります。だからこそ、自社商品のサービスを利用して欲しいんです。自社商品は3年間の保証が付いているため、長期で使用できてコストパフォーマンスに優れているんですよ。』

「だからこそ、自社商品のサービスを利用して欲しいんです。」と主張することで、契約の後押しをしています。このように、イエスソーザット話法を使用すれば、有利に交渉を進めていくことができます。 

(参考:STUDY HACKER『イエスバット法とは? 会話の基本テクニックを丁寧に解説。』)

まとめ

イエスバット話法は、相手に不快感を与えずに、自分の意見を主張するテクニックとして知られてきました。しかし、類似商品が溢れる昨今、顧客はインターネットを活用して、類似商品の比較を容易にできるようになり、営業担当者に説明してもらわなくてもよくなりました。顧客がビジネスの主導権を握るようになり、営業担当者は、顧客を尊重した上で、自分の意見を相手に伝える必要が出てきているのです。

この記事では、イエスバット法に代わるクッション話法をご紹介しました。どれも、ビジネスで効果を発揮するクッション話法です。ぜひ、これを機会にクッション話法をアップデートしてみてください。