セルフコーチングを促進するコツとは?成功事例まで徹底解説!

セルフコーチングとは、従業員自身が自己学習をしてスキルを伸ばすことをいいます。キャリア形成について問いかけて、成長していく過程を支援する人材開発方法です。社内文化としてセルフコーチングが浸透すれば、教育コストを下げることができます。また、社内にて仕組み化ができれば、従業員の能力を継続的に上げることができます。そのために、何を行えばよいのでしょうか?今回の記事は、セルフコーチングを促進するコツについて解説します。

セルフコーチングとは

セルフコーチングの効果

セルフコーチングが社内文化として浸透すると、従業員の継続的な成長が見込めます。1日1回のセルフコーチングが習慣化できれば、従業員教育のための研修を実施せずに済むため、教育コストを下げることができます。また、従業員のスキルが上がるため生産性向上が見込めます。

セルフコーチングとコーチングの違い

コーチングは、コーチが従業員に問いかけることで、新たな発見を引き出していきます。1対1のコミュニケーションで進めていくため、一度に大勢の人を教育できません。その一方で、セルフコーチングは、自分の都合で、自分に対してコーチングしていきます。従業員がセルフコーチングを習得して浸透できれば、自己成長の速度を上げられるのです。従業員の自立性が高まり、コーチに頼らなくても、課題を解決していけるようになります。

参考:『Schoo for Business セルフコーチングとは?自分を目標達成へと導くための手法やポイントを解説』』

セルフコーチングのやり方

社内にセルフコーチングを浸透させるために、やり方を覚えておきましょう。ここでは、セルフコーチングのやり方をご紹介します。

1.目標を設定する

最初に、行動の原動力となる目標を設定してください。その理由は、目標を設定することで、どのように行動していけばよいかが明確になるためです。

目標を設定する場合は、具体的な数字で表現することが大切です。具体的に説明すると「営業力を身に付けて新規商談を獲得したい」ではなく「営業力を身に付けて、来月は新規商談を15件獲得したい」と期限と目標数値を具体的に示しましょう。

2.現状を把握する

次に、目標に対して「何が不足しているのか?」「何が障壁になっているのか?」など現状を把握していきます。

例えば、「新規商談が獲得できないのは行動量が足りないから」ではなく、根本となる原因が分かるまで自問自答を繰り返してください。

「なぜ、行動量が足りないのか?」「業務時間内に行動量を確保できるのか?」の質問を繰り返して、現状を把握していきます。

3.目標達成の方法を考える

理想と現実の差を埋めるためには、どのような方法があるかを考えてください。このとき、可能な限りアイデアを出すようにしましょう。アイデアの数は多ければ多いほど良く、どの方法が良いかを比較・検討しやすくなります。そのため、ブレンストーミングを活用して目標達成の方法を考えてみてください。

4.計画を立てる

目標と現状のギャップを把握して目標達成の方法を考えられたら、行動計画を立てていきます。目標達成の期限が1ヵ月後であれば、1週間毎に計画を立ててください。なぜなら、1週間毎に計画を立てれば、進捗状況を確認しつつ、小さな達成感を味わい続けることができるためです。

5.目標に向かって行動する

行動計画を立てたら、目標に向かって行動していきます。行動に移す場合は、簡単にできることから取り組みましょう。その理由は、行動に移すのが簡単であるほど、習慣化しやすいためです。

また、目標に向かって行動していくためには、マイルストーンに到達したらご褒美を上げるなどのモチベーションを用意することも大切です。 

行動の効果を検証する

セルフコーチングは、すぐに効果は出ません。行動を習慣化して軌道修正していくことで結果が見えてくるものです。強制されていないセルフコーチングの継続は想像以上に難しいため、定期的に効果検証をしてください。

目標を細分化して小さな成功体験を積み上げていければ、達成感から自己肯定感が得られるようになり、あらゆる物事に積極的に挑戦していけるようになります。

また、相談相手を見つけて進捗報告をし合う場を設ければ、セルフコーチングが持続しやすくなります。

参考:『Forbes How To Coach Yourself』

セルフコーチングを活性化させるコツ

セルフコーチングのやり方を説明しましたが、周囲がサポートすることで活性化できます。ここでは、セルフコーチングを活性化させるコツをご紹介します。

学習できる場を提供する

セルフコーチングを活性化するために、学習できる場を提供してあげましょう。その理由は、自己学習の費用が負担になる恐れがあるためです。

従業員の中には、スキルアップをしてキャリアを形成していきたいけれど、費用がかかると悩んでいる人もいるかもしれません。そのため、企業側で学習できる場を提供するようにしましょう。自己学習を促進するツールには、営業力の強化ができるAI搭載型のIP電話やスキルが習得できるe-ラーニングなどがあります。

参考:『PRESIDENT Online 教育やセルフコーチングに最適!電話営業の解析・可視化ツール「MiiTel」の絶大な効果とは

参考:『アトワジャパン株式会社 アメリカで大流行のコーチングで、ポストコロナの日本の人材を強くする!”日本初! ビジネス層向けチャット型コーチングアプリ”『cradle(クレドル)』事前登録を開始

進捗状況を可視化する

従業員のセルフコーチングの進捗状況を可視化して、正しく評価しなければいけません。

マイルストーンに到達したタイミングで上司は、従業員の評価を行いましょう。小さな成功体験を積み上げていき、褒めていくことで従業員の自己肯定感を上げていけます。これらは、セルフコーチングの進捗状況が把握できないとできません。

また、従業員も進捗状況を把握して着実に進んでいることを確認できなければ、モチベーションが維持できなくなってしまうでしょう。このような事態にならないように、目標管理ツールなどを導入して、セルフコーチングの進捗状況を可視可してください。

参考:『NotePM 【2022年版】目標管理ツールおすすめ20選を徹底比較!メリットと導入の際の注意点も解説

1on1を実施する

セルフコーチングを行っている従業員をサポートするために、定期的に1on1を実施しましょう。従業員が設定した目標や将来なりたい姿をヒアリングしてあげて、どのような行動を取れば理想に近づくかをアドバイスしてあげます。

セルフコーチングをする上で悩みが出てくることも少なくありません。そのため、従業員が悩みを抱えていないかを1on1で聞いてサポートしてあげることが大切です。

参考:『Schoo for Business 人材育成を成功させる6つのポイント|社員の自発性を高めるコツを紹介

目標達成したら褒める

従業員がセルフコーチングで目標達成できたら、メンバーの前で褒めてあげてください。その理由は、目標達成したタイミングで褒めれば、承認欲求が満たされて自尊心が上がり、セルフコーチングを継続しようと意欲的になれるためです。

目標達成できたときに褒めるときは、結果だけでなくプロセスを褒めてあげてください。なぜなら、プロセスを褒めることで、相手を良くみていることを伝えられるからです。セルフコーチングの意欲を湧かすだけでなく、信頼関係を構築するためにも、目標達成したら褒めるようにしましょう。

参考:『シナジーデザイン株式会社 目標達成した時は思いっきり承認する

セルフコーチングをサポートする

セルフコーチングの基本スキルとして、GROWモデルがあります。GROWモデルとは、コーチング業界のパイオニアであるジョン・ウィットモア氏が開発したコーチングスキルです。従業員に質問を投げかけて、相手に気づきを与えていきます。

■GROWモデルの質問例

GOAL

目標を明確にする

  • 仕事の長期的な目標はなんですか?
  • どのような中間目標を立てていますか?
  • マイルストーンは何ですか?
  • 設定した目標は達成可能ですか?
  • 目標達成の進捗度をどのように測定しますか?
REALITY

現実の把握

  • 事実として何が起きていますか?
  • 何が問題だと感じていますか?
  • どのような状況が起きていますか?
  • このままの状態だと、どのような影響が出ますか?
OPTIONS

選択肢の創造

  • これまでの方法で最も効果があったものは何ですか?
  • 今まで試したことのない方法はありますか?
  • 成功者は、どのような方法をしていますか?
  • お客様の立場で何をして欲しいと思いますか?
WILL

アクションプランを作成

  • 目標達成するための行動計画を立ててみませんか?
  • 最初の第1歩を踏み出してみませんか?
  • 今月までにどこまでできますか?
  • 1週間以内に何をしますか?
  • やり遂げたら、どのような気持ちになりますか?

参考:『株式会社セレブレイン コーチングのスキルをマネジメントに活かす!GROWモデルとは?

セルフコーチングの成功事例

最後に、セルフコーチングを促進して、生産性向上や業績拡大に成功している事例をご紹介します。

eラーニングの利用率が12倍にアップ(アサヒビール株式会社)

アサヒビール株式会社は、従業員3,200人に対してe-ランニングを提供していましたが、自己学習の促進が上手くできずに悩んでいました。e-ラーニングが利用されなかった理由は、幅広い教材から選んでもらう形式での自己学習のしづらさが原因でした。

この問題を解決するために、職種×立場ごとに必要なスキルを明確にして、該当する従業員に教材を届ける方法に切り替えたのです。教材づくりを外注するのではなく内製化することで、実践に活かせる教材に仕上げたことも成功要因です。このような仕組みを整備し、e-ランニングの利用率を12倍にアップさせることに成功しました。

参考:『LIGHTWORK アサヒビール株式会社〕利用率が12倍に!マイナーな存在だったeラーニングから成長を後押しするLMSへの転換を成功させる

オペレーターの対応力の強化に成功(auコマース&ライフ株式会社)

総合ショッピングサイト「au PAYマーケット」を運営しているauコマース&ライフ株式会社は、お客様からのお問い合わせ内容が多岐に渡り、顧客対応が難しいという課題を抱えていたのです。この課題を解決するために、ゆらぎ検索ができるナレッジツールを導入しました。オペレーターは好きなときに、オペレーターとしてのスキルを身に付けられる環境を整えました。

この仕組みを整備することで、お客様を待たせずに通話ができ、通話時間の短縮に成功しています。 

参考:『sAll Search 後処理時間4割削減だけじゃない?sAI Searchをナレッジ検索ツールとして活用したことで得られたメリットとは?

営業力強化で受注率2倍にアップ(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードでは、セールスメンバーの立ち上がりの早期化を目標にセルフコーチングに目を向けました。従業員が各自で営業力を磨けるように、AI搭載型IP電話を導入しました。

AI搭載型IP電話を活用して、自分の営業を振り返る場を設けています。その際に、上手くいかなかったところがあれば、マネージャーにフィードバックをもらえる体制を整えています。また、売上を伸ばしている担当者との差を数値化して、改善すべきポイントを可視化しています。このような取り組みで、セールスメンバーの立ち上げの早期化を実現しています。

参考:『株式会社マネーフォワード 新メンバーの立ち上がり早期化を実現 商談後の振り返りやセルフエデュケーションにフル活用

 

まとめ

今回はセルフコーチングのやり方をご紹介しました。説明が長くなったため、最後におさらいをしておきましょう。

[セルフコーチングのやり方]

  • 目標を設定する
  • 現状を把握する
  • 目標達成の方法を考える
  • 計画を立てる
  • 目標に向かって行動する
  • 行動の効果を検証する 

[セルフコーチングを促進するコツ]

  • 学習できる場を提供する
  • 進捗状況を可視化する
  • 1on1を実施する
  • 目標達成したら褒める
  • セルフコーチングをサポートする 

周囲のサポートにより、セルフコーチングは促進できます。セルフコーチングを促進できれば、従業員の教育コストが下げられるだけなく、優秀な人材の確保ができます。ぜひ、これを機会にセルフコーチングを促進してみてください。