ファクトベースは、営業現場の効率改善や意識改革に大きく役立つ思考法です。本記事では、ファクトベースについて、
- ファクトベースの意味
- ファクトベースでメンバーの業務を評価することのメリット
- ファクトベースの導入に欠かせないポイント
の3点を分かりやすく解説しています。
「営業効率が一定の水準から上がらなくなった」
「最近、メンバーのモチベーションが低いように感じる」
そうした悩みも、すべてファクトベースで解決できるかもしれません。
目次
ファクトベースとは「事実に基づいた思考法」
“ファクトベースとは、ロジカルシンキング(論理思考)の基本的な考え方で、事実(ファクト)に基づく(ベース)ことを意味する。” |
「ファクトベース」という言葉を分解すると、「ファクト(fact:事実)」「ベース(base:~に根拠を置く)」となります。
分かりやすく言い換えるなら「事実に基づいた」思考法ということです。
ここでいう「事実」とは、客観的に得られた数値・データのことを指しています。
具体例を挙げて見てみましょう。
コールセンターで働くスタッフ二人に、平均の通話時間を尋ねたとします。
A「肌感覚ですが、おおよそ3~4分程度だと思います」
B「総通話時間100分で25名のお客様に対応したので、平均通話時間は4分です」
Bの回答が「事実に基づいたもの」、つまりファクトベースとなります。
ファクトベースの生みの親は大手コンサル会社
「ファクトベース」という思考法は、とりわけコンサルティング業界で多く用いられています。それもそのはず。
「ファクトベース」の発祥は、世界60カ国に105以上の支社を持つ大手コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーなのです。
かつて、コンサルティング業界における主な手法は、年配者が自身の得た知見をもとにアドバイスを行う「グレイヘア・コンサルティング」が主流でした。
コンサルタントの年齢に紐づく経験こそが説得力となるグレイヘア・コンサルティングに対し、20代の若者でも強い説得力を発揮できる術として生み出されたのが「ファクトベース」です。
この思考法を武器にしてマッキンゼーは力をつけ、今や世界中に17,000人もの従業員を抱える大企業へと成長を遂げました。
(参考:東洋経済オンライン「マッキンゼーの何がすごいのか 社員1万7000人以上の最強ブレーン集団」)
(参考:WEB辞典 by タネタン「ファクトベースとは – 意味 | WEB辞典」)
ファクトベースでメンバーの業務を評価することのメリット
「ファクトベース」でメンバーの業務を評価すると、
- 事実に基づいた評価なので、説得力・納得感がある
- 成果が数値として返ってくるので、施策の良し悪しがひと目で分かる
- 自主的に業務改善をする組織になる
というメリットを得ることができます。
それぞれについて見ていきましょう。
事実に基づいた評価なので、説得力・納得感がある
ファクトベースを用いて人事評価を行っている株式会社LIFULL。
専門ツールを導入し、社員一人ひとりの基本情報や勤怠時間、成果などをデータとして「見える化」し、それらに基づいて人事評価を行っています。
データに基づいた評価は説得力・納得感を生み、モチベーション向上へとつながります。
事実、LIFULL社は2017年の「ベストモチベーションカンパニーアワード」で第1位に選出されました。
(参考:タレントマネジメントラボ「これからの人事はファクトベースで意思決定すべき―LIFULL羽田さんが語るタレントマネジメントとは 」)
成果が数値として返ってくるので、施策の良し悪しがひと目で分かる
名刺管理サービスを提供するSansan株式会社では、かつては主観的かつ属人的な商談管理を行っていたといいます。
やがて、社歴の浅い社員が増えてきたことで従来のやり方に限界を感じ、「ファクトベースのパイプライン管理」へと方針転換を行いました。
Sansan事業部では「パイプライン金額・アポイント件数・売上金額(件数)」の3つの主要KPIに据えたパイプライン管理を実施。
施策の良し悪しがひと目で分かり、PDCAをより細かく回すことが可能になりました。
その結果、商談化率が15%を超えるホットリード数が増加。
新たな営業担当者の育成にも役立っており、ファクトベースによる評価管理の有効性が明らかになっています。
(参考:セールスフォース「Sansan | セールスフォース・ドットコム」)
自主的に業務改善をする組織になる
日本交通株式会社においては、社長の知識氏自らが現場に足を運び、ファクトベースでの思考徹底を周知しています。
知識氏は、常に数字をもとにした論理的な説明ができるよう現場の社員に求めることで、「問題を見出す力と対策を考える力」が社内に根付いてきたと話します。
ファクトベースで論理的に仕事のやり方を見直すことで、売上高が上がり、社員の中に自信とやる気が湧き上がり、自主的に業務改善するようになり、成長したとのことです。
日本交通全体でも直近3年間で過去最高の業績を出しており、ファクトベースによる的確な指導が好影響を与えていることが伺えます。
(参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「データ経営が社員の成長を生み出す ゼロベースで仕事を見直し、ロスコストと機会ロスを削減 | 知識 賢治」)
(参考:JMAマネジメント・インスティチュート「日本交通 代表取締役社長 知識 賢治 氏」)
ファクトベースを導入するには?ポイントはメンバーの業務を「可視化」

コールセンターを例に取ると、架電・商談・成約それぞれの件数・割合といった基本的な数値はもちろん、
- 総通話時間
- 平均通話時間
- トーク・リッスン比率
- 声の高低および話速
- ラリー回数
- 被せ率
などのデータを計測できている状態が望ましいでしょう。
こうした数値・データの集計には、専用ツールの利用が適しています。
業界ごとに特化したデータ集計ツールも数多く登場していますので、自社に合ったツールの導入をご検討いただくのが良いかと思われます。
まとめ
今回は、ファクトベースの意味やポイントについて解説しました。
メンバーの業務効率やモチベーション向上、および企業全体の業績改善にも役立つファクトベース。
改めて、ファクトベースを用いた評価のメリットをおさらいしておきましょう。
1.事実に基づいた評価なので、説得力・納得感がある
2.成果が数値として返ってくるので、施策の良し悪しがひと目で分かる
3.自主的に業務改善をする組織になる
メンバーのモチベーション維持や業績にお悩みの方は、ぜひファクトベースの導入をご検討ください。