連続インタビューVol.7 ビズリーチ・茂野氏「インサイドセールス導入時にやってはいけないこと、やるべきこと」
みなさん、こんにちは。
株式会社ビズリーチ インサイドセールス部 部長 茂野 明彦氏へのロングインタビュー、第7回です。
前回は、「インサイドセールス導入後に注意すべき、組織間のコミュニケーションや体制構築」を中心にお話を伺いました。
今回は「インサイドセールス導入時にやってはいけないこと、やるべきこと」についてお話していただきました。
また、今回もインサイドセールスグループ マネージャー高田 佳政氏にも登場いただきます。
株式会社ビズリーチ キャリアカンパニービジネスマーケティング本部 インサイドセールス部 部長 茂野 明彦氏 / Akihiko Shigeno 大手インテリアメーカーを経て、人材系ベンチャー企業に転職。5年間大手通信会社に出向後、自社に戻り研修事業を立ち上げる。2012年8月、株式会社セールスフォース・ドットコムに入社し、グローバルで初のインサイドセールス企画トレーニング部門立ち上げに携わる。2016年12月、ビズリーチ入社。現在は、インサイドセールスグループとマーケティンググループを統括する。 高田 佳政氏 / Yoshimasa Takata ビジネスマーケティング部 インサイドセールスグループ マネージャー 2015年 ビズリーチに入社。 主にスタートアップ、ベンチャー、中小企業様を担当し、ダイレクト・リクルーティングコンサルタントとして採用と事業成長を支援。ビジネスマーケティング部 インサイドセールスグループのマネージャーとして組織をまとめる。 ※所属・役職等はインタビュー取材時のものです。
株式会社ビズリーチについて 「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションとし、2009年4月より、人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRテック・ベンチャー。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、シンガポールに拠点を持ち、従業員数は1,238名(2018年6月現在)。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、AI技術を活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」、求人検索エンジン「スタンバイ」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」などを展開。 参照URL:https://www.bizreach.co.jp/
株式会社ビズリーチ キャリアカンパニービジネスマーケティング本部 インサイドセールス部 部長 茂野 明彦氏 / Akihiko Shigeno 大手インテリアメーカーを経て、人材系ベンチャー企業に転職。5年間大手通信会社に出向後、自社に戻り研修事業を立ち上げる。2012年8月、株式会社セールスフォース・ドットコムに入社し、グローバルで初のインサイドセールス企画トレーニング部門立ち上げに携わる。2016年12月、ビズリーチ入社。現在は、インサイドセールスグループとマーケティンググループを統括する。 高田 佳政氏 / Yoshimasa Takata ビジネスマーケティング部 インサイドセールスグループ マネージャー 2015年 ビズリーチに入社。 主にスタートアップ、ベンチャー、中小企業様を担当し、ダイレクト・リクルーティングコンサルタントとして採用と事業成長を支援。ビジネスマーケティング部 インサイドセールスグループのマネージャーとして組織をまとめる。 ※所属・役職等はインタビュー取材時のものです。
インサイドセールスを導入する時にやってはいけないこと
――チーム内や関係部署と認識や共有のズレがおきないように取り組んでいることはありますか? 茂野 良い情報よりも改善するための情報を追いかけるようにしています。ミーティングの前に必ず改善活動に繋がる情報(課題)を集めて、集めた情報を他部署も同席するミーティングで共有するようにしています。そして、改善施策を実行する際は、その施策実行のオーナーをちゃんと決めて最後まで追い切ることも行っています。 良い情報は自然と耳に入ってきますし、ダッシュボードを見れば分かるので認識のズレはほとんど起きません。それよりも「何が問題なのか?」、「もっと良くするにはどうすれば良いのか?」といった改善行動をする方が大切ですし、そうしないと改善するための情報が出てこなくなり、認識のズレが起き易くなります。 マネジメントラインとミーティングする時には改善ポイントを共有する時間を必ず作っています。私達の中では「予防の時間」と呼んでいるのですが、何か大きな問題が起こる前に対策を行うという姿勢が大切だと考えています。 数字の情報に関わらず、人のコンディション(健康管理の情報)から部門間の摩擦まで、とにかく改善ポイントを出してくださいということを、皆にお願いしています。 ――インサイドセールスを導入する時に絶対にやってはいけないことはありますか? 茂野 3点あります。 1つ目は、質にこだわってしまい、数字(量)を軽視することです。 2つ目は、十分に成績を残せていないフィールドセールスをインサイドセールスに異動させるということです。 3つ目に、インサイドセールスを営業部門の中に配置しないということです。 モチベーション低下を招く恐れがあるため、この点は十分に考慮する必要があります。 あと、私個人で言うとアポという言葉はあまり好きではないため、使いません。 ――最初は量が重要とおっしゃっていましたが、具体的に1日に何架電ぐらい行っているのでしょうか? 茂野 当初は一人あたり、40架電・15コネクトを目安に掲げていました。 今は、55架電・20コネクトです。 ちなみに、目標としている架電数はメンバーによって違います。結果を出しているメンバーの中には20架電程度の人もいます。ちなみにコネクト数はひとつの目安で、KPIとして追いかけることは少ないです。 ちなみに、御社のMiiTelを導入して営業生産性が向上し、1日の架電数を無理なく上げることが出来ました。 ――ありがとうございます。茂野さんに色々アドバイスをいただきながら作り込んだプロダクトなので、当然と思います(笑)。 ――茂野さんがインサイドセールスを強化するようになり、定量的な結果が出るまでにどれぐらいの時間がかかりましたか? 茂野 入社して、2,3ヶ月後には結果が出ていたと思います。 明らかに商談数、コンバージョンレート、レスポンスタイムが変わりました。インサイドセールスの責任者はスター
――責任者として最初にアサインすべき人はどんな人がいいのでしょうか? 茂野 営業の部門に対して影響力がある人です。これが1番重要です。 出来れば社歴としては長めの人のほうが良いです。そして、これまでに営業としての目標をしっかりと達成しており、面倒見の良い人が適していると思います。 対等な関係で合意や設計の交渉が出来る人というのはとても大事です。 ――頭も使えて、結果も残せて、かつ横の部署やメンバーに信頼されていて、ちゃんとコミュニケーションを取れる人ということですね。 茂野 そうですね。スポーツでも同じだと思うのですが、スターと呼ばれる人はそういう人が多いと思います。インサイドセールスはサッカーで例えると、司令塔的な役割を果たすミッドフィルダーという話を以前しましたが、そういう司令塔のようなポジションの人が良いです。 メディアで頻繁に取り上げられるスター選手は司令塔が多いですよね。能力発揮の方程式
――インサイドセールス立ち上げ時、責任者を社外から採用するのはダメなのでしょうか? 茂野 絶対にダメだとは思いません。 ただし、インサイドセールスは営業部門やマーケティング部との関連性がとても強い部門ですので、採用の際は他部門の多くの関係者とコミュニケーションが取れるかどうかに気をつける必要はあります。 能力発揮出来るかどうかの方程式は、「保有している能力×馴染み力」だと思いますので、この馴染み力が高い人でしたら問題ないと思います。組織に順応できなければ、パワーを発揮することは出来ませんので。 ――茂野さんの場合は、ビズリーチがインサイドセールスを立ち上げてから少し間をおいてご入社され、責任あるポジションに着いたと思うのですが、苦労はありましたか? 茂野 私の場合は入社前からビズリーチのインサイドセールスのお手伝いをさせていただいたことで事情を知っていましたし、またインサイドセールスに対して経営の合意が握れており、協力体制もありましたので、苦労は少なかったです。 しかし、自分の頭の中にあるものと人の頭の中にあるものが異なる、つまり思い描いている絵が異なる点はギャップとして苦労することがあると思います。特に中途採用で入ってこられた方と既に仕事をされていた方ではギャップがあると思います。 私の場合、前職のインサイドセールスとフィールドセールスの関連性の絵が頭にあったのですが、当時のビズリーチにはその絵がなかったため、苦労したことを覚えています。 ――ちなみに、立ち上げ時のメンバー層の採用はいかがですか? 茂野 社内からジョインしてもらうことが出来れば、その方がリスクは少ないのでいいかなと思います。 また、おそらく初めの段階では採用要件が分からないと思うのです。 どういう人がパフォーマンスするのかが分からないため、出来れば社内から色々なタイプの社員集めて始動してみて、どういう人がパフォーマンスするのか、もしくは組織にどういう人が足りないといったことをしっかりと描いてから採用するほうがミスはないと思います。チーム力の方程式
――インサイドセールス立ち上げ時のマネジメントはどうすべきでしょうか? ――ビズリーチさんではこれまでどのようなマネジメントをされてきましたか? 高田 個の成長に重きを置いたマネジメントを行ってきました。 良い点・悪い点両方あると思いますが、組織の拡大に伴い、毎月のようにチームが変わっていたため、チームビルディングを取ろうと思っても中々取れなかったという状況がありました。 ――では、当初はチームビルディングはあまりされていなかったということでしょうか? 茂野 「売上は全てを癒す」という話(ダイエー創業者 故 中内功氏の言葉)にもありますけど、まさにその通りでして、目標達成をしているとチームの雰囲気がいい方向になりますよね。そのような状況にならないと、チームビルディングに力をかけることは中々出来ないと思います。 チームビルディングはすごい大事ですが、「チーム力=パフォーマンス×チームビルディング」ですので、どちらかが欠けてもダメだとは思います。そして、どうやってチームを作るかという方法を問われるのであれば、個の成長を促すことによって強い集団になるという感じです。 高田さん当時のことで他に何かありますか? 高田 当時は組織ビルディングのほうが強かったです。チームといった小さな集合体ではなく、インサイドセールス全体という組織で考えておりました。私のチームや他のマネージャーのチームというチーム編成はありましたが、チームの隔たりなくコミュニケーションはよく取っていたのを覚えています。 ――立ち上げ時からITツールは必要ですか? 茂野 私の考えですが、テクノロジーを使わなければ、インサイドセールスではないと思っておりますので、ツールは最初から必要だと思っています。特にCRMは導入すべきだと思います。 ――以前、ルールブックの話もありましたが、なかなか御社ほど詳細に作ることはできないと思います。 ――最低限どのようなルールが必要でしょうか? 茂野 一番やってはいけないのは信頼を毀損すること、お客様に負を与えることだと思います。ですので、電話してはいけないリスト作りは最低限整備する必要があります。 お客様との信頼関係の構築において最適な状態で営業に引き継ぐということが、インサイドセールスの役割だと思います。リスト作り以外にも、信頼を毀損しないためのルール作りは最低限一番最初にするべきです。次回予告
さて、お話はまだまだ続きますが、第7回はここまでとさせていただきます。 次回は「インサイドセールス導入後にやってはいけない事」、「インサイドセールスに向いているひとは?」について公開予定ですのでお楽しみに! 【過去記事】 第1回インタビュー記事「インサイドセールスが企業の成長に欠かせない理由とは?」 第2回インタビュー記事「ビズリーチがインサイドセールスに注力する理由」 第3回インタビュー記事「インサイドセールスチームの組織や採用」 第4回インタビュー記事「人材育成・モチベーション管理・定量目標」 第5回インタビュー記事「業務を円滑にするために工夫しているポイント」 第6回インタビュー記事「インサイドセールス導入後に注意すべき、組織間のコミュニケーションや体制構築」株式会社ビズリーチについて 「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションとし、2009年4月より、人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRテック・ベンチャー。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、シンガポールに拠点を持ち、従業員数は1,238名(2018年6月現在)。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、AI技術を活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」、求人検索エンジン「スタンバイ」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」などを展開。 参照URL:https://www.bizreach.co.jp/