無敗営業 -チーム戦略- オンライン+オフラインのハイブリッド営業の基本
目次
TORiX株式会社 代表取締役 高橋浩一氏 東京大学経済学部卒業。1日100件のテレアポ新規開拓や数十人の営業組織をゼロから作り、アルー株式会社上場に向けた足がかりに貢献。2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業を中心に50業種3万人以上の営業強化を支援。行動変容を促す構造的アプローチに基づき、年間200本の研修、800件のコンサルティングを実施。自らがプレゼンしたコンペ勝利率は100%を誇り、「無敗営業チーム戦略」は6万部以上の大ヒットを記録。 企業URL:https://www.torix-corp.com/ Twitter: https://twitter.com/takahashikoichi?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモート営業に移行したことで営業成績に悩む方は増えてきたのではないのでしょうか。さらに、営業活動で成約率を高めたいと考え、さまざまな営業手法を試みるも、理想通りの結果が得られないとお悩みの方もいるのではないでしょうか? それらの悩みは解決できます。オンラインとオフラインを融合したハイブリッド営業の活用や、顧客心理を理解したアプローチで売上アップを実現できます。 今回は、無敗営業チーム戦略の著者の高橋浩一氏に高い契約率を実現するためのノウハウを教えて頂きました。ぜひ、営業手法の参考にしてみてください。
無敗営業チームの4つの方程式
高い契約率を誇る無敗営業チームには、4つの方程式があります。1.勝ちパターンがある
商談で契約を獲得するためには、顧客心理の理解が欠かせません。後述しますが、顧客には”現状維持バイアス”という心理状況が働いています。この心理の作用によって、有益な情報を提供しても契約に至らないことが多々あります。 しかし、”現状維持バイアス”を理解して、顧客と二人三脚で合意を築いていけば契約してもらいやすくなります。商談の段取り、ヒアリング、商談の流れを改善して、納得感が醸成できるコミュニケーションを練習しましょう。顧客心理を理解して商談スタイルを試行錯誤することで、勝ちパターンが完成します。 2.営業活動データを可視化する 商談で契約を獲得する勝ちパターンを共有することが大切です。近頃は、営業活動状況を可視化できるツールが続々と登場しています。成約率の高い担当者と低い担当者の営業手法を比較して改善していきましょう。 営業活動データは行動の「量」と「質」を可視化してください。また、行動の「量」や「質」に対する合格基準を明確にして、基準に満たない担当者を教育できる体制を整えましょう。そのために、営業活動の実態の可視化が大切となります。3.営業担当者が育つ仕組みを用意する
営業活動状況の「量」と「質」を可視化できるようになれば、セールス・イネーブルメントに取り組めます。セールス・イネーブルメントとは、営業活動で継続的に成果を上げていくための統括的な取り組みです。 社内には、営業活動データが蓄積されています。契約率が高い営業手法、低い営業手法を比較しやすくなりました。 これらのデータを活用して「売れるためのメソッド」を開発していきます。セールス・コンテンツを充実させて共有したり、トレーニングプランを用意したりして、営業担当者が育つ仕組みを用意しましょう。4.コミュニケーションのバランスが良い
無敗営業チームを組成するためには、社内コミュニケーションを考える必要があります。コミュニケーションを図る上で覚えておきたいのが「PM理論」。日本の社会心理学者である三隅二不二氏が提供したものです。 「P」は「Performance(目標達成能力)」、「M」は「Maintenance(集団維持能力)」を指しています。 「P」は目標達成のための指示で、「M」は人間関係を良好に保つためのコミュニケーションのこと。PM理論では、「P」と「M」が同等に高い状態を理想とします。 しかし、コロナ禍でリモート営業が拡大する中で「M」の部分が大きく失われています。そのため、リモート営業で無敗営業チームを結成するためには「M」のコミュニケーションを強化しましょう。【基本】顧客を巻き込み動かす3ステップ
無敗営業チームの方程式を把握したら、商談で契約を獲得するための基本ステップを学びましょう。1.現状維持バイアスについて理解する
“現状維持バイアス”とは、有益な情報でも、未知や未経験のものを受け入れることに抵抗が生じることをいいます。この心理により、現在の状況に固執してしまうのです。1988年にRichard ZeckhauserとWilliam O.Samuelsonが現状維持バイアスを提唱しました。 顧客が契約を決意するまでのハードルは高く、物事を納得した上で決めたいと考えています。他人に説得されたくなく、勧められたものを保留したいという心理が働くのです。 有益な情報を提供しているのに、顧客が同意をして契約してくれないと悩んだ経験もあるのではないでしょうか?このような経験は、現状維持バイアスの心理が働いているから生じています。 従って、枠組みを変えたり意外な情報を追加したりして、相手の認識に働きかけることが大切です。2.顧客との接点(接触回数)を増やしていく
顧客との接点を増やしていくことで、顧客の不満や要望、要求のニーズを汲み取ることができます。顧客接点は「タッチポイント」とも呼ばれており手段は多様化していきます。 オフラインとオンラインの双方の手段を組み合わせた”ハイブリッド営業”で顧客との接点を増やしていくことが大切です。 アメリカの心理学者Robert Zajoncは、ザイオンス効果を提唱しました。ザイオンス効果とは、繰り返し接触することで好感度や評価が高まる効果のことをいいます。従って、顧客接点を増やせば、企業やブランドの認知拡大や売上拡大が見込めます。 どのような顧客接触方法があるかを把握して、アプローチをしていきましょう。オフライン | TV・交通広告・タクシー広告・屋外広告・ポスティング・展示会・対面営業 |
オンライン | ホームページ・SNS・動画・口コミ・ウェビナー・メール・オンライン営業 |
3.二人三脚でお客様の合意を得ていく
顧客心理には、”現状維持バイアス”が働いていると説明しました。営業担当者から有益な情報を提供されても、自分を正当化する方向に落ち着きやすくなります。その結果、契約に至りません。 このような課題を解決するために、顧客と二人三脚をする気持ちを持ち、合意を得ていきましょう。 お客様の課題や要望をヒアリングして、ヒアリング内容をまとめて共有します。その後に、重要な部分について議論していくことで、お客様に納得してもらえて合意が得やすくなります。 大切なことは、お客様の心理に寄り添って、一緒に最善策を見つけていくという二人三脚の精神を持ち実践してゆくことです。まとめ
無敗営業チームを結成するためには、4つの方程式を守り、顧客心理を理解した上でアプローチを図りましょう。最後に無敗営業チームのおさらいをします。 【無敗営業チームの4つの方程式】- 勝ちパターンがある
- 営業活動データを可視化する
- 営業担当者が育つ仕組みを用意する
- 社内コミュニケーションのバランスが良い
- 現状維持バイアスについて理解する
- 顧客との接点(接触回数)を増やしていく
- 二人三脚でお客様の合意を得ていく