案件創出・商談化数を最大化する最適なアウトバウンド営業
2022年03月09日
目次
2021年に開催したBDRセミナー「案件創出・商談化数を最大化する最適なアウトバウンド営業」の内容を要約しました。
弊社社員が実践するBDR(Business Development Representative)「新規開拓営業」の案件化数の増やし方や、大企業へのアプローチの最適な手法について詳しくご紹介します。
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(プロフィール)
松本 佳樹氏
株式会社リクルートスタッフィングにて新卒入社後、エンジニア領域の人材紹介・派遣事業に従事。その後、Indeed Japan株式会社にて求人広告の営業を担当。2020年10月より、BDRチームの立ち上げメンバーとして㈱RevCommに参画。
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アウトバウンド営業(BDR)の役割
営業の役割を大きく4つ「SDR」「BDR」「ONLINE SALES」「FIELD SALES」に分類します。
SDRとは、マーケティングから供給される資料請求や問い合わせのリードでアポイントを獲得し、商談の機会を創出する部隊です。
BDRとは、マーケティングリードに依存せず、ホワイトリストと言われる顧客との関係値がない状況から、電話や手紙などでサービスの認知、興味・関心を持っていただき、商談につなげる部隊です。
SDRとBDRの違いは、攻める企業を選定するエバーがあるかないかという点です。
残りの2つ、ONLINE SALESとFIELD SALESについては、SDRやBDRからトスアップされた案件を契約締結まで担い、実際に商談を行う部隊です。
ONLINE SALESとFIELD SALESの違いはシンプルで、対面か非対面で行うかによって振り分けられます。
本セミナーでは、BDR(アウトバウンド営業)にフォーカスを当ててお話します。
前提として「なぜBDRが必要なのか」ポイントは大きく2つあります。
1つ目はブランディング、2つ目は高利益創出の組織作りです。
ブランディングについては、エンタープライズ領域、業界のリーディング企業との契約取引を可能にすることで、自社の付加価値や認知度を高めることが可能です。大手企業との取引実績があると箔が付くといったイメージです。
高利益創出の組織作りについては、BDRのリード自体はマーケティング組織などの外部に依存する傾向が少ないため、アポイント獲得の単価がSDRより低いことがあげられます。
さらにBDRのアプローチ対象は大手企業なので、高単価での契約取引が可能になることで、組織としては高い利益で売り上げに貢献することができます。
ではなぜ、エンタープライズ領域を攻めるかと言うと、自社の組織を安定化させる基盤になるからです。
大企業の企業母数は圧倒的に少ないのですが、企業付加価値としては、約50%が大企業を占めている中で、顧客の難易度は高いものの、中長期で見ればメリットが非常に大きいからです。
アウトバウンド営業(BDR)の業務フロー
BDRの具体的な業務フローですが、5つのステップに分かれます。この業務フローで一番大事なところは営業トークではなく、リード/リスト作成すなわちターゲティングが最重要となります。
こちらは、私がリクルートでクロージングまで一人称で営業を行っていた時もそうでしたが、営業フローにおいて肝となるのは、商談やアポイント獲得ではなく、どの企業を攻めるかという前工程の部分が実は一番重要なのです。
その理由は、ターゲティングリスト作成が契約に至る中で、一番の川上の部分に当たるからです。ここがズレてしまうと、成果が出ない可能性が非常に高いです。見込みがない顧客に電話をしてもアポイントは取れませんし、解約の傾向が高い顧客を受注しても、結果すぐに解約になってしまう所が発生するので、どの企業を攻めるかは、アウトバウンド営業において非常に大事な部分です。
BDRのリード作成
弊社ではターゲティング選定について、定量(過去の契約データ)と定性(顧客の具体的な事例)をもとに、再現性の高い成果が出せるリストを作成しています。
定量については、現在契約している企業のデータより、業種・業界・従業員数・職種・単価・継続率をセグメントします。
定性については、営業やカスタマーサクセスのカスタマーサポートがヒアリングを行うことで、顧客になぜ活用していただいているのか、なぜ契約していただけるのか、といった理由を明確にします。
これらをリサーチすることで、サービスが顧客の課題をどのように解決しているか、何に価値を感じているかを言語化し、自社商材と親和性が高い企業を選定することができます。
もう少し抽象度を上げてお話すると、自社で解決できる課題が顧客の事業にとってインパクトがあればあるほど親和性が高い、とも読み取れます。
弊社(㈱RevComm)の場合
弊社では実際にどのようなターゲティングを行っているかをお話します。
定量と定性の部分で、先ほど申し上げたものと同じ項目でリサーチを行います。すると、契約データでは人材や不動産、SaaS、BPOが共通して多いことが判明。個別に具体的なアカウントを見ていくと、「自社サービスでスキルの属人化をなくしたい」「リモートワークにおける営業活動を可視化したい」といったニーズで使っていただいていることがわかりました。
さらにそこから、どのようなターゲットを選定するかという要素を抽出し、「業務で電話を活用することが多い」「営業がいればいるほど、売り上げが作れるビジネスモデル」「ローキャリ層が多く、ベテランとのスキルの差分が大きい」といった3点の言語化を実施。その内容をもとにポートフォリオを作成し、ターゲティングの優先順位を明確に出します。
基本的に、BDRはTier1のような親和性が高い、かつポテンシャルが高い企業のみのアプローチを行います。Tier4のような親和性が低い、かつポテンシャルが低い企業群や、解約率・失注率が高い企業にはアプローチを一切しないという判断も重要です。
大企業へのアプローチ
ハウスリストにない大企業へのアプローチ方法
Tier1における親和性が高い大手企業をどのように攻略するかをお話します。
前提として、全く関係値がない企業のリスト作成については、親和性が高い業種・業界を絞り込んだ上で、ABMツールやネット情報(Ullet)などから企業リストを作成します。
そして、どの部署のどの担当者にアプローチをするかは、まず決裁権を持っているかどうかという点で選びます。ですので、部長など役職者の高いレイヤーの方に当たりを付けます。部署においては自社商材を検討する関係部署、並びに全社を横ぐしで管理・管轄を行っている経営企画や事業推進部などもターゲティングの範囲として当てはまります。
その後、具体的なアプローチを行う準備としては、会社の組織図や採用ホームページ(求人広告)、名刺管理ツールなどを用いて、担当者の名前や電話番号を把握します。もし役職者名がわからない場合は、代表電話や部署に架電を行い、受付の方に取り次ぎを依頼します。
少しテクニカルなお話になりますが、アプローチをしたり、担当者へなかなか繋がらない場合は、あえて担当者のレイヤーを1つ落として、接点を持ちやすい役職者の方へコンタクトを取るボトムアップの方法と、代表取締役や役員レベルに手紙を用いてトップダウンのアプローチを行うことも有効手段の1つです。
ここまでが大手企業へのアプローチの仕方になります。
BDRは中長期的な目線でポテンシャルが高い企業を狙うことが大変重要ですが、大手企業の場合は、アポイント獲得や契約に至るまでのリードタイムが非常に長くかかるケースがあります。ですので、しっかり足元の数値を作るためにも、自社のハウスリストからも商談を創出する必要があります。
ハウスリストからのアプローチ
ハウスリストのアプローチは次の優先順位で行います。
まずは、リスト作成で定義したTier1から3の企業群をリストアップします。
次に、担当者の役職や部署が自社サービスを検討できるターゲットか否かを明確にし、ハウスリストがどのチャネルから獲得されたリードかを確認します。
最後に、時間軸としてなるべく新しいリードを選んできます。2〜3年前に登録されたリードは、すでに担当者が変更になっているケースがありますので、1から再アプローチすると時間がかかってしまう可能性があるからです。
MQLリードの増やし方
ハウスリストをBDRとして増やすには、BDRとマーケティングチームの連携が重要です。
まずは、SDR対象外となっているリードがないかをヒアリングし、セミナーカンファレンスで興味・関心度合いが低く、どのチームにも振り分けられていないものをBDRへ供給します。
また、供給数のボリュームを増やすために、確度が高い移動総数については、「こういったセミナーを開催してほしい」というリクエストを行います。というのも、弊社はセールステックツールですので、営業支援やインサイドセールスに関するセミナーは、アポイントを高く獲得できる可能性があります。ですので、このようなセミナーを開催し、参加していただくように会話をすることが重要です。
ここまでの話を簡単にまとめますと、BDRの動きとしては、大手企業でポテンシャルが高い企業を狙いつつ、足元の数字として、すでに担当者や部署名がわかっているハウスリストからアポイント獲得数を伸ばす。この両輪で営業活動を行うことが、成果を最大化させるための弊社のBDRの取り組みとしてあげられます。
最適なトークステップ/フロー
弊社で実践しているトークスクリプトの構成についてお話します。大前提として、業種・業界に関わらず、基本的なトークステップは同じになります。
受付突破
ターゲットの担当者へ取り次ぎを依頼します。
自己紹介
かなり重要なシーンです。どんなプロフィットを提供している会社かをひと言で伝えることが重要になります。例えば、弊社の場合は、
「お世話になっております。弊社の松本と申しますが、私たちは人材業界さま向けにアポイント率や面談設定率を高めるサービスを提供しております」
このようにどういったサービスかをイメージできるように、端的に説明することが大事です。良くないケースは、製品の特徴のみを伝えてしまうことです。例えば、
「私たちは人工知能を搭載したIP電話を販売している会社になります」
このように特徴のみを話してしまうと、電話を受けた側はなんの電話かいまいちぴんとこなかったり、「電話料金を値下げする商品なのかな」とズレてしまったり、自分には関係がないと思って切られてしまう可能性があります。
ですので、担当者の関心に近い部分のメリットを訴求することが重要になります。ただ、メリットやプロフィットがあまりに抽象的すぎると、例えば、
「生産性の向上や営業の効率化に使っているツールです」と言ってしまうと、逆にイメージが湧きませんのでご注意ください。
WhyYouNow(課題の仮説当て)
「なぜ今あなたに電話をしているのか」をお客さまにしっかりと伝えます。急に電話を受けた担当者からすると、「営業電話とわかれば一刻も早く切りたい」という心理が働きますし、初めましての相手から電話がかかってきたことにより、「なぜ自分に?」という不信があるので、そこを払拭しないといけません。具体的な電話例で申し上げますと、
「今回採用ホームページで、〇〇さまが新規顧客開拓というところを目下最重要視しているというところをお伺いしまして、〇〇さまにおかれましては、アポイント獲得の向上というところでご関心が近しいかなと思い、ご連絡いたしました」
また、もう少し難易度を上げると、
「実は同じ業界の部長さまより、コロナ禍により全社でリモートワークでの営業となり、営業活動が管理できなかったり、行動量が下がってしまうという悩み事を多くいただくことがあります。〇〇さまにおかれましても、同じようなお悩みがあれば、それを解決できる有益な情報提供ができますので、情報交換をさせていただければと思い、連絡いたしました」
こういった課題の仮説当てをすることで、それをお客さまに話すことも重要になります。このような形で、「なぜあなたに今電話をしているのか」を話すことにより、不信を払拭することができます。
同業界・同業種の導入企業名を伝える
導入企業の成果を伝える
アプローチをしている企業のベンチマークとしている競合他社や、その業界のリーディング企業の名前を出し、さらに、どれだけ効果が上がったのか具体的な数値を伝えることにより、関心度合いを高めることができます。具体的なトークでは、
「人材業界さまにおいてはビズリーチさまやネオキャリアさま、パーソルさまでご活用いただいております。とくにネオキャリアさまではアポイント率が5倍になった実績もございますので、ぜひお話をさせていただければと思い、ご連絡いたしました」
このような形で実際の数値を出してインパクトを高め、話を聞いてみたいと思える内容で興味を引き出すことが大事です。
アポイントクロージング
最後にクロージングを行い、日程を確定します。ここまで話した内容を踏まえて、
「〇〇さまにおかれましても、実際に興味・関心が近しいと思うので、来週あたり1時間ほどお時間をいただければと思いますが、ご都合いかがですか?」
というふうに、しっかり日程のクロージングまで行います。ここまでがアポイント獲得の一連の流れになります。
SPINを活用して顧客課題をヒアリング
弊社のBDR組織としては、そこで終話ではなく、そこからさらに顧客の課題を解決できるようにヒアリングを通して実践していきます。実際のヒアリングについては、SPIN※を活用して顧客の課題に入っていきます。
SPINについての細かい各論については、今いろいろ本が出ていますので、参考にしていただければと思いますが、弊社で実践しているSPINの活用方法をお伝えいたします。
まずは「Situation/状況質問」で、顧客の今の業務フローを明確にします。次に「Problem/問題質問」で、その業務フローにおける業務の課題であったり、改善したいポイントをお客さまの方から話していただきます。さらに、その課題がどれだけ事業や顧客のビジネスにインパクトがあるかをお聞きして、課題の重みづけをした質問を行います。
その後「ではそういった課題をどういうふうに解決したらいいですか?」という「Need payoff/解決質問」を入れることで、お客さまから「こういうふうに解決したらいい」という答えを聞き出し、「実はそれ、弊社で解決できます」という形で温度感を高める質問を行います。
また、「アポイント率が〇〇倍まで上がって、売り上げが仮に〇〇まで上がった場合、御社として導入するメリットはありますか?導入してみたいと思いますか?」といったテストクロージングを行うことも有用な手段の1つです。
ここまでが弊社のBDRで行っている営業フローになります。案件化数の増やし方や、大企業へのアプローチの最適な手法について述べてきましたが、ぜひ、これを機会に実践してみて頂き御社におけるベストプラクティスを確立させていただければと思います。
株式会社RevCommではセミナーを通して積極的に情報発信を行い、サービスの提供を通して皆様方の営業力強化に貢献できればと思います。
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※SPINとは…「Situation/状況質問」「Problem/問題質問」「Implication/示唆質問」「Need payoff/解決質問」の頭文字をとった言葉。営業活動において投げかけるべき質問を提示したセールスの技法。