連続インタビューVol.2 Sansan畑井氏「Sansanが行うSales Enablementの取り組み7E(人のE)」
みなさん、こんにちは。
Sansan株式会社 Sales Enablement Groupの畑井 丈虎氏へのインタビュー、第2回です。
第1回は「Sansanが注力するSales Enablement」について、お話していただきました。
今回はSansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」についてお話を伺ってまいります。
第1回 Sansanが注力するSales Enablementとは? 第2回 Sansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」(人のE) 第3回 Sansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」(情報のE、組織ルールのE) 第4回 Sansanが拓く、営業組織強化の道
Sansan株式会社 Sansan事業部 Sales Enablement Group 畑井 丈虎氏 / Taketora Hatai 東京工業大学卒。2015年4月にSansan株式会社へ入社し、エンタープライズ営業を経た後、シンガポールで現地の営業基盤作りに奔走。2018年4月からはSales Enablement Groupを立ち上げ、営業組織の強化に取り組んでいる。 第2回 Sansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」
Sansan株式会社について 2007年の創業より法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を開発・提供しています。「Sansan」は「名刺を企業の資産に変える」をコンセプトに、社内に眠る名刺をデータ化し、人と人のつながりを情報として可視化・共有できるクラウド名刺管理サービスです。2012年より個人向け名刺アプリ「Eight」を提供開始。ソーシャルの仕組みを取り入れ名刺をビジネスのつながりに変える新たなビジネスネットワークとして、登録ユーザーは200万人を超えています。
第1回 Sansanが注力するSales Enablementとは? 第2回 Sansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」(人のE) 第3回 Sansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」(情報のE、組織ルールのE) 第4回 Sansanが拓く、営業組織強化の道
Sansan株式会社 Sansan事業部 Sales Enablement Group 畑井 丈虎氏 / Taketora Hatai 東京工業大学卒。2015年4月にSansan株式会社へ入社し、エンタープライズ営業を経た後、シンガポールで現地の営業基盤作りに奔走。2018年4月からはSales Enablement Groupを立ち上げ、営業組織の強化に取り組んでいる。 第2回 Sansanが行うSales Enablementの取り組み「7E」
組織の成長に不可欠な「チーム経営」
ーーSansanが組織として活動するうえでどのようなことを意識していますか? 畑井 現在は「チーム経営」というキーワードを掲げています。 Sansanは一年ほど前まで、大手企業での全社導入実績などのシンボリックな案件を獲得することが優先的な営業戦略でした。そのため、営業部長とメンバーから構成される各々の営業が、いかに新規の象徴的な案件を獲得するかに注力しており、組織体制と制度設計がしっかり整備されていないのが実態でした。 そこで一度組織としての足場を固めようということで「チーム経営」をテーマに新たな枠組み創りや変革を行っています。 まず取り組んだのが、営業組織の再設計です。 具体的には、従来の営業組織は部長とメンバーで構成されてましたが、現在は、部長-マネージャー(グループリーダー:GL)-メンバーという構成になっています。 マネージャー(GL)を設けるまでは、マーケット毎の棲み分けが明確になっていませんでした。従って、大企業、中小企業、スタートアップなどマーケット毎の営業戦略が明確になっておらず、PDCAも回しきれていないのが実情でした。 そこで、各マーケット毎にマネージャー(GL)を置いて、マーケットのオーナーとしてPDCAを回しながら営業最適化を図る体制に変更しました。 また、組織全体の設計や企画を、マーケット横串で見る部門として、Sales Enablementグループを設置しました。 ーー会社全体の経営方針と、個々のチームの方針・施策実行はどのように擦り合わせているのですか? 畑井 基本的には、チーム内で収まる施策についてはチーム内で実施し、それ以外の全体にレバレッジを効かせられるものをSEで企画していく形を採っています。 全体として企画するうえで意識していることは、現場ニーズに基づいて動くのはもちろん、理想をSE側で創り出して、先手を打った企画をしていくことです。全体を横串で見れる立場だからこそ、連続的な成長だけでなく、非連続的な成長ができる企画をしていきたいと思っています。 一流の営業に共通する7Eとは ーーSansan7Eについて詳しく教えて下さい。 畑井 Sansan7Eを一言でいうと、一流の営業チームに共通する点をまとめ、フレームワーク化したものです。 営業組織は分解すると、大きく分けて3つの要素で構成されます。 それは、「人」、「情報」、「組織ルール」です。 さらに分解すると、「人」というのは、1.存在目的(方向性)、2.教育システム(スキル)、3.モチベーション、「情報」は、4.効果的なCRM活用(顧客情報)、5.営業ナレッジの共有(営業情報)、「組織ルール」は、6.組織運営のルール、7.採用、に分けることが出来ます。 この7つのポイントが営業のすべてであり、これらを改善することが営業組織を直接的に成長させます。7Eとは、この7つの要素を英語であらわした時の頭文字をとったものです。この7つをひとつずつ、順に説明します。 Sansan7E Evolving Value (存在目的) Education (教育システム) Engagement (モチベーション) Effective Data Driven Management (効果的なCRM活用) Experience Platform (営業ナレッジ共有) Empowerment Team (組織ルール) Employee Vision (採用) ーーまず、1.Evolving Value、存在目的(方向性)について 畑井 存在目的は簡単に言うと、目指すべき方向性です。ここでも大事にしたいのは「チーム経営」です。チームとして基盤を強固にしていくには、第一に、存在目的がチームメンバー間で統一されていることだと思います。Sansanでは、存在目的を明確にするため、各営業チームでVision・Missionを設けました。 会社の事業計画→営業部計画→チーム計画の流れでVision・Missionを設けていき、会社の目標から、チームの目標までが一気通貫するようにしています。 Sansanの具体的な営業部のVision・MissionはGlobal SaaS Top 50です。これは文字通り、GlobalのSaaSカンパニーで50位に入ることを目標としているという意味です。また定量的には、MRR15億を目指しています。 チームVisionでは、地方をはじめとして、ミディアムマーケット、エンタープライズ、リニューアルセールスチームなど全部で9つのチームがV2MOM※1のフレームを活用して、それぞれ営業部のVision・Missionからブレイクダウンした、Vision・Missionを掲げ、動いています。 ※1 V2MOMとは、全社的な意思統一を図るための目標管理手法の一つである。Vision(ビジョン)、Values(価値)、Methods(メソッド)、Obstacles(障害)、Measures(基準)の頭文字をとったもので、Salesforceの創立者であるMarc Benioff氏により構築された。 基本的には全社的なV2MOMを基に、各部門、各チーム、個人が順番に各々のV2MOMの作成、公開、フィードバックをするというプロセスを辿る。結果、全社的な成功と社員の役割や目標が明確に関連付けられ(意思統一)、正しい方向に一丸となって邁進できるようになる。 ーー次は、2.Education、教育システム(スキル)について 畑井 営業研修の枠組みを作り、それをもとに現場で活動していくような教育システムを築いています。 これまでは、営業担当は入社後独自でスキル、ナレッジを習得していました。 しかし会社の成長、人数増とともにスキル面での共通言語が減少していきました。 そこで、営業スキルの基礎知識、プロダクト理解、営業のベストプラクティス等のSansanの全営業プロセスや知識をまとめ、Sansan営業虎の巻書のようなものを作りました。 スキルやナレッジが素早くキャッチアップできるだけでなく、現場に共通言語(振り返り基準)を定着することができ、現場でのPDCAが回っていく仕組みです。全営業担当がセールス、プロダクトののエキスパートとなれますし、新入社員のOn boardingも早くなります。 結果として、チーム経営を補助するというイメージです。感情からニーズを読みとけ
ーー3.Engagement、モチベーション について 畑井 モチベーションにおいては、評価基準とコーチングの二点を重視しています。 評価基準では、Sansanは360°評価(多面評価)を用いています。 Sansanでは、チーム施策がそれぞれプロジェクト化されており、メンバーは参加したいプロジェクトを選んだり、または自分でプロジェクトを立ち上げて、関わったプロジェクトごとに評価が行われる設計になっています。評価は、360°の言葉通り、上司だけでなく、プロジェクトメンバーからも評価を受けます。 そのようにすることで一つ一つのプロジェクトに対してのモチベーションを高く保つことができ、オーナーになるインセンティブも働くようになります。「チーム経営」では、チームメンバーレベルでも、売上だけでなくチーム力を高める施策を回していくことが求められるので、とても相性が良い評価方法だと思っています。 コーチングにおいては、社内にコーチングのプロフェッショナルの人間がおり、彼に1 on 1に同席してもらったり、マネージャー陣向けのプログラムを実施してもらっています。 評価基準、コーチングの他に、マネージャー向けに、感情からニーズを引き出すといったプログラムも行っています。感情の発生は理想と現実の差の大きさにあって、その差が大きければ怒りや悲しみなどにつながってきますし、小さければ満足や楽しいといった感情になります。 例えば、モチベーションが上がらない感情はなぜだろうと考えた時に「自分の目指すべき方向性が見えてない」ということなどが出てきます。そこから、「目指すべき方向性を一緒に見つけて欲しい」というニーズを明確にします。 これは当たり前のことですがとても大切です。感情の因果を見つけ出し、さらに感情の原因となっているものが自分であるのか組織であるのかなど因数分解し、特定する。そこに対して、アドバイスを行う。などのマネジメントが出来るようにしています。次回予告
さて、まだまだ7Eのお話は続きますが、今回はここまでとさせて頂きます。 次回はSansan7Eの「情報のE」、「組織ルールのE」を公開いたします! お楽しみに。 【過去記事】 第1回 Sansanが注力するSales Enablementとは?Sansan株式会社について 2007年の創業より法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を開発・提供しています。「Sansan」は「名刺を企業の資産に変える」をコンセプトに、社内に眠る名刺をデータ化し、人と人のつながりを情報として可視化・共有できるクラウド名刺管理サービスです。2012年より個人向け名刺アプリ「Eight」を提供開始。ソーシャルの仕組みを取り入れ名刺をビジネスのつながりに変える新たなビジネスネットワークとして、登録ユーザーは200万人を超えています。
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