連続インタビューvol.3 トレジャーデータ・渡辺氏「インサイドセールスはデマンドジェネレーションまで進化すべき」
みなさん、こんにちは。
連続インタビュー第3回は、インサイドセールスに向いている人・いない人や育成方法、今後の展望などについてうかがいます。
渡辺氏いわく、データベースマーケティングに極めて重要なのは「ログデータ」とのこと。その残し方にもどうやらノウハウがあるようです。最終的には、インサイドセールスは「ナーチャリング部門にとどまらず、『デマンドジェネレーション』まで進化すべき」と話す渡辺氏の意気込みについても詳しくうかがいました。
トレジャーデータ株式会社
マーケティングマネージャー
渡辺 順氏
2014年7月トレジャーデータ株式会社入社、マーケティング部門に従事。
トレジャーデータ以前は、サン・マイクロシステムズ株式会社にて、メディア・サービス業界の営業担当とWebサービス開発コンテスト “Mashup Awards” の企画運営を担当。プリファードインフラストラクチャーに転職、営業およびマーケティングを担当。
※所属・役職等はインタビュー取材時のものです。
「事実」と「私見」は分けて伝える
――では、インサイドセールスのプロフェッショナルになるために、向いている人といない人を教えてください。
渡辺
茂野さんのインタビュー(詳細はこちら)に「素早くかつ正確なオペレーションができる人」とありましたが、僕もそう思っています。
これは言い換えればデータベースマーケティングなのですが、営業に対して、インサイドセールスはお客さんの言っていることや状況を正しくインプットする必要があります。「事実」と「私見」は分けて伝えないといけません。「事実」の部分に自分の思惑が乗っているのはちょっといただけないですね。
あとは「素直さ」。対社内やクライアントに対してもそうですが、インサイドセールスはこれまでのお客さんとの接点を踏まえてコミュニケーションを行い、それを残していって、営業につなげる仕事。コールログ残したかどうか、それを一番指摘しているかもしれません。
――クライアント情報の一元化という点でも、ログは極めて重要なんですね。
渡辺
そうです。例えば我々がセミナーをやるとします。その時は誰を呼ぶか、については営業の進捗状況を踏まえてご案内する必要があります。
検討中の顧客と、かなり制約に近い顧客ではニーズが異なるので、ごちゃまぜにしてお招きしてしまうとセミナーの内容が薄くなってしまうからです。
セミナーの目的に照らして、1回のセミナーには距離感が同じ人を呼ぶ必要があります。例えば特定業界のセミナーだから、ドメインで絞って、がさっとこの業界の人を呼ぶ!というのはやったらいけないんですよね。
「やってはいけないこと」について言えば、「連絡してはいけない人」をDBから削除するのもNGです。「連絡してはいけない人です」ということを残す。データを見て、ログを見て判断できるようにする。チームメンバーはこうしたデータを全部CDPに入れています。Marketoなどのスコアとも連動して見られるようになっているんです。
――データベースマーケティングの基礎になるのが「ログ」ということなんですね。
渡辺
そうです。ログは極めて重要。これはインサイドセールスでも営業でもそうなのですが、デキる人ほどしっかりとログを残すもの。
弊社のナンバーワンの営業などは、「未来のログ」つまり「次にいつ何を自分がすればよいか」、例えば見込み顧客に何カ月後に再コンタクトすればよいか、といったことまで残して先に予定表にタスク化していたりしますから、本当に大切です。
――インサイドセールス担当者の育成についてはどのようにしていらっしゃいますか。
渡辺
育成についてはOJTがメインです。2か月くらいのサイクルで僕がプランを立てています。
まず、トレジャーデータについて知ってもらうところから始めます。デジタルマーケティングって何?デジタル広告ってどうなっているの?という基礎のところから教えます。
次にいよいよ架電なのですが、やはり誰でも、いきなり「電話しろ」といっても、障壁はありますよね。心臓に毛が生えているとしても(笑)。
でもそこは慣れていっていただくしかありません。
――貴社としてはどんな人を採用したいですか。
渡辺
トレジャーデータとしては、プロフェッショナル思考がある人でしょうか。
マーケティング部門は数字の直接責任を負っていないこともあるので、営業とは違って未達でも殺されません。それで緩くなってしまうのではなく、その中で会社の目標にどう貢献できるか、という姿勢が大切だと思います。
マクロもミクロも楽しめるのがインサイドセールス
――インサイドセールス部門ではどんな知識や経験を身に着けられそうでしょうか。
渡辺
インサイドセールスは営業とマーケティング、両方の知識と経験を得られる部門です。
業界ごとにどこにパイがあり、どうリード取っていこうか、ナーチャリングしていこうかという話、こういうパートナーさんと組んで協業できないか、とか。俯瞰的な視点で、マーケの一員としてやっていく。広くマクロで見ていけるというメリットがあります。
一方でコールする、ヒアリングする、セミナーのようなフィールドマーケティングで相対するのは1対1の人間関係。どんなタイプの人にどういう話をしたらどういう反応が来るか、肌感覚を得ることができます。マクロもミクロも楽しめる職業と言えるのではないでしょうか。
インサイドセールスからフィールドセールスに育つキャリアもあります。マクロの視点を持ったセールスになれると、強いと思いますね。
ナーチャリング部門からデマンドジェネレーションへ
――今後はどんなことを実現していきたいですか。
渡辺
データでより良い世界を作ることを実現していきたいです。
現在の我々の課題は、デジタルマーケティング領域で多くのお客様にご利用いただけるようになりましたが、更に違う領域でいかに価値を提供できるかがこれからの勝負だと思っています。
インサイドセールスは、デマンドジェネレーションができる部門です。マーケも営業も見ているので、いろいろな情報が入ってきます。既存のクライアントからのインバウンドも全部入ってくる部門ですから。
いつどこのタイミングでこの商談を供給できれば、安定して売り上げをあげていける、そういうところまでコントロールとかできるようになると、インサイドセールスの存在感が強くなるかなと思います。単に橋渡しではない、いちナーチャリング部門ではなく、デマンドジェネレーションまで取り組んでいけるようになりたいですね。
また、営業力を強化する方法、インサイドセールスの導入及び効果的な運用については、E-Bookに記載しましたので、ダウンロードしてお役立てください。