クラウドCTIとは?メリット・デメリット、導入すべき企業まで解説!
目次
IT技術の進化で電話とコンピューターが統合され、オペレーターの稼働状況を可視化したり、着信番号を参照して顧客情報を自動で表示したりできるようになりました。このような役割を果たすのが「CTI※」です。
CTIには、オンプレミス型とクラウド型がありますが、どちらが良いのでしょうか?結論から説明すると、クラウドCTIがおすすめです。
今回は、クラウドCTIについて詳しく解説します。この記事を読めば、クラウドCTIの機能をはじめ、どのような方法を導入すべきか分かるようになります。CTIの導入を検討している方は、この記事を参考にしてみてください。
※「CTI」とは、Computer Telephony Integrationの略でコンピューターと、電話機やFAXといった電話システムを統合して動かす技術のことを指します。
クラウドCTIとは
クラウドCTIとは、電話とコンピューターをクラウド上で統合するシステムのことです。これにより、電話の着信番号をもとに、顧客情報がPC画面に自動的に表示されるようになります。たとえば、顧客から電話がかかってきた際に、過去のやり取りや基本的な顧客データが瞬時に確認できるため、より迅速で的確な対応が可能になります。実際にオペレーターの回答がとてもスムーズだった体験が誰しも一度はあるのではないでしょうか?
クラウドCTIは、従来の物理的な電話システムとは異なり、特別な設備が不要で、インターネット接続があればどこからでも利用できるため、その柔軟性も魅力です。この仕組みを導入することで、対応品質の向上や業務効率化が期待できます。
従来の電話システムとの違い
クラウドCTIと従来の電話システムとの違いは主に3つです。
- 設備投資が少ない: サーバーや専用機器が不要で、クラウド上のサービスを利用できるため初期費用が抑えられます。
- スケーラビリティ(拡張性)が高い: 利用する人数や機能を柔軟に変更でき、事業の成長に応じた拡張が可能です。
- メンテナンスが容易: システムのアップデートや障害対応はサービス提供者が行うため、管理の手間が省けます。
クラウドCTIの機能
クラウドCTIには、一般的に以下の機能が用意されています。
- ACD:着信電話の振り分けをコントロールする
- IVR:着信電話に対してコンピューターが自動対応する
- CRM連携:着信番号を参照してPC上に顧客情報を自動表示する
- モニタリング機能:顧客対応を第三者が聞ける
- レポート機能:コールセンターの運営状況を分析できる
1. ACD
ACD(Automatic Call Distribution、自動着信分配)は、コールセンターで非常に重要な役割を果たす機能です。これは、特定のルールや条件に基づいて最適なオペレーターに着信を自動で割り振る仕組みです。例えば、対応回数が少ないオペレーターに優先的に振り分ける、問い合わせ内容に応じて専門の担当者に接続するなどが挙げられます。
これにより、顧客の待ち時間が短縮されるだけでなく、オペレーターの負担軽減や業務効率の向上、そして顧客満足度の向上も期待できるでしょう。また、着信を待つ間の音声案内機能「待ち呼ガイダンス」の設定や、応答が集中した場合の予備ライン「あふれ呼対応」も可能です。
2. IVR
IVR(インタラクティブ・ボイス・レスポンス)とは、着信電話に対してコンピューターが自動で応答し、顧客が音声ガイダンスに従ってボタンを選択する仕組みです。例えば、「〇〇の場合は1、〇〇の場合は2」といったアナウンスが流れることで、顧客はスムーズに適切な部署や担当者へと誘導されます。このシステムを導入することで、オペレーターの業務負担を軽減し、顧客は迅速に問題を解決できるようになります。IVRは、郵便物の再配達の手続きや、営業時間外の問い合わせにも有効です。
3. CRM連携
CRM連携は、CTI(電話統合システム)が持つ大きなメリットの一つです。CTIを導入することで、着信時に顧客の情報を自動的にPC画面に表示できるため、オペレーターは手間をかけずに必要なデータにアクセスできます。これにより、顧客への氏名や電話番号などの確認作業が不要となり、スムーズな対応が可能になります。過去のやり取りや顧客情報が瞬時に表示されるため、オペレーターは顧客ごとの通話内容をパーソナライズし、迅速かつ正確な情報提供が可能になります。CTIとCRMの連携は、顧客との関係をより良いものにするためにも重要です。
4. モニタリング機能
モニタリング機能は、コールセンターの運営において非常に重要な要素です。クラウドCTIを活用することで、スーパーバイザー(SV)はリアルタイムでオペレーターの通話内容を聞けるようになります。それによりSVはオペレーターに対して迅速な指導を行うことができます。また、通話を録音しておくことで、後日評価やトレーニングに役立てることもできます。こうした取り組みを通じて、オペレーターの研修やスキル向上を促進できます。
5. レポート機能
レポート機能はオペレーターごとの対応件数やコールの時間帯別の分析を可能にします。通話データを基にした詳細なレポートを生成することで、経営者や管理者はデータに基づいた意思決定ができ、オペレーターの業務負担を軽減しつつ、対応品質を向上させることができます。
電話営業を効率的に行って成果を出す方法
CTIには、クラウドサーバーを利用するクラウド型と、自社サーバーを利用するオンプレミス型が存在します。2種類のCTIを比較し表にまとめましたが、多くのコールセンターで利用されているのがクラウドCTIです。
クラウド型とオンプレミス型の違い
項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
---|---|---|
導入費用 | 低い | 高い |
メンテナンス | プロバイダー任せ | 自社で対応 |
柔軟性 | 高い | 低い |
セキュリティ | 強固だが依存度高い | 完全管理可能 |
導入スピード | 短期間 | 長期間 |
(※)最近は、クラウド型CTIもセキュリティが強化されてきており、優劣がつかなくなってきています。
クラウドCTIのメリット
クラウドCTIのメリットは3つあります。
1. 導入スピードが早く費用が安い
クラウドCTIの導入は、スピーディーでコストパフォーマンスが優れている点が大きな魅力です。クラウドベースで提供されるため、専用機器や自社サーバーが不要で、配線工事も必要ありません。このおかげで、数日から数週間でシステムを立ち上げられるため、急なニーズにも柔軟に対応できます。
また、初期投資が抑えられるだけでなく、運用コストも明確で予算の計画が立てやすいのもポイントです。例えば、最短翌日から利用可能な製品もあり、導入後すぐに効果を実感できるケースも少なくありません。このように、短期間での導入と透明性のあるコスト構造から、多くの企業にとってクラウドCTIは魅力的な選択肢です。
2. 場所を問わずに利用できる
クラウドCTIはインターネット接続があれば、オフィスだけでなく自宅や外出先からも利用できます。従来のオンプレミスCTIでは工事が必要で場所に制約がありましたが、クラウドCTIなら手軽にアクセスでき、リモートワークや多拠点展開にも対応可能です。働き方改革を進める企業や、業務を効率化したい企業にとって、クラウドCTIは有用です。
3. メンテナンスを任せられる
クラウドCTIの最大の利点の一つは、メンテナンスを専門のプロバイダーに任せられることです。これにより、企業は自社のリソースをコア業務に集中することができます。具体的には、システムの保守やアップデート、トラブルシューティングをベンダーが行ってくれるため、時間とコストの両方を節約できるのです。また、障害が発生した際にはベンダーが遠隔で対応してくれるため、迅速な問題解決が期待できます。さらに、セキュリティ対策がプロバイダーによって実施される点も魅力的です。
クラウドCTIのデメリット
1. 提供されている機能のみの活用になる
クラウドCTIは、基本的に提供されている機能のみ利用できます。他のシステムと連携して機能拡張することはできますが、CTIに対して自社独自の機能をカスタマイズして付けてもらうことはできません。
2. 製品選びが難しい
さまざまなクラウドCTIが販売され始めているため、自社に見合うものが選びにくくなってきています。クラウドCTIを導入する場合は、自社に相応しい製品を見定めてから選びましょう。
クラウドCTIの選び方
クラウドCTIを選ぶ選定基準は下記の項目をチェックしてみてください。
- 機能性の確認:必要な基本機能(通話管理、録音、CRM連携など)が備わっているか?またAI など最新機能が搭載しているか?
- スケーラビリティ:CTIの使用目的や企業の成長に合わせて、サービスが拡できるか?
- セキュリティ対策:データの保護やプライバシー対策がしっかりしているか?
- カスタマーサポート:問題が発生した際に迅速に対応してくれるサポート体制が整っているか?
- 料金プラン:ランニングコストは予算内か、隠れたコストがないか?
- ユーザビリティ:操作が簡単で、スタッフがスムーズに利用できるインターフェースか?
- 他社の評判:実際のユーザーのレビューや評判を調べ、信頼性を確認しましょう。
クラウドCTI導入の注意点
クラウドCTI導入後に『知らなかった!』『想定していなかった!』と後悔しないためにも導入前と導入後の運用の注意点も事前に確認しておきましょう。
導入前の準備
- システム要件: インターネット環境やネットワークの帯域幅を確認し、クラウドCTIがスムーズに稼働する環境を整える必要があります。
- データ移行: 既存の顧客情報を新しいシステムに移行する際の準備が不可欠です。
- 従業員教育: 新しいシステムの使い方を従業員にしっかりと教育することが重要です。
導入後の運用
- トラブルシューティング: 問題が発生した際の対応方法をあらかじめ設定しておきます。
- 定期的なメンテナンス: クラウドプロバイダーに依存する部分も多いため、定期的なシステムの更新に注意が必要です。
- セキュリティ対策: クラウド上でのデータ管理には、しっかりとしたセキュリティ対策を講じる必要があります。
クラウドCTIを導入すべき企業
クラウドCTI導入に適正を持つ企業には、いくつか共通する特徴があります。まず、顧客サポートを重視する企業、特に通信業界や金融業界、eコマース企業です。カスタマーサービスやサポートセンターのサービス向上、カスタマー業務の効率化を図る必要があるため、クラウドCTIは有用です。
次に、リモートワークを実施している企業もクラウドCTIに適していると言えます。インターネット接続があればどこからでも利用可能で、在宅勤務のスタッフにとって非常に便利です。また、急成長中のスタートアップや中小企業で、将来的にコールセンターを拡張する予定がある企業にとっても、スムーズな運用が期待できます。
さらに、電話やチャット、メール、SNSなど複数のチャネルで顧客と接点を持つ企業にとって、クラウドCTIは効果的なソリューションです。顧客データの活用や分析を重視する企業にとっても、CRMとの統合が容易で、データ分析を通じてより良いサービス提供が可能になります。
コスト削減を目指す企業にとって、初期投資が少なく、運用コストも低く抑えられるため、クラウドCTIはさまざまな業種で導入が期待されています。
クラウドCTIで業務効率化を実現した企業事例
ここでは、クラウドCTIで代表的な「MiiTel Phone」を導入した事例について採り上げたいと思います。
SALES ROBOTICS株式会社は、独自のクラウドソフトウェア「SALES BASE」とBPOサービスを提供することで急成長してきています。同社のインサイドセールスチームは、定量的に成果を図れる仕組みがなく「何が原因で目標達成できないのかわからない」という課題を抱えていました。
インサイドセールスメンバーの課題が分からなかったため、1on1を実施しても、適切なアドバイスができない状態でした。このような悩みを「MiiTel Phone」を導入して、話速や被り率、トーク・リッスン比率などを可視化することで解決しました。
各自の顧客対応の状況を可視化して、どこに課題があるかが分かるようになり、1on1で適切なアドバイスができるようになりました。それだけでなく、1時間以上かかっていた1on1が10分で終えられるようになりました。適切なアドバイスのおかげで、毎月3件のアポイントしか取れていなかったメンバーが、20件のアポイント獲得できるまでに成長しました。
参考:『MiiTel導入事例「何が課題かわからない」を解決し2ヵ月で生産性を2倍に向上組織の意識も大きく変化』
まとめ
CTIは主に以下のような機能があります。
- ACD:着信電話の振り分けをコントロールする
- IVR:着信電話に対してコンピューターが自動対応する
- CRM連携:着信番号を参照してPC上に顧客情報を自動表示する
- モニタリング機能:顧客対応を第三者が聞ける
- レポート機能:コールセンターの運営状況を分析できる
CTIにはオンプレミス型とクラウド型があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、最近ではクラウドCTIを導入する企業が増えてきており、効果がでてきています。コールセンター運営の効率化を検討している方は、これを機会にクラウドCTIの導入を検討してみてください。
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