Vol.1 インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用
日本におけるインサイドセールスの展望
最近、インサイドセールスに注目が集まっていますが、果たしてインサイドセールスは日本市場に馴染むのでしょうか?
今回は、地理的/社会的/経済的観点からインサイドセールスが日本で浸透するか否かについて考察したいと思います。
結論から申し上げると、インサイドセールスは今後日本で急速に発展します。
具体的な理由をご説明いたします。
インサイドセールスの価値≠移動コストの削減
まず、米国においてインサイドセールス(内勤営業)が急伸しているのは、地理的/社会的要因が主因(国土:日本の約25倍、人口:約2倍)なんじゃないか?ということについて考察したいと思います。 人口密度を見ると、米国は日本の1/10で(日:336人/㎢, 米:33人/㎢)、公共交通網も日本に比べ整備されていません(公共交通機関の通勤時利用率※1:日29.6%, 米5.2%)。 ※1 日本:11-5 利用交通手段 平成22年国勢調査、米国:通勤手段は?時間は?日本と世界の通勤事情 従って、米国は移動コストが相対的に高く、インサイドセールス(内勤営業)のニーズも相対的に高いのは事実です。 一方、「利益を増大させるインサイドセールスのメカニズム」でもご説明した通り、インサイドセールスの目的は、“移動コストの低減”ではなく、“有効案件数(パイプライン数)と成約率の増加による利益の最大化”です。 その証拠にIBM、Microsoft、LinkedIn、オラクルといったグローバル企業がインサイドセールスに積極的に投資しており(参照記事:「インサイド・セールス」に投資集中)、なかでも日本マイクロソフトやデルは日本で大きな成果を上げています(マイクロソフト:成約率20%向上、デル:インサイドセールスはデル独自のビジネスモデルの中核を担う存在)。 高成長企業が一斉にインサイドセールスに投資している理由は、有効案件数と成約率が圧倒的に増え、利益を最大化できるからであり、単に移動コストを削減できるからではありません。 有効案件数と成約率が増えれば、どこの地域で営業したとしても利益は増えます。従って、日本の移動コストが相対的に低いことは、インサイドセールスが浸透しない理由にはなりません。日本における、事業環境(マクロ/ミクロ)
また、日本のマクロ/ミクロ環境に鑑みても、インサイドセールスは今後日本でも着実に拡大していく流れにあります。 マクロ環境- 政治・社会 働き方改革が叫ばれ、官民あげてリモートワークや残業削減を推進しており、働き方の大きな変革が“社会のうねり”となっている。
- 経済 生産性向上が重要課題となっており、労働集約的な営業モデルから効率的な営業モデルにシフトする機運が高まっている。
- テクノロジー・ツール CRMやSFAなど、営業管理ツールが整備され、整理されたデータも溜まってきている。
- 顧客ニーズの細分化 テクノロジーの普及や顧客自身の工夫の積み重ねにより、多くの課題が既に解決され細分化・多様化しており、商品/サービスそのもので差別化を図り競争優位性を保つのは難しくなっている。顧客の課題を効率的に把握し、商品/サービス開発に迅速に繋げる組織体制の構築が急務となっている。