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〜IP電話・PBX・IVR・ACD・CTI・CRM〜 電話システムの基本用語を分かりやすく解説

2024年11月21日

〜IP電話・PBX・IVR・ACD・CTI・CRM〜 電話システムの基本用語を分かりやすく解説

総務省「平成30年版情報通信白書」によると、IP電話の加入契約者数は堅調に伸びています。実際に、通話料が安く抑えられるだけではなく、業務効率化も同時に図れます。

また、IP電話の導入と共にシステム連携を行えば、通話料金の削減だけではなく、完全にフルリモートのセールスチーム構築が実現できます。この記事では、IP電話で業務効率化を実現するために覚えておきたい基礎知識をご紹介します。

IP電話で業務効率化を図るために必要な基礎知識

複数のIP電話がひとつのクラウドに繋がっている画像
VoIP communication concept. 3D rendering isolated on white background

IP電話は堅調に普及していますが、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?まずは、基本知識について学びましょう。

IP電話とは

IP電話はインターネットを利用して音声をデジタルデータに変換し、通話を行う技術です。従来の固定電話はアナログ信号を使用しますが、IP電話はデジタル技術を活用するため、通信コストの削減が可能です。また、拠点を増やしたり、機能を追加したりと、柔軟に拡張できる点も特徴です。具体的には、VoIPゲートウェイという装置が音声データをデジタル化し、相手に届けることで、従来と同じ品質の通話を実現します。企業にとって、効率的かつ経済的なコミュニケーション手段として注目されています。

IP電話のメリット

IP電話はコスト削減や機能の柔軟性で企業にとってメリットがあります。まず、長距離や国際通話でも通話料が抑えられる点が特徴です。例えば、3分の県外通話では、IP電話が8円程度なのに対し、固定電話は21円程度と割高です。また、同じプロバイダー間の通話は無料で、海外拠点との連絡もコストを気にせず行えます。

さらに、IP電話は事業の拡大で利用者が増えた場合などのスケーラビリティの観点でも優れ、新しい電話番号の追加や遠隔地の拠点導入も簡単です。インターネットさえあれば、PCやスマホを電話機として利用できるため、専用の電話機を購入する必要もありません。企業の成長に合わせた柔軟な運用ができるIP電話は、今後のビジネスにおいて重要なツールとなるでしょう。

IP電話のデメリット

IP電話の普及が進む一方で、まだ注意すべき点がいくつかあります。まず、インターネット回線を利用するため、ネットワークが不安定な場合には通話品質が低下する可能性があります。特に、フリーダイヤルが使えない点や、110番などの緊急通報ができない点には注意が必要です。

また、IP電話は電力供給にも依存しているため、停電時には通話ができなくなるリスクがあります。こうした状況に備えて、バックアップ電源を用意することも重要です。

対策としては、高品質のインターネット接続環境を整えることや、停電時に備えた電源対策を講じることで、IP電話のメリットを最大限に活かすことができるでしょう。

固定電話とインターネット電話と比較

項目固定電話インターネット電話 (IP電話)
通話品質安定しているインターネット回線に依存し、不安定な場合あり
通話料金高め通常は安価、国際電話も割安
フリーダイヤル対応対応可能対応不可
緊急通報(110番等)利用可能利用不可
停電時の通話電話線からの電力供給で利用可能電力が必要なため、停電時は利用不可
設置の手軽さ専用の配線や工事が必要インターネット回線があれば簡単に導入可能
インターネット依存依存しない完全に依存し、接続環境によって左右される

PBXとは

PBX(Private Branch Exchange)は、企業内で使用される電話システムを管理するための装置やシステムです。主に、内線通話と外線通話を効率的に管理し、コスト削減や業務効率の向上に貢献します。PBXを導入することで、社内通話は外部回線を使わずに行えるため、外線通話のコストが削減されます。

さらに、近年ではPBXにオフィス内のパソコンやスマートフォンを接続し、ビジネスフォンとして使用するケースも増えています。特に、スマートフォンをコードレス電話機のように活用できるため、柔軟な働き方をサポートします。PBXは、現代の企業にとって、通話管理の中枢的な役割を果たしています。

PBXの主要機能

PBX(Private Branch Exchange)の主な機能は、企業の電話システムを効率化し、コスト削減に役立ちます。まず、内線通話機能では、社内の部署間で無料通話が可能なため、通信コストを抑えられます。次に、外線制御機能を使って、外部からの通話を適切な部署へ転送し、外線通話を効率的に管理できます。

さらに、発着信制御機能やダイヤルイン機能によって、電話番号ごとに着信先を指定でき、業務がスムーズに進行します。また、自動音声応答(IVR)や着信自動振り分け(ACD)を統合すれば、さらなる業務効率化が可能です。転送機能やパーク保留機能も含め、多様な機能で、現代の企業のコミュニケーションを最適化します。

PBXのメリット

PBX(Private Branch Exchange)には、IP-PBXとクラウドPBXの2種類があり、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。

まず、IP-PBXは企業内に設置される電話交換機です。LANケーブルを通じて通話を行い、アナログ回線やISDN回線を必要としません。これにより、電話機やパソコンにIPアドレスを割り当て、CTIシステムとの連携も可能になります。

次に、クラウドPBXは、オフィスに設置せず、クラウド上で運用されます。基本機能はIP-PBXと同じですが、設置場所を選ばないため、事業拡大時に柔軟に対応できます。特に、海外拠点との通話も無料で行えるため、グローバルなビジネスにも適しています。

両者共通のメリットとして、コスト削減や業務効率化が挙げられます。内線通話を活用することで通信費を抑え、通話管理を一元化することで迅速な対応が可能です。また、拡張性が高く、新たな機能の追加も容易です。このように、PBXは企業のコミュニケーションをより効率的にし、コスト削減や業務改善に貢献します。

IP電話で業務効率化を実現するためのシステム

24時間電話対応

IP電話とPBXを、その他のシステムと連携することで業務効率化が実現できます。実際に、どのようなシステムがあるのでしょうか?ここでは、業務効率化が見込める各種システム「IVR」「ACD」「CTI」「CRM」について解説します。

IVRとは

IVR(Interactive Voice Response)は、音声自動応答システムで、顧客が電話で必要な情報や担当部署に簡単にたどり着ける仕組みです。顧客はガイダンスに従い、電話のボタンを操作することで、適切なオペレーターや部署へと誘導されます。

IVRの機能

IVR(自動音声応答システム)は、顧客対応を効率的にサポートします。このシステムには主に音声案内と自動応答の2つの機能があります。音声案内では「〇〇に関するお問い合わせは〇番を押してください」といった指示が流れ、顧客が選択することで、適切な部署や担当者にスムーズに接続されます。また、自動応答機能では24時間体制で顧客対応が可能になり、営業時間外でも必要な情報を提供できます。

IVRを導入するメリット

IVRの導入には多くのメリットがあります。まず、24時間365日対応が可能となり、営業時間外のお問い合わせでも自動的にWEB申込みを促すなどの対応が可能です。また、顧客の要件を事前に知ることができるため、応答率が上がり、一次解決率も向上します。これにより、オペレーターの負担が軽減され、人件費の削減にもつながります。

主なメリットをまとめると以下の通りです。

  • 24時間365日の対応が可能
  • 応答率と一次解決率の向上
  • コスト削減と業務効率化

IVRを導入することで顧客対応をスムーズにし、ビジネス全体の効率の改善が期待できます。

ACDとは

ACDは、着信を組織内の特定の端末またはオペレータグループに分配するシステムのことをいいます。コンタクトセンターの状況に合わせて、着信電話を自動的に割り振ってくれるため、コンタクトセンターに欠かすことができないシステムです。

ACDの機能

ACDは電話を効率的に適切な担当者へ振り分ける機能を持っています。主な機能は次の通りです。

待ち呼ガイダンス機能電話が混雑中にアナウンスを流す機能。アナウンスの内容は変更が可能で、Web手続きの案内をするなど、必要に応じた柔軟な設定ができる。
あふれ呼設定機能電話が混雑中に待ち呼以外で対応するための機能。「電話が大変込み合っているため、かけ直してください。」と切電する挙動は、あふれ呼設定によるもの。
待ち時間順の着信機能着信電話に対応せず待機時間が長くなっているオペレーターに対して入電が届くように設定ができる。
着信回数優先の着信機能着信回数が少ないオペレーターに対して入電が届くように設定できる。
スキルベースルーティング機能オペレーターのスキルに応じて顧客を割り振ることができる。
ランダムルーティング機能割り振り条件を決めずに、ランダムで着信が入る。

ACDを導入するメリット

ACDの導入には、業務効率を大きく向上させるさまざまなメリットがあります。

オペレーターの不満を解消できる

オペレーターの負担を均等にできる点が挙げられます。コールセンターでは、対応件数が不均衡になると、一部のオペレーターに負担が集中し、不満や離職の原因となることがあります。しかし、ACDを導入すれば、着信を均等に振り分けることができるため、こうした問題を解消できます。

応答時間の短縮

応答時間の短縮が可能です。ACDのスキルベースルーティング機能を活用することで、顧客に最適なオペレーターに迅速に繋ぐことができ、問題解決に要する時間を短縮します。これにより、顧客満足度の向上が期待でき、より効率的な対応が可能になります。

契約率が上がる

的確なオペレーターが対応することで二次対応の必要が減り、契約率も向上します。適切な対応ができるため、顧客の期待に応える結果が得られます。

新人研修に活用できる

新人研修にもACDは効果的です。難易度に応じて問い合わせを振り分けられるため、経験の浅いオペレーターでも自信を持って対応を進めることができ、段階的なスキルアップが可能です。

CTIとは

CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話とコンピューターを連携させる技術で、顧客対応を効率化できるシステムです。CTIを導入することで、オペレーターは顧客情報や通話履歴をリアルタイムで確認できるため、より迅速で正確な対応が可能になります。

たとえば、顧客が電話をかけた際に、コンピューター上でその顧客の情報が自動的に表示されるため、スムーズなサポートが提供できます。

CTIとよく混同される「PBX」は電話回線の交換機であり、CTIとは異なるシステムなので注意が必要です。

CTIの機能

CTIの主な機能には、ポップアップ機能、通話履歴の記録、CRM連携、そして通話録音機能があります。

まず、ポップアップ機能は、電話着信時に顧客情報を自動的に表示します。これにより、オペレーターは迅速に顧客情報を把握し、質の高い対応が可能になります。次に、通話履歴の自動管理機能によって、オペレーターは過去のやり取りを確認でき、より適切な対応が実現します。

さらに、CTIとCRMの連携により、顧客情報が一元管理され、商品購入や問い合わせ履歴を活かした対応ができるため、顧客満足度の向上が期待できます。最後に、通話録音機能は、通話内容を記録することで、聞き逃しを防ぎ、スムーズなコミュニケーションをサポートします。

CTIを導入するメリット

CTI(Computer Telephony Integration)の導入は、企業の顧客対応や業務プロセスに多大な影響を与え、さまざまなメリットをもたらします。以下に、CTIを導入することによる主なメリットをまとめました。

業務効率化

CTIを利用すると、着信時に顧客情報が画面にポップアップ表示されます。これにより、オペレーターは通話中に迅速に顧客情報にアクセスでき、情報検索にかかる時間が大幅に短縮されます。これにより、応答時間が短縮され、より多くの顧客に迅速に対応できるようになります。

自動化による作業負担の軽減

CTIシステムは通話履歴の自動記録や顧客リクエストのデータベースへの自動保存機能を備えています。この自動化により、オペレーターが手動でデータを入力する必要がなくなり、ヒューマンエラーのリスクも低減します。また、業務の進捗状況をリアルタイムで把握しやすくなるため、より戦略的な意思決定が可能になります。

人件費の削減

CTIを導入することで、業務効率が向上し、オペレーターの応対時間が短縮されます。これにより、業務全体のコストが削減されるだけでなく、迅速な対応により顧客の待ち時間が短くなることで、顧客満足度も向上します。結果的に、顧客が再度問い合わせをすることが減り、オペレーターの稼働率が向上します。

顧客満足度の向上

CTIを活用することで、オペレーターは顧客の過去のやり取りや購入履歴を瞬時に把握できるため、よりパーソナライズされたサービスを提供できます。この質の高いオペレーティングにより、顧客はスムーズな会話を体験し、トラブルの予防にもつながります。

CRMとは

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客管理システムのことをいいます。顧客との関係を強化するためのシステムで顧客データを一元管理し、個々のニーズに応じたサービスを提供することで、信頼関係を築き、長期的なビジネスの成功を促進します。

また、CTI(電話統合システム)と連携することで、より効率的な顧客管理が可能になり、IP電話システムと合わせて活用することで、強固な顧客管理体制を構築できます。

CRMの機能

CRMの主な機能は、顧客データの管理、分析、プロモーション支援の3つに大別されます。

管理機能

CRMでは、顧客の氏名、年齢、電話番号、メールアドレスといった基本情報をはじめ、商品購買日や金額、購買頻度、クレーム対応履歴などの詳細情報を一元的に管理できます。この情報をもとに顧客をグループ分けすることができます。

分析機能

CRMは、収集した顧客データを活用して多角的な分析を行います。これにより、マーケティング施策の効果を測定し、PDCAサイクルを回すことで、戦略を改善していくことができます。顧客の行動パターンを理解することで、より的確な経営判断が可能となり、効率的なリソース配分や戦略的な施策が実施できます。

プロモーション機能

CRMでは、顧客の購買日や金額などの条件を基に顧客を抽出し、ターゲットを絞ったマーケティング活動を展開できます。例えば、優良顧客に特別な優待券を提供したり、定期的にメルマガを配信したりすることで、顧客との関係を強化します。

CRMを導入するメリット

CRMの導入は、企業にとって多くのメリットがあります。

顧客情報の一元管理が可能

各部署間でリアルタイムに情報を共有できるため、顧客へのフォローアップがスムーズに行えます。これにより、効果的なコミュニケーションが実現し、顧客満足度が向上します。

顧客の購買履歴や嗜好を把握し、パーソナライズされた対応が可能

過去の購入に基づいて関連商品を提案することで、リピート購入を促し、顧客の興味を引くことができます。最適なタイミングでの提案は、顧客満足度をさらに高める要因となるでしょう。

CRMは効率的なマーケティング活動にも寄与

顧客データを分析することで、特定のターゲットに向けたキャンペーンを展開でき、コンバージョン率を向上させることが可能です。定期的なフォローアップやクロスセルの提案は、顧客の購入頻度を高め、売上を増加させる効果があります。

業務プロセスの効率化

情報が一元化されることで、重複作業や見落としが減り、営業やカスタマーサポートがより生産的に働ける環境が整います。

データに基づく意思決定を支援

顧客データや販売データを分析することで、市場のトレンドや顧客の行動を理解し、戦略的な施策を打つことができます。これにより、売上が伸びている商品の特徴を分析し、新商品の開発やマーケティング戦略の策定に活用できます。

このように、CRMを導入することで、企業は顧客との関係を強化し、業務を効率化し、売上を向上させることができます。

IP電話を活用して業務効率化を実現する成功事例

ランサーズ

IP電話システムを活用して、オンラインセールスチームの構築に成功している企業がランサーズ株式会社です。ランサーズはフルリモートのセールスチームを立ち上げるため、電話機だけではなくPCで発信できるシステム導入を検討することになりました。クラウドPBXを採用して各スタッフのPCを接続して実現。

ACDで受電管理をすることで、1人のスタッフにオペレーティング業務が集中しないように工夫がされています。CTのI自動録音機能を使用すれば、遠隔操作でも各スタッフの営業力の確認や指導が行えるのです。また、CRMで顧客情報を一元管理しているため、顧客情報が属人化する心配もありません。IP電話システムを上手く活用すれば、フルリモートのセールスチームも簡単に構築することができるのです。

(参照:MiiTel「導入事例」)

まとめ

この記事では、IP電話の魅力をご紹介しました。固定電話より通話料金が安く抑えられるIP電話に切り替えるリスクは少ないです。フリーダイヤルは利用できませんが、それ以外のデメリットはありません。また、クラウドPBXを導入すれば、リモートワークの構築もできます。そのため、IP電話の導入を検討してみてください。

また、この記事ではIP電話と連携して利用すべき各種システムをご紹介しました。各種システムを最後におさらいをしておきましょう。

  • IVR…コンピューターによる音声自動応答システム
  • ACD…着信を組織内の特定の端末またはオペレータグループに分配するシステム
  • CTI…自動録音機能などが備えられているコンピューターと電話を統合したシステム
  • CRM…営業マネジメントに役立つ顧客管理システム

ぜひ、これを機会にIP電話で業務効率化を目指してください。

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