インサイドセールスを立ち上げる方法とは?ゼロから成果を上げるコツも解説

目次
コロナ禍を契機にオンラインファーストの潮流が加速し、企業の成長において欠かせない要素となりました。オンラインビジネスの活用が進む中、企業はこれまで以上にデジタルでの顧客接点を強化し、新たなビジネスチャンスを生み出すことを求められています。
しかし、オンライン広告に投資をしても、商談・受注を簡単に得ることはできません。なぜなら、獲得した見込顧客を育成しなければいけないからです。そのため、見込顧客の育成をして商談・受注件数を増やすために、インサイドセールス部門を立ち上げる企業が増えています。
では、インサイドセールス部門はなぜ必要なのでしょうか?また、どのように立ち上げれば成果につながるのでしょうか?
この記事では、成果をあげるインサイドセールス部門の立ち上げ方について解説します。
インサイドセールス部門の立ち上げの必要性
まず、インサイドセールス部門を立ち上げる方法について触れる前に、必要性について述べたいと思います。
オンラインファーストの潮流の加速
2020年4月の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、オンラインでのビジネス活動の重要性が高まりました。従来はオフラインの代替と考えられていたオンラインの活用が、現在では同等の価値を持つものとして広く認識されています。
もちろん、対面での商談やネットワーキングといったオフラインの活動も引き続き重要ですが、デジタル化が進む現代において、オンラインファーストの潮流はさらに加速しています。
McKinsey & Companyの調査結果によると、BtoBビジネスはオンラインで行うべきだと回答した人が、オフラインの約2倍にものぼりました。この結果から分かるように、デジタルを駆使した営業活動は欠かせないものとなり、インサイドセールスが注目を浴びているのです。
リモート営業や在宅勤務の普及
緊急事態宣言ではリモート営業が余儀なくされました。当時、多くの方が在宅勤務でも仕事が行えると感じたことでしょう。コロナ禍を経て、ライフワークバランスを重視し、在宅勤務を希望する人は増え続けています。
このような人材の中には、優秀な人材が埋もれているため、企業成長のために多様な働き方を認めていくべきでしょう。インサイドセールスは在宅勤務で実現できるため、新たな職種として注目を浴びています。
消費者購買モデルの変化
消費者購買モデルは変化をしています。従来は、営業担当者に会って課題を聞いてもらい、 解決方法を提案してもらうのが主流でした。
しかし、デジタル技術の進化とオンライン情報の充実により、顧客自身が必要な情報を収集、比較・検討できるようになっています。 従って、各企業はオンライン上に戦略に注力していますが、リード獲得ができても、リード醸成ができずに顧客獲得単価が上がるという問題が出てきています。
このような問題を解決するために、獲得したリードを醸成するインサイドセールス部門が必要となってきたのです。
インサイドセールス部門の立ち上げ方

インサイドセールス部門の必要性は理解して頂けたと思います。実際に、どのように立ち上げるのでしょうか?ここでは、インサイドセールス部門の立ち上げ方について解説します。
1. 目的を明確にする
まず、インサイドセールス部門を立ち上げる目的を明確にします。インサイドセールス部門を単なる内勤営業と誤解して、営業に係る移動時間や費用の削減する企業は存在します。
しかし、インサイドセールス部門は、商談件数や受注件数の増加による売上最大化のために立ち上げるべきものです。営業活動データを分析して営業手法をブラッシュアップしていくことで、売上の最大化が図れることが、インサイドセールス部門の最大のメリットです。これらを踏まえた上で、インサイドセールス部門を立ち上げる目的を明確にしましょう。
まず何よりも重要なことは、インサイドセールスを立ち上げる目的とゴールを明確にすることです。
インサイドセールスを単なる内勤営業という風に捉えてしまうと、移動時間や移動コストの削減だけに目を向けてしまいがちですが、その主な目的は“有効案件数(パイプライン数)と成約率の増加による売上の最大化”であるべきです。
実際にセールスフォース・ドットコムの調査によると、インサイドセールスを導入した企業では、「案件数が増加した」「新規顧客数が増加した」だけでなく、他にも「アポの質が上がった」「営業分析に基づく打ち手を出すことが可能になった」「顧客情報の適切な利用ができるようになった」など、データを活用できるようになったことによる業務改善の効果も報告されています。
引用:日本企業の7割がまだ知らない!? 営業の現場力を革新するインサイドセールスとは Vol.2|セールスフォース・ドットコム
コロナ禍を経て、対面とオンラインを組み合わせた営業活動の両立が定着しています。 最初の一歩として移動コストの削減を目指すことを目的としてもよいかもしれませんが、最終的には売上の最大化を目的とした営業組織の構築を目指す必要があります。
2. チームの形態を決める
次に、インサイドセールス部門のチーム形態を決めます。チーム形態は、インサイドセールスの目的や役割に応じて3つに分類されます。自社商品・サービスやターゲット顧客によって、最適なチーム形態は変わることを覚えておきましょう。
・分業モデル

営業活動の前半(リード獲得や醸成、ヒアリング、アポイント獲得)をインサイドセールスが担当して、セリングやクロージングをフィールドセールスが担当するなど、営業プロセスを分担する方法です。
各担当者の営業活動領域が明確になるため、進捗の可視化やモチベーションアップにつながるというメリットがあります。従って、営業組織全体の強化を図りたい場合に選ばれます。高額商品や継続課金の商品・サービスを販売する場合は、きめ細かなフォローができる分業型がおすすめです。
・協業モデル

営業活動の前半をインサイドセールスが担当し、必要に応じてセリングやクロージングまで担当する方法です。多くの案件を抱えており、業務効率化や情報の正確性を担保したい場合に、協業モデルのチーム形態が選ばれます。
しかし、責任区分が不明確になりやすく、引き継ぎ難易度が上がるというデメリットも存在します。
・独立モデル

営業活動の全てをインサイドセールスがリモートで担当する方法です。営業効率性が上がり、コミュニケーションコストが最小限に抑えられるため、営業効率を最大化したい場合に、独立モデルのチーム形態が選ばれます。しかし、低単価商品の顧客以外は受注が難しいです。
それぞれのタイプのメリット・デメリット、また自社の組織がどのタイプを導入すべきかについては、「Vol.2 インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用」をご参照ください。
インサイドセールスのリーダー(責任者)として誰をアサインするかという問いに対しては、多くの場合フィールドセールスの責任者、またはエースクラスの営業担当者というケースが多いです。
何故なら、インサイドセールスはマーケティングやフィールドセールスなど、他部門との円滑なコミュニケーションが必要で、他部門からの信頼を得ていてコミュニケーションスキルにも長けていることが求められるからです。
このとき、組織として注意すべきことは、インサイドセールスがフィールドセールスの下に位置するようにしないことです。まるで都落ちのように見えてしまうと、当然担当者のモチベーションに悪い影響を与えてしまいます。
確かに、インサイドセールスはフィールドセールスのための教育機関と位置づけられることがあります。しかしながら、インサイドセールスが組織上どれだけ重要であるかをしっかりと理解させることが肝要です。
インサイドセールスの位置づけと担当者が決まったら、詳細な業務プロセスを描き、各部門や各業務に対するKPIを設定していくことになります。
このKPI設定は特に重要です。メンバーレベルの話では、例えばインサイドセールスとフィールドセールスを兼任するような場合に、契約数というKPIを持っていると、顧客の興味を醸成するというインサイドセールスとしての役割がおざなりになります。
各役割によって異なるKPIを設定することが、組織を機能させるポイントでもあります。この段階の詳しい内容については、下記記事を参考にしてください。
3. チームメンバーを決める
インサイドセールスのチーム形態を決めた後は、メンバーを採用します。インサイドセールスに向いている人は、素早く正確なオペレーションを実行できる人です。
また、一度断られた顧客に対して委縮するのではなく「状況が変わっているかもしれない」とポジティブに物事が考えられて、行動できる人が向いています。顧客の事業や担当者の悩みに興味・関心が持てて、フォローできることが、インサイドセールスには欠かせません。このような人を採用しましょう。
4. 業務プロセスを確立する
インサイドセールス部門を立ち上げたら、理想通りに稼働させていくために業務プロセスを確立していきます。
【業務プロセス】
1.営業活動の優先順位を決める
受注時に期待できる取引規模や受注確立によって、営業活動の優先順位を決めます。
2.顧客が抱える問題の仮説立て
顧客情報を収集したり行動履歴を確認したりして、顧客が抱える問題を仮説立てしておく。(※仮説立てをしておき、営業資料を用意しておくと良い)
3.顕在・潜在課題のヒアリング
顧客が抱える課題を聞き出します。また、初回アプローチの場合にはBANT情報もヒアリングしておきましょう。BANT情報とは「Budget:予算」「Authority:決裁権」「Needs:必要性」「Timeframe:導入時期」です。
4.自社サービスが課題解決に寄与するかを説明
顧客の課題を聞き出したら、自社商品・サービスが課題解決に寄与することを具体的に説明して、商談のアポイントを取得します。アポイント取得ができた場合は、商談日程をメールで入れる際に、ラップアップした情報も送りましょう。
5.セリング・クロージング
顧客の課題を深く理解した上で、どのように課題解決していけば良いかを説明します。その後に、クロージングをかけて受注獲得となります。
5. トークスクリプトを作成する
インサイドセールス部門の営業力を上げるためには、見本となるトークスクリプトが欠かせません。そのため、トークスクリプトを作成しましょう。トークスクリプトは、顧客との関係性で開拓型と醸成型を使い分けてください。
インサイドセールスを構築する上でよく聞かれる、トークスクリプトを作るべきかどうかについて説明したいと思います。ご存知の通り、トークスクリプトは営業電話やテレアポなどの業務において、顧客と話す際にお手本となる台本のことです。
トークスクリプトは、新規開拓のテレアポの場面ではよく使われますし、目的によっては有用だと考えられます。一方で、顧客の興味を醸成する場面では、決まりきったスクリプトはあまり効果的ではありません。単にYes/Noをなぞっていくだけのスクリプトは尋問のようになり、顧客ごとに適した会話につながらないからです。そのため、インサイドセールスの役割やそのときの目的に応じて使い分けるのが理想でしょう。
新規開拓型=トークスクリプト
新規開拓型に近い役割のインサイドセールスをする時には、供給するアポの質がバラバラにならないことが重要です。そのため、同一トークかつ同一レベルのリードで創出したアポイントを供給していきます。それも1回目の電話の内容だけでなく、2回目、3回目にどのような内容を話すかのシナリオを作成するとよいです。
顧客醸成型=会話のフロー
顧客醸成型では、分岐や話すこともパターン化ができなくなるため、細かなトークスクリプトではなく、大まかな会話の流れ「会話のフロー」を作るべきです。顧客に合わせて質問内容を自分で考え、相手の興味関心に合わせて会話を展開するスキルが重要です。
いずれにしても、会話内容や質問内容についてのPDCAを必ず回すことが重要です。新規開拓であれば何件アプローチした結果、何件コンタクトを取れたのかなど、常に数字を見ていきます。少しでも数字が落ちてきたら、トーク内容を変えるなどして改善していく必要があります。
リモートでインサイドセールス部門を立ち上げるコツ

リモート環境下で、インサイドセールス部門を立ち上げる場合は注意が必要です。コミュニケーション不足で、従業員のモチベーションが低下して離職者が出るなど失敗に陥りやすいです。そのため、計画を立ててインサイドセールス部門を立ち上げましょう。
ここでは、リモート環境下でインサイドセールス部門を立ち上げるコツをご紹介します。
OKR (Objective and Key)を策定する
OKR(Objective and Key)とは「目標」を指します。チーム全体と個人の目標を立てましょう。長期的な目標だけではなく、短期的な目標を設定しましょう。目標到達する度に称え合うことで、従業員のモチベーションを上げることができます。
レスポンスを早めにする
リモート環境下では、レスポンスの早さが重要です。返事を待つことは、物理的にも精神的にも大きな負担となります。同じ職場で働いている場合は、相手の状況が伺えるため、返事が遅れても気になることはないでしょう。
しかし、リモート環境下では相手の状況は伺えません。従業員に不安を与えないためにも、早めのレスポンスを心掛けてください。
従業員を信用すること
リモート環境下では、相手の行動を把握することができません。業務期間中にサボる人が出てくるのではないかと懸念して、従業員の行動を監視してはいけません。
成果主義の制度を導入して、自由で生産が高い働き方を提供しましょう。従業員は信用されることで、責任を実感できます。
オンライングロースの考えを取り入れてみる
オンライングロースとは、オンラインツールを駆使することで、業務効率化を図るという意味です。オンラインツールを導入することで、リモート環境下に移行しても生産性の高い業務が実現できます。
コミュニケーションの場を設ける
リモート環境下で働くと、孤独を感じやすくなります。そのため、積極的にコミュニケーションの場を設けましょう。ランチの時間帯にリモート接続して交流の場を設けて、交流関係を深めてください。相互理解を深めることで、業務の生産性や業務効率化につながります。
セルフコーチングの場を提供する
仕事に対する意欲が高い従業員のモチベーションを維持するためには、コーチングの場の提供が効果を発揮します。従業員各自で実現したいことがあるはずです。自己実現を叶えるための、コーチングの場を提供してあげましょう。
組織の成長を加速させるアジャイル組織論

インサイドセールス部門を立ち上げて、組織の成長を加速させるためには「アジャイル組織論」が欠かせません。アジャイル組織論に沿って、PDCAサイクルを回していきます。ここでは、アジャイル組織論について分かりやすく解説します。
インサイドセールス立ち上げに読みたいおすすめの本
最後にインサイドセールスを立ち上げる際に、参考として読んでおきたいおすすめの書籍を紹介します。
THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
言わずとしれたセールスフォース社が世に広めたThe Modelを用いた、営業組織の作り方と実践ノウハウが凝縮されています。著者はそれぞれ日米のオラクル社、セールスフォース社を渡り歩いた福田康隆氏。インサイドセールスを立ち上げる上では絶対に外せないバイブル的な書籍です。
ノヤン先生のマーケティング学
日本有数のBtoB専業マーケティングアウトソーシング企業、シンフォニーマーケティングが運営する「マーケティングキャンパス」内の人気連載「ノヤン先生のマーケティング講座」の書籍化。著者は同社代表の庭山一郎氏。インサイドセールスに特化した内容ではないが、BtoBマーケティング全体を深く理解する上で必携の一冊です。
ここまで、インサイドセールスの導入を検討している方に向けて、初めの一歩として必要なステップをご紹介しました。次回はインサイドセールス部門の人事・採用にフォーカスする予定です。
まとめ
今回は、インサイドセールス部門の立ち上げ方をご紹介しました。最後に、おさらいをしておきましょう。
【インサイドセールス部門の立ち上げ方】
- インサイドセールス部門を立ち上げる目的を明確にする
- インサイドセールスチームの形態を決める
- インサイドセールスチームのメンバーを選定する
- インサイドセールスの業務プロセスを確立させる
- トークスクリプトを作成しておく
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインファーストの潮流が加速しました。オンラインマーケティングで獲得した見込顧客を育成して、商談・受注件数を伸ばしていくビジネス形態へと変化してきています。この変化に対応するためにも、インサイドセールス部門を立ち上げてみてください。
電話営業のアポ成功率アップは「MiiTel Phone」

「MiiTel Phone(ミーテルフォン)」は営業トークにおける話速・会話の被せ率・沈黙回数などを定量的に分析・可視化することで、営業の生産性を向上してくれる電話解析AIです。電話・Web会議・対面での全ての会話のブラックボックス化の解消から会話データの利活用まで幅広くご利用いただけます。
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