Vol.3 インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用
インサイドセールスから、インサイトセールスに近づける5つのヒント
前回、インサイドセールス導入時の検討事項、留意事項についてご説明させていただききましたが、今回は、導入後どうしたらインサイドセールスを効果的に運用できるかという点にフォーカスしてお話します。
「利益を増大させるインサイドセールスのメカニズム」でもご説明した通り、Field Sales(外勤営業)に対してInside Sales(内勤営業)というネーミングになっていますが、その役割にフォーカスすると本当はInsight Sales(インサイトセールス)が正しい呼び名だと思います。
どういうことかと言うと、顧客の潜在ニーズ(外的インサイト)を発見する役割と、司令塔となって部門間の連携を促すことにより組織の潜在能力・ニーズ(内的インサイト)を発見する役割を担っているので、役割にフォーカスするとInsight Salesになるのではないかということです。
Insight Salesを創り上げる為には、先ずはインサイドセールス(内勤営業)を導入し、部門間連携を図って試行錯誤しながら、Insight Salesに昇華させていく必要があります。
まずは、インサイドセールスを導入(協業モデル→分業/独立モデル)
続いて、インサイドセールス→Insight Salesへの昇華
今回は、インサイドセールスを少しでも早くインサイトセールスに昇華すべく、より有効に運営する為の5つのヒントを、Inside Sales.comが実施した大規模調査をもとにご紹介します。
Inside Sales.com が52万回の電話営業をAIに分析させてパターンを解析したところ、トップパフォーマーは5つの特徴を持っているが浮き彫りになりました。
(1) 話すよりも聞く
(2) 3~4個の課題を発掘する
(3) より多くのKey Topicに関する質問をする
(4) 一貫した質問フローを持つ
(5) 午後に電話を掛ける
具体的なデータを元に1個ずつご説明します。
(1) 話すよりも聞く
トップパフォーマーは、電話営業中54%の時間を“聞く”時間に割いている。
トップパフォーマーは、1分以内に話者が切り替わる(会話のラリー率が高い)。
「営業の本質とは?個人/組織の営業力を上げるためには?」でもご説明した通り、顧客の利益を最大化/費用を最小化する為には、先ず顧客がどの様な課題を抱えているかヒアリングする必要があります。
そのためには、自社のサービスについて話すよりも、相手の話を良く聞く必要があります。トップパフォーマーは話すのが上手いというよりも、相手の話しを聞くのが上手いのです。
また、ただ話を聞くだけでなく、SPINなどの手法を用いてアクティブリスニングすることで会話のラリー率を高めることが重要です。
(2) 3~4個の課題を発掘する
トップパフォーマーは、3~4つの課題を発見する。
会話時間の約半分は課題発掘に充てるべきで、その時間内で3~4つの課題を見つけるがベストです。多すぎても少なすぎてもダメです。理想的な会話の展開は以下の様なステップとなります。
導入 25% ラポール形成(信頼醸成、関係構築)
展開 50% 3~4つの課題発掘
結論 25% ラップアップ、次のステップについての合意
(3) より多くのKey Topicに関する質問をする
トップパフォーマーは、11~14個程度の質問をし、そのうち約10個はKey Topicに関する質問をする。
質問は少なすぎると、課題とその背景や深度を聞き出せず、多すぎると無駄話が多くなり本質的な質問が埋もれてしまいます。具体的にどのように質問すれば良いかは、「営業の本質とは?個人/組織の営業力を上げるためには?」で述べていますが、相手の立場に立って課題を予め想定した上で、課題(顧客のニーズ)を顧客自身に自覚して貰うことを心掛けて下さい。
(4) 一貫した質問フローを持つ
トップパフォーマーは、通話時間に亘り、質問のペースが一定で、しっかり相手の事を理解しようとする。
既述の、①導入、②展開、③結論に分けて、それぞれのフェーズで適切なタイミングで適切な質問をして、相手に喋る時間・間を与える必要があります。パフォーマンスが標準的な営業は、冒頭に矢継ぎ早に質問してしまっていますが、これは、聞きたい事だけ聞いてしっかり相手の回答を理解しようとしていないためです。
トークスクリプトは必ずしも作成する必要はありませんが、質問のタイミングや頻度を定型化する事が重要です。すべての質問をまとめてしない、またしっかりと相手に答える時間・間を与えることを心がけましょう。
(5) 午後に電話を掛ける
狙った担当者に一番繋がる時間帯は、15~17時。
朝はメール・書類処理やチーム会議、その他雑務などで忙しいので、電話を掛ける時間帯としては望ましくありません。
「営業の本質とは?個人/組織の営業力を上げるためには?」でもご説明しましたが、視野・視座・視点のうち、視座を変えて相手の立場に立つことで些細な気遣いが出来る様になり、結果として営業生産性の向上、延いては成約率の向上につながります。些細な気遣いが大きな結果の違いを生みます(細部に神は宿る)。視座を変えることを強く意識しましょう。
いかがでしたでしょうか?インサイドセールス組織を既にお持ちの皆さんや、これから導入する皆さんは以下5つを実践してインサイトセールスへの歩みを1歩近づけて戴ければと思います。
(1) 話すよりも聞く
(2) 3~4個の課題を発掘する
(3) より多くのKey Topicに関する質問をする
(4) 一貫した質問フローを持つ
(5) 午後に電話を掛ける
次回は、実際にインサイドセールスを運用している人たちがどの様な悩みを抱えているか、それを解決する為にはどうしたら良いかご説明します。
ちなみに、これまで3回にわたり、インサイドセールスは日本で浸透するのか、インサイドセールスを導入する為にはどうしたら良いか、導入後に効果的に運用する為にはどうしたら良いかについて考察を述べて参りました。
今回で一段落しましたので、全3回の内容を1冊のE-Bookにまとめました。
よろしければ、ご活用下さい。
【E-book】インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用
【Vol.1】日本におけるインサイドセールスの展望
【Vol.2】インサイドセールス導入時の検討事項と留意点 ~3つのタイプと夫々の特徴~
【Vol.3】インサイドセールスから、インサイトセールスに近づける5つのヒント
また、コチラの記事「インサイドセールスを的に運用する為には?」では別の定量調査結果をご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
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