情報収集力や情報感度の高まりに加え、働き方や価値観、ライフスタイルが多様化しています。とりわけ保険業界においては、商品の売り込み型営業が通用していたこれまでとは異なり、今は顧客一人ひとりに見合った保険商品を提案していく高度なトークスキルが求められています。
さらに、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の対策として、顧客との関係性を非対面の環境で構築していく必要性は高まる一方。実際、インサイドセールス(or テレアポ)やオンライン面談を取り入れている保険会社が増えています。
そこで、この記事では保険業界において今求められる、インサイドセールス(or テレアポ)とリモート商談のトークスキルを向上させる5つの方法を解説します。
・トークスキルが向上しない
・スクリプトを用意しているのに個人差が出る
・成約率が上がらない
といった悩みや課題を抱える保険会社の経営者やマネージャーは必見です。
目次
商品売り込み型から課題解決型アプローチへ
働き方や価値観、ライフスタイルの多様化により、一つの商品をマスメディアに向けて大量販売するようなマスマーケティングは通用しなくなっています。
加えて、少子高齢化が進み、国内の見込み契約者数が減少している中で、売り上げを確保するためには、顧客を重視した経営が不可避です。
闇雲に商品を売り込む営業スタイルから1日も早く脱却し、顧客の課題をしっかりとヒアリングし、解決に導く商品を提案しましょう。
そのための糸口として、顧客情報を適切に管理できるCRMと呼ばれるシステムがあります。
CRMにて保険見直しのタイミングやライフイベント発生時期を把握したり、内部連携を強化することで、顧客一人ひとりのニーズに対応した商品の提案が可能に。顧客満足度向上や機会損失防止につながります。
~保険業界におけるCRM導入成功事例~
▶︎日立保険サービス
〜CRM導入前〜
・顧客情報、契約情報、事故情報といった保険に関わる情報は各部門や個人が管理しており、顧客対応ができるのは担当者のみとなっていた。
・データの集計や分析に膨大な時間と工数がかかっていた。
〜CRM導入後〜
・情報の引き継ぎ、共有、進捗管理を可視化することで、担当者以外でも顧客対応ができるようになり、クライアントの満足度が向上した。
・担当者交代による引き継ぎの効率化、部署間を超えたデータ分析、収益の簡略化を行うことにより、会社全体の生産性が向上した。
▶︎共栄火災海上保険
〜CRM導入前〜
・各保険の記録媒体やシステムが異なることから、コールセンタースタッフが複数商品の問い合わせと対応が難しかった。
〜CRM導入後〜
・コールセンタースタッフの対応の幅が広がり、待ち時間が減少。
・通話内容の品質評価wを登録する機能により、対応品質向上の仕組み化も整備。
・記録媒体を統一することで業務効率化を実現。生産性の向上にもつながった。
(参考:保険業界でCRMが注目されるワケ | 顧客満足度獲得で売上向上を目指そう )
トークスクリプトは相手や状況に合わせて変化させる
多様化する顧客ニーズに伴い、トークの反応も十人十色です。トークスクリプトでは相手の発言部分の記載を最小限に留め、本番では相手の反応に合わせて変化させましょう。
また、市場環境の変化や成功トークを参考に、日々改善していくことも重要です。成果を上げている人の話し方をトークスクリプトに落とし込めば、会社全体のトーク力を底上げすることもできます。
(参考:テレアポスクリプトの流れと構成・ありがちな失敗を解説|成功率を高める8つの方法とは? )
セールストークだけでなく「雑談力」を高める
保険営業において、売れるセールスマンと売れないセールスマンの違いは、提案ノウハウでもなければセールストークでもありません。
売れるセールスマンの最大の武器は、セールストークに移る前の「雑談力」にあります。そして、その「雑談力」のベースとなるのは、ヒアリング力。トークの主導権はあくまでお客さまであることを念頭に、自分が話したいことを話すのではなく、相手から話を聞き出すことに注力しましょう。
先述の通り、これからは顧客一人ひとりに見合った商品を提案していくことが課題。そのためにも、会話の中で情報を集めて相手との距離を縮め、信頼関係を築いていく「雑談力」が大きな鍵を握ります。
トークとリッスンの比率としては、お客さま:あなた=6:4くらいが理想的とされます。
具体的には「どんな仕事をしているのか」を聞き出せば、そこから相手の課題を探ることができます。ほかにも、ニュースや時事ネタなどは、相手の興味や価値観などを知るいいきっかけになります。気軽に出せる話題として、天気や季節、趣味の話もおすすめです。
(参考:【保険営業】セールストークではなく売れる人の雑談を学べ
)
(参考:営業成績は”雑談”で決まる!関係値が高まる営業トークのコツとは? – SalesTechHub|すべての営業チームのためのセールステックメディア )
曖昧な断りに効果的な「切り返し」テクニック
保険の営業は断られるのが当たり前の世界です。わかっていても慣れないうちは心が折れ、早々と電話を切ってしまう人も多いでしょう。
しかし、テレアポの断り文句には、いくつかのパターンがあります。「時間がない」「間に合ってます」といった曖昧な断りに対しては、下記の切り返しトークで応戦し、危機を乗り越えましょう。
【イエス・バット法】
相手の断り理由を「そうですね(Yes)」と肯定してから、「しかし(But)」と切り返して自分の意見を伝える話法です。
相手に不快感を与えないために、相手の断りをしっかりと受け止め、すぐに「But」に移行しないことが大切です。
トーク例)—————————————————————————————————————-
顧 客:「今、時間がないので…」
あなた:「そうですよね。お忙しいときに本当に申し訳ございません。3分だけでもお時間をいただくことは難しいでしょうか?」
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【ブーメラン法】
相手の断りの理由をこちらがおすすめする理由「だからこそ…」に変えてしまう話法です。会話の最後に「というのは…」を付け加えることで、より説得力がアップします。
トーク例)—————————————————————————————————————
顧 客:「すでに使っているので、間に合ってます」
あなた:「実は、他社のサービスを利用されている方こそ、喜んでいただけるお話なんです。というのは…」
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【事前反対処理】
相手が断る理由を予想して、反論の余地を与えない話法です。断られる直前に使うことで効果を発揮します。
トーク例)—————————————————————————————————————-
あなた:「〇〇さまはお忙しい方ですので、短い時間で結構です。お話を聞いていただきたいのですが、今週でしたらいつがよろしいですか?」
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断りを切り返すには、高度なトークテクニックを要します。最初から上手く切り返せる人は多くないではず。断られたらその理由をメモして、どのように切り返すべきかを考えておきましょう。断られてもタダでは起きないこと。切り返しトークの引き出しを増やし、次の準備につなげてください。
(参考:テレアポや営業で活用できる切り返しトーク(アウト返し) )
リモート商談での「見せ方」にも創意工夫を
新型コロナウイルス感染拡大の対策として、業界に先駆けてリモート商談を取り入れたプルデンシャル生命保険。若手社員が中心となり、わかりやすさやインパクトを狙ったユニークなアイデアで、オリジナルのリモート商談スタイルを捻出。顧客のハートを捉え、着実に成果を上げています。
〜「見せ方」に一捻り!リモート商談アイデア事例〜
・オンライン塾講師のように、自分の背後にホワイトボードを設置し、そこに要点などを書きながら説明する。
・フリップ数枚に自分のプロフィールを手書きで作成し、紙芝居仕立てで自己紹介する。
・自己紹介のショートムービーを制作して、商談前に顧客へ送る。
2020年3月に首都圏での対面営業を一時停止したところ、成約数0件だった社員がいる一方で、リモート商談を駆使した若手社員は40件の成約を獲得するなど、差が大きく開きました。
リモート商談の有益性を実感し、今後は対面とリモートを組み合わせた「ハイブリッド型」の営業スタイルへとシフトチェンジしていく方針を打ち出しています。
(参考:コロナ禍でも数字を上げ続ける営業マンたちは、リモート商談で何をしているか | PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン) )
まとめ
保険営業で今求められるのは、顧客の悩みや課題を正しく把握したうえで、一人ひとりのニーズに見合った最適な商品を提案すること。
そのためには、CRMなどで顧客情報を管理し内部で連携強化を。また、雑談力を磨いて相手の情報を聞き出すことも、成約率を上げる大きな力になるはずです。
〜トークスキルを向上させる5つの方法〜
❶ 商品売り込み型から課題解決型アプローチへ
❷ トークスクリプトは相手に合わせて変化させる
❸ セールストークだけでなく「雑談力」を高める
❹ 曖昧な断りに効果的な「切り返し」テクニック
❺ リモート商談での「見せ方」にも創意工夫を