コミュニケーションが希薄になりやすいテレワークでは、チーム間での情報共有をし、スムーズに業務を行うため、業務報告の重要性が高まります。
本記事では、リモート環境下で業務報告をするための7つのコツについて教えます。さらに、テレワークに役立つ各種ツールも紹介します。
リモートワークだからこそ業務報告が重要
コロナ禍の中で急速に導入が進んだ「リモートワーク」。急な体制変更を強いられたケースも多く、体制をじっくり整えることができず苦労している企業が多いのも現実です。
Sansan株式会社の「リモートワーク / テレワークに関する意識・実態調査」によると、約7割の企業が「管理が必要なチームメンバーの行動が見えにくいこと」を課題に感じていることが明らかになりました。
メンバーの働く姿が見えないテレワークでは、誰がどんな仕事をしているのかがわかりにくいもの。そのため、進捗の確認が難しくなったり、トラブルの発生に気づきにくくなったりすることに注意が必要です。
リモート環境下でも、マネジャーがメンバー1人ひとりの状況を把握し、仕事を円滑に進めるためにも、業務報告は重要な役割を果たします。
(参考:リモートワーク実施企業400社への実態調査 「リモートワーク導入前に押さえておくべきポイントとは」)
リモートワークでの業務報告をスムーズに行う7つのコツ
リモートワークで業務報告を行うためには、プロジェクトや状況に適したツールを使い分ける必要があることがわかりました。
では、リモートワークでの報告自体をスムーズに行うには、どうすればいいのでしょうか。すぐに実践できる「7つのコツ」を教えます。
1.報告する内容をテンプレート化しておく
業務報告の負担を軽くするために、「報告内容のテンプレート化」をしておきましょう。
おすすめの方法は、作業ごとに「いつ」「どこで」「何を」「どのくらいしたのか」を、箇条書きで簡潔に報告することがポイントです。コピーして使えるテンプレートシートを以下に掲載しましたので、ご活用ください。
<業務報告テンプレートシート>
◯ 月◯日(◯)業務報告
【作業内容】
時間:◯◯
場所:◯◯
進捗:◯◯
所感:◯◯
備考:◯◯
◯ 月◯日(◯)作業予定
【作業内容】
時間:◯◯
場所:◯◯
進捗目標:◯◯
(参考:リモートワーク時の業務報告書の書き方と、わかりやすく書くポイント)
2.普段よりも報連相を密に行う
テレワークでは、普段よりも報連相を意識的に密に行いましょう。また、無駄話やカジュアルな会話ができる環境を整えておくことも重要です。
細かいことでも、常に報告・連絡することがポイントです。そのためには、相談しやすい雰囲気を作ることで、未然にトラブルを防ぐことができます。また、「雑談専用チャンネル」を設けることで、何でも相談できる雰囲気をつくりやすくなります。さらに、
慣れてきたら、「メンバー同士で褒め合うためのチャンネル」や「弱音を吐くためのチャンネル」なども作ってみるとよいでしょう。
(参考:テレワーク総合ポータルサイト「テレワーク時の報告・連絡・相談はどのように進めれば良いでしょうか。」)
3.情報格差が生じないようにする
メンバー間の情報格差にも注意が必要です。できる限り、特定の人だけにメッセージを送るDM(ダイレクトメッセージ)を使わずに、オープンな場所での報告を心がけましょう。
(参考:明日から導入できる!リモートワークの導入ステップと注意点【新型コロナ対策プランあり】)
4.オンラインでは普段よりも表情を意識する
リモート環境ではオンライン通話をする機会も多いでしょう。オンライン通話で顔を合わせるときには、普段よりも表情を意識することがポイントです。
特に照明が暗い場所でオンライン通話をすると、表情が暗く見えてしまいがちです。また、ツールに慣れていないことで、実際に表情が硬くなってしまう人もいます。
相手に冷たい印象を与えないように気を付けましょう。
(参考:オンライン会議で印象が格段に上がる、3つのポイント。【笑顔の効能 Vol.3】)
5.文章だけの場合にはニュアンスにまで気を配る
テレワークで主となる「文章だけのやり取り」では、文章のニュアンスにまで気を配る必要があります。
必要なことだけを伝える、文末に「。」しか使わないような書き方は、怒っているように見えるときがあります。特に、何かミスをして萎縮してしまっている人ほど、「自分のせいで相手が怒っている……」と感じてしまうもの。受け取る側に雰囲気が伝わるように、「!」や絵文字を入れると、お互いに気持ち良くコミュニケーションを取れます。
また、言葉選びに気を配るのも大切です。テレワークに役立つ「言い換え例」を掲載するので、シーンに合わせて、使ってみてください。
【テレワークで取り入れたい言い換え集】
× 「何かあれば相談してくださいね」
〇「何かあれば教えてくださいね」
→「相談に乗ってあげる」のではなく、「自分が教えてほしい」というニュアンスが伝わり、相手が相談しやすくなります。
× 「やっておきますね」
〇「私に任せてください」
→キャパオーバー・体調不良で休むメンバーなどの仕事をサポートするときは、相手が安心できるような言葉を使いましょう。心身ともに辛いときだからこそ、些細な言葉の違いが、心に響きます。
× 「大丈夫ですよ」
〇「どういたしまして」
→他メンバーのサポートをしたり、仕事を引き継いだりしたときは、お礼を言われるでしょう。「どういたしまして」と、相手の感謝を受け止めることで、気持ちに寄り添ってもらえたような心強さを感じられます。
(参考:リモートワークこそコミュニケーションが重要!相手からの信頼を得るコミュニケーションの方法と注意点!)
6.社内コミュニケーションツールの利用ルールを決めておく
業務連絡で「!」や絵文字を使おうといわれても、「普段使わないから使いづらい」「上司が使っていないから、使ったらダメな気がする……」と思う人も多いのではないでしょうか。
社内に絵文字文化が浸透していない場合は、社内コミュニケーションツールの利用ルールとして、「絵文字を使って気持ちを伝えましょう」と定めておけば、使うハードルが低くなります。
また、チャンネルの説明やマニュアルなどに利用ルールを掲載しておくと、新規メンバーも対応しやすくなります。「ルールがわからない」「遠慮して言いたいことが言えない」という不安をなくすために、社内コミュニケーションツールの利用ルールを定め、明記しておきましょう。
7.スケジュールを共有する
テレワークでは、「誰が」「いつ」「どこで」「何をしているのか」が、わかりづらいです。特に裁量労働制のようなスタイルで働いているチームでは、休日や稼働時間も、メンバーごとにバラバラでしょう。遠慮して連絡できなかったり、緊急連絡をすぐに返せたなかったり、不都合が生じることもあります。
そのため、メンバー同士でスケジュールを共有し「いつ、誰に連絡していいのか」を見極めやすくしておくことも大切です。
タスク管理で紹介した「GoogleのToDoリスト」や「Torello」と連携することもでき、スケジュールとタスクを、まとめて確認できます。
(参考:Google カレンダー スタートガイド)
リモート環境下での業務報告に適したツールとは?
リモート環境下ではメンバー同士の距離が物理的に離れているため、コミュニケーションが希薄になりやすく、情報や作業内容を共有しづらいです。よって、リモートワークで業務報告を行うためには、プロジェクトや状況に適したツールが必要です。以下、おすすめツールについて説明します。
1.「社内コミュニケーションツール」を利用する
メールでの業務報告よりも「社内コミュニケーションツール」を利用することがリモート環境下でスムーズなやりとりに役立つことでしょう。
メールの場合、業務報告のたびに件名や宛先を入力しなければなりません。さらに、文頭や文末に定型の挨拶を書いたり、自分の所属を示す「署名」を入れたり。メールには、細かな手間や心理的な負担が多いです。
しかし、社内コミュニケーションツールならば、「件名」「宛先」「署名」は必要なし。報告の手間がかからず、メールよりもカジュアルにやり取りができるため、心理的な負担が少ない分レスポンスが早くなります。
「社内コミュニケーションツール」としてよく使われているのは、シームレスなやり取りが簡単にできる「Slack」です。Slackでは、自社のチャットルームの中に、いくつもの「チャンネル」を立ち上げられます。プロジェクトごとにチャンネルを分けたり、日々の業務報告専用のチャンネルを作ったり。目的に応じてチャンネルを分けることで、メッセージが多すぎて混乱してしまう事態を防げます。また、Cisco Webex Teams、Chatwork、LINE WORKSなどもよく使われています。業務にあった使いやすいツールを選んでみてください。
(参考:Slack)
(参考:オリコン顧客満足度ランキング)
2.顔を見てしっかり話をするなら「Web会議ツール」
テレワークとはいえ、時にはメンバー同士顔を見ながら、密なコミュニケーションを取りたいものです。顔を見ながら話をするときには、「Web会議ツール」を使いましょう。
ツールを選ぶ際は、「複数メンバーで使えるうこと」「PCやスマートフォンの画面を共有できること」が重要です。画面共有を使えば、言葉では説明しづらいことも、視覚的に伝えられるため、対面の会議に近いコミュニケーションが可能です。
「Web会議ツール」でよく使われているのはZoomです。複数人での通話も画面共有も、容易にできます。さらに、Web会議の様子を録画することも可能であり、ミーティングルームは申請許可制にできるので、セキュリティ対策も安心です。Google Meet、Microsoft Teams、Cisco Webex Meetings、Skypeなどもよく使われていますので、業務にあった使いやすいツールを選んでみてください。
(参考:Zoom)
(参考:オリコン顧客満足度ランキング)
3.細かい業務が多い場合は「タスク管理ツール」
細かい業務が多い場合には「タスク管理ツール」が便利です。メンバー全員がアクセスでき、プロジェクト全体や一つひとつのタスクを俯瞰して管理できるものが好ましいでしょう。「タスク管理ツール」として有名なのは、「GoogleのToDoリスト」と「Trello」です。
GoogleのToDoリストは、1つひとつのタスクに期限を設定でき、Googleカレンダーと連携することで、カレンダー上にタスクを表示することも可能。完了したタスクは表示されなくなるため、「全体でどのくらいのタスクが残っているのか」を、視覚的に把握できるでしょう。
Trelloは、いわゆる「看板式」のタスク管理ツール。タスクを階層に分けて管理できます。プロジェクト全体を管理する「ボード」の中に、複数のタスクからなる「リスト」を作り、リスト内には「カード」と呼ばれる細かいタスクを並べられます。カード1枚1枚に期日を設定したり、さらに細かいToDoリストを作ったりすることも可能です。
どちらのツールも、「完了したタスク」と「していないタスク」を、一目で確認できます。その他、Asana、Jootoなども人気ツールです。
(参考:https://notepm.jp/blog/3251)
(参考:Google ToDo リストの使い方)
(参考:Trello)
まとめ
テレワークを成功させるためには、テレワークに適した業務報告が欠かせません。
以下の7つのコツを押さえることで、効率的な業務報告が可能になります。
【リモートワークでの業務報告をスムーズに行う7つのコツ】
1.報告する内容をテンプレート化しておく
2.普段よりも報連相を密に行う
3.情報格差が生じないようにする
4.オンラインでは普段よりも表情を意識する
5.文章だけの場合にはニュアンスにまで気を配る
6.社内コミュニケーションツールの利用ルールを決めておく
7.スケジュールを共有する
さらに、状況にあわせて以下の3つのツールを使い分けましょう。
【リモート環境下での業務報告に適したツール3つ】
1.基本的には「社内コミュニケーションツール」を利用する
2.顔を見てしっかり話をするなら「Web会議ツール」
3.細かい業務が多い場合は「タスク管理ツール」
本記事を参考に、リモート環境下で効果的な業務報告の仕組みを作ってみてください。