The Modelとは?営業戦略に役立つフレームワークを分かりやすく解説!

 営業の効率化が図れるとして、営業戦略フレームワーク「The Model(ザ・モデル)」が注目を浴びています。このフレームワークを適用して、売上を伸ばしている企業がCRMで世界シェアNo.1を誇るSalesforce社です。

The Modelは、Salesforce社が採用する営業戦略フレームワークのため、SaaS業界を中心に注目を浴びています。一体、どのようなフレームワークなのでしょうか?また、活用することでどのような効果が期待できるのでしょうか?本記事では、営業フレームワーク「The Model」について分かりやすく解説します。

 

営業戦略フレームワーク「The Model」とは?

 

The Model(ザ・モデル)は、営業戦略を策定及び実行する際に活用されるフレームワークの1つです。「マーケティング」「インサイドセールス」「営業部門」「カスタマーサクセス」の各部門間が連携して、顧客満足度を高めていくための手法となります。

顧客管理システムで世界シェアNo.1を誇るSalesforce社で活用されている営業戦略フレームワークです。

株式会社セールスフォース・ジャパン(Salesforce社の日本法人)の元専務執行役福田康隆氏が書籍「THE MODEL」を2019年1月に出版して大きな注目を浴びました。

参考:『Salesforce 営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践

 

The Modelによる営業プロセスの分業化

The Modelでは「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」により、営業プロセスを分業化していきます。まずは、各部門が、どのような役割を担うのか見ていきましょう。

 

マーケティング部門

マーケティング部門の役割は、見込み顧客の獲得です。Web広告やSNS広告、ウェビナーなどのオンラインやDMや展示会などのオフラインで見込み顧客を獲得していきます。どの施策が効果を見込むことができるのか個別に管理していく必要があります。

インサイドセールス部門

インサイドセールスの役割は、見込み顧客の育成です。マーケティング部門が獲得した見込み顧客に対して、メールや電話、Web会議ツール等を使用して営業活動をします。顧客にヒアリングして、課題を顕在化させて検討段階に遷移させるなど、商談化を目指します。

営業部門

営業の役割は、契約の獲得です。インサイドセールス部門が育成した見込み度の高い顧客と商談し、受注していきます。ニーズが高い顧客に対して商談し、成約まで取り付けるクロージングが主なメイン業務です。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスの役割は、継続利用や追加受注の獲得です。顧客からお問い合わせがあった場合に、適切な対応をすることで安心感を与え、商品やサービスを継続利用してもらいます。

また、新製品の提案やグレードアップの製品を提案して、クロスセル(別の製品を購入してもらうこと)やアップセル(グレードアップした製品を購入してもらうこと)を目指すことも業務の1つです。

参考:『Salesforce 営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践

 

The Modelを導入するメリット

次にThe Modelを導入するメリットについて述べたいと思います。

営業プロセスの弱点が見える

The Modelでは、各部門の目標数値を決めて連動させていきます。各部門で出る数値は、「業界」「製品」「価格」などで変動していきますが、どこに問題があるか探り出すことができるのです。

どの部門が目標数値に達していないのか一目で分かるようになるため、どのような改善をしていけばよいか、営業戦略が練り直せます。

 

各部門が高い専門性を身に付けられる

The Modelによる営業プロセスの分業化により、各部門が高い専門性を保ちながら、業務に当たることができます。

例えば、インサイドセールス部門と営業部門は、見込み顧客にアプローチするという観点では同じです。

しかし、インサイドセールス部門は主に見込顧客の要望や課題を引き出し、必要な情報を提供して関係を構築していくことを業務としています。その一方で、営業部門は自社製品が役立つ理由を説明し、クロージングして受注することが業務です。

見込み顧客の育成から受注までを1人で行うと大変です。また、全ての業務を1人の担当者で行うと営業活動が非効率となります。このような問題をThe Modelで解決できるのです。

 

部門間の連携を強化できる

The Modelでは、各部門の目標数値を決めて連動させていくと説明しました。このような仕組みにより、営業プロセスを分業化しても、組織全体の目標数値を追いかけ続けられるのです。

この仕組みが整っていなければ、各部門が各自の目標数値だけを追いかけてしまいます。

例えば、マーケティング部門は見込み顧客を獲得していきますが、営業部門から「見込み顧客の質が悪くて、受注につながりそうな人が少ない」という問題になりかねません。このような部門間の連携のトラブルもThe Modelで解決していけます。

 

営業の失注原因が見えてくる

The Modelの仕組みを活用すれば、営業の失注原因が見えてきます。営業活動では、全ての案件が受注に繋がるわけではなく、失注することもあります。一般的な営業活動では、失注した案件はフォローされないことが多いです。

しかし、The Modelは営業プロセスを分業化しており、失注した案件のフォローは、インサイドセールス部門が担います。

例えば、営業部門が商談で失注した原因が「特定の商品に興味を持ってくれたけれど、タイミングが合わずに導入してもらえなかった」という場合は、新商品の発売の情報を届けるなどのフォローができます。このような失注した見込み顧客のフォローができることもThe Modelの魅力です。

参考:『Salesforce 営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践

 

The Modelを導入する際のコツ

The Modelでは、営業プロセスを分業化していきますが、各部門の緊密な連携が必要です。緊密な連携が無ければ部門間において、ハレーションが起こりパフォーマンスが下がります。ハレーションを避けるためのコツを紹介します。

各部門の目標数値を決めて連動させる

営業プロセスの分業化では、各部門の目標数値(KPI)を決めた後に、それらを連携させてください。各部門の目標数値を決めて連動させることで、組織全体で目標達成する大切さを意識づけられます。以下は一例になりますので、参考にしてください。

マーケティング 来訪者数×獲得率=見込客数
インサイドセールス 見込客数×案件化率=案件数
営業 案件数×受注率=受注数
カスタマーサクセス 受注数×契約更新率=継続契約数

 

各部門の仕事の範囲を明確にする

The Modelを活用する場合は、目標数値だけでなく、ルールを設定しておくことも大切です。ルールとは、「どのような条件であれば、次の部門にパスをするか」というものです。

例えば、インサイドセールス部門が見込み顧客の育成をして商談化を目指すときは、正確なスコアリングをして基準を超えたものをパスしていきます。正確なスコアリングを実施せずに、営業部門に見込み顧客をパスすると「受注の確度が低い見込み顧客をパスされた」と思われてしまいます。

また、このような営業活動をすると、契約に至らずに全体のパフォーマンスが下がり、成果が見込めません。「どのような条件であれば、次の部門にパスをするか」という基準を明確に決めておきましょう。

デジタルツールを活用して情報共有する

TheModelによる営業プロセスの分業化を成功させるためには、情報共有が欠かせません。他部門間で顧客の情報が共有できれば、どのようなタイミングで、どのようなアプローチをしていけば良いかが、明確に分かるようになります。そのため、CRMやSFAなどのデジタルツールを活用して、顧客情報を共有しましょう。

近頃は、AI搭載型IP電話やWeb会議ツールが登場し、顧客との通話内容や商談内容を録画・保存する動きも出てきています。このようなツールを活用することで顧客情報も共有しておくと、部門間の連携がスムーズになります。

全体を統括する責任者を置く

The Modelを活用して営業成績を上げていくためには、各部門の目標数値(KPI)を分析しながら、PDCAを回して改善していく必要があります。

どの部門に、どのような課題があるかを洗い出して改善していくのです。そのため、「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」など、組織全体を見し統括する責任者を置かなければいけません。

組織全体の目標数値を達成するために、各部門の活動を見直し指示する役割を担う統括責任者は必ず置くようにしましょう。

参考:『Salesforce 営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践

 

 まとめ

顧客管理システムNo.1のシェアを誇るSalesforce社では、The Modelと呼ばれる営業戦略のフレームワークが活用されています。このフレームワークを活用して、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」の4つに分業化しているのです。

営業プロセスを分業化すれば、以下のような点が改善され、営業の効率化が図れます。 

  • 営業プロセスの弱点が見える
  • 各部門が高い専門性を身に付けられる
  • 部門間の連携を強化できる
  • 営業の失注原因が見えてくる

この記事で、営業プロセスの分業化の方法をご紹介しましたので、これを機会に営業手法を見直してみてください。