BtoBマーケティング!ターゲットの解像度を高める定番手法7選と新手法解説

本記事では、弊社にて開催されたオンラインセミナー「BtoBマーケティング!ターゲットの解像度を高める定番手法7選と新手法解説」について要約したものを掲載しています。

BtoBマーケティング施策に課題がある方は必見です。

 

  1. BtoB特有のターゲット解像度の難しさ

 

ターゲットの解像度を高めることは、マーケティング施策の効果最大化や、マーケティングの予算効率化のために重要です。マーケティング活動の基盤といえます。

 

この解像度が高い状態とは、例えば、前職の業界で出合っていたり、前職でやったことのある案件だと、お客さんの像を鮮明にイメージできると思います。マーケティングにおいて「ターゲットの解像度を高める」というのは、たとえ前職で経験がなくても、同等の状態にすることを目標に活動していくことです。ここではとくに「BtoBのマーケティング」において、ターゲットの解像度の高め方が難しい理由をご説明します。

 

まず1つ目です。BtoCのマーケティングと比較してもらうとわかりやすいのですが、BtoCのマーケティングでは、実際の売り場や具体的なWebデータを直接見に行くことができます。この場合のWebデータは、自社アプリやECサイトを持っている場合のイメージです。例えば、売り場に行けばどのような人がいるのか、年齢や性別、1人か複数か、服装やメイクからその人の印象もわかりますし、どのような商品と比較しているのか、どれぐらい悩んでいるのか、どんな時間帯に人が多いのか、エリアの特性も鮮明にわかると思います。

 

一方、BtoBのマーケティングでは、顧客のオフィスに勝手に行くことはできませんし、顧客の働きぶりを覗き見ることは難しいです。具体的には会議や稟議書類の内容、上司の性格、KPIやキーマンの普段の会話、机の上にどんな本を置いているのか…などターゲットのヒントとなる情報を取るのが難しいです。

 

次に2つ目です。基本的にBtoCマーケティングでは、購買者とその商品やサービスを実際に利用する人が同じであることが多いです。ニーズや課題がある人とお金を出す人が同じ状態です。さらに、最初の情報の接触者が、決裁権限を持っている人とイコールの場合が多いと思います。仮に関係者が複数いて購入者と使用者が異なる場合でも、メディアの選定等を変えることによって、権限が強いほうにアプローチしやすいと思います。

 

一方、BtoBマーケティングでは、基本は関係者が多数いて、立場によってニーズや課題も異なる場合が多いです。そして、初期の情報接触者が権限者になることは難しいです。最終的な意思決定権を持つ人にいきなりアプローチするのは困難ですし、また、その間には「稟議書」という段取りを踏まなければいけません。

 

最後に3つ目です。日本ではまだまだBtoBマーケティングが未成熟で、社内に熟練のBtoBマーケターが不在という企業が多いです。「Web広告の領域においては詳しいが、事業に紐付くマーケティング全体の太い戦略立案となるとできない」といった内容の悩みをよく耳にします。

 

  1. 定番手法解説 〜7選〜

 

ターゲットの解像度を高める定番の手法を7つ解説します。

 

  1. 既存顧客へのヒアリング

 

メリットは、お金を払って製品を活用してくださっているお客さまの声は貴重であり、基本的に参考にならない情報はないことです。とくに活用レベルが高い顧客からは、社内では思いつかないような新しく、地に足のついたアイデアや機能のヒントがもらえることです。

 

懸念点は、インタビューに率先して答えてくれる顧客や、インタビューを依頼できる関係値の顧客には、偏りが発生することです。基本的に満足度が高く、ビジネスリテラシーが高いことが多いです。

 

マーケティングとしては、「理想の顧客像」として参考にするのがいいと思います。

 

  1. 営業(フィールドセールス)へのヒアリング

 

メリットは、受注した顧客情報だけでなく、失注した情報も分かることです。その中で、導入に足りなかった要因や、比較検討で負けた競合情報も入手できます。また、決裁者のニーズや課題感もリアルに把握できます。さらに、社内の人なので時間を取ってもらいやすいことです。

 

懸念点は、営業のスキルや経験、主観に依存してしまうことがあるため、複数人にヒアリングしていくと、意見が食い違うケースもあります。また、出てくる情報として、営業の印象に残りやすい、極端に受注単価が高かったり、極端に受注までスムーズだったりする、マーケティングとして「例外」も意見に反映されやすいことです。

 

マーケティングとしては、「顕在層顧客像」としてと、「問い合わせはくるけど、結局受注できない顧客像」として参考にするのがいいと思います。

 

  1. 営業(インサイドセールス)へのヒアリング

 

メリットは、マーケティングのリード獲得から最も近いフェーズで、マーケティングの成果物に対して直接的な評価になりやすいことです。また、フィールドセールスよりも1人当たりの接触顧客数が多いことです。さらに、マーケティングの隣接部署なので、普段の定例会に付随して行うなど、時間を取ってもらいやすいです。

 

懸念点は、問い合わせ担当者の一次情報になるため、キーマンの情報ではなく、出てくる情報も深くない傾向にあることです。また、インサイドセールスという部署は、一般的に年次経験の浅いメンバーが所属することが多いため、鋭い観点や体系化された情報は期待しづらいです。

 

マーケティングとしては、「マーケティングの施策の評価」と「問い合わせをしたくなる、広告のクリエイティブのフックとなる訴求点探し」を参考にするといいと思います。

 

  1. 営業の商談への同席

 

メリットは、顧客の生の空気感や温度感を直接感じられることです。商談記録のテキストは同じでも、印象が違うことがあります。例えば「とりあえず使ってみたい」という記録があったとき、ポジティブで言ってるか否か、テキストではわからない顧客の温度感を感じることができます。さらに、その場で深掘り質問ができるのもメリットです。

 

懸念点は、短期間で同席できる商談のボリュームが限られてしまうことです。マクロの視点や仕様の全体感を見るには、到底及ばないボリュームだと思います。また、普段の業務もあるので、工数・時間の負担も大きいです。

 

マーケティングとしては、とくに掘り下げたい属性のターゲットを深掘りするときの「ペルソナの精緻化」で取り組まれるといいと思います。

 

  1. 失注/解約理由からの分析

 

メリットは、受注・失注の意思決定となる重要な要素をあぶり出すことができることです。今後のマーケティング施策で、避けるべきターゲットや訴求点がわかるので、今後、無駄なリードやコストを避けて、効率化できます。

 

懸念点は、失注や解約時に正確な理由、先方の本音をしっかりと聞き出して、記録として残せているかは少し怪しい場合もあります。費用や予算がないなど、断りやすい理由を答える場合も結構多いです。また、プロダクト観点での失注理由が多いと、マーケとして活用しづらい場合もあります。

 

マーケティングとしては、短期的に足元では「避けるべきターゲット/訴求メッセージ」として参考にするのがいいと思います。

 

  1. 定量調査

 

マーケットボリュームやマーケット全体感を捉える上では、最も定番的な手法です。競合製品も調査対象にでき、調査結果の比較は効果的です。また、調査会社に調査後、丁寧なレポートを作成してもらえます。

 

懸念点は、設問の設計や文言など、熟練者がやらないと精度が下がることです。逆に言えば、熟練者なら意図的な結果を出すこともできます。また、丁寧な調査をやろうとすると、コストと期間がかかります。目安としては100万円以上、1ヶ月半はかかると思います。最近は数十万円で行える会社もありますが、ファクトを活用したPR用で、マーケティングの戦略やターゲットの解像度を高めるには精度が不十分です。

 

マーケティングとしては、「マーケット全体感」「競合製品との比較」として参考にするのがいいと思います。

 

G.インタビューサービスの活用

 

メリットは、低単価かつスピーディーに情報を獲得できることです。まだ既存顧客が不十分で商談数が少ないフェーズに好都合です。また、定量調査とは異なり、N=1の情報として深掘りできます。

 

懸念点は、実際にインタビュー内容が、自社製品の戦略にどこまで当てはまっているのかは分からず、精査も難しいことです。また、数名規模のみをインタビューする場合は、どこかに偏りがある情報として扱うほうが無難です。

 

マーケティングとしては、「市場開拓のとっかかりの情報」「ABM戦略のためのピンポイント情報」として活用していくのがいいです。

 

この7つの手法を実践するにあたり、ポイントが3つあります。どれも一長一短あり、マーケティングとしては、使い分けていくことが重要であること。また、短所を理解していないと、情報の暴力となり、戦略を乱すこと。そして、実際の現場で経験済みでないと、使いこなすことは困難なことです。

 

  1. 新手法とは

 

インサイドセールスにおいて、テレアポの架電録音を直接活用する手法です。こちらの図は、マーケティングがリード獲得→インサイドセールスがアポ獲得→フィールドセールスが契約獲得→カスタマーサクセスが事例獲得していくビジネスフローです。

 

これまで、ご紹介させていただいた営業へのヒアリングや商談同席、既存顧客へのヒアリングと比べて、架電内容を直接確認する方法はリードタイムが非常に早く、マーケティング施策のアクションから最速で感触を確認できます。弊社もこちらを存分に活用しています。タクシー広告を出稿した初日からすぐにリアクションを確認できます。

 

また、使うツールにもよりますが、他部署の工数も不要で、マーケティング担当者が好きなタイミングで、好きなだけの情報を取得できることもメリットです。

 

また、マーケター自身が、お客さまの生のリアクションや情報に直接触れることができるので、マーケティング施策の効果測定や、どんなリアクションがあったのか、ターゲットがどんなニーズや課題を抱えていたのか、精度を向上できるのもメリットと言えます。

 

今回ご紹介する新手法は、AIを搭載したIP電話を導入することで可能にする手法です。インサイドセールスやテレアポの架電をすべて録音・文字起こしができ、後から架電の種類の分類や検索が簡単にできます。本日はMiiTelの具体的な画面を用いて説明いたします。

 

  1. 新手法活用の具体例

 

【シーン①】

 

・ペルソナを特定するために、とにかくニーズを集めたい

・ターゲットの解像度特定が苦手で、何から始めたらよいかわからない

 

MiiTelでは架電1本ごとに波形が出ます。一番左が会話の初めで、右に進んでいく流れです。上が自社側が話した波形、下が顧客側が話した波形です。この波形の形は電話1本ごとに特徴があり、その中でもよく見られるパターンが赤枠を囲った部分です。

 

架電を始めて、すぐに顧客が長時間連続で話しているのが特徴です。先方がすでにサービスや商品の利用に温度感が高かったり、ニーズや課題が明確な事例。冒頭で自社側が挨拶をして簡単な質問をしただけで、明確な答えが返ってくるケースです。

 

活用方法としては、このような波形に該当する架電を収集し、冒頭の部分だけをピンポイントでたくさん聞いていくことで、温度感が高く、課題やニーズが明確な顧客の生の情報を大量に効率よく集めることができます。

 

【シーン②】

 

・特定の施策に対しての反響を見たい

→例:タクシー出稿、カンファレンスへの出展、自社セミナー

 

MiiTelは、すべての通話が自動で文字起こしされるため、キーワード検索が可能です。

 

例えば、タクシー出稿の成果を見たい場合は「タクシー」と検索したり、特定のカンファレンスへの出展や自社セミナーのリアクションを見たい場合は、そのセミナーのタイトルやそこで話したテーマを検索すると、通話中にそのキーワードがあがっている傾向が強いため、簡単に架電を検索できます。

 

事前に営業チームの方に「このような質問をしてください」とリクエストしておくと、よりキーワードとして出現しやすいです。

 

【シーン③】

 

・ターゲットの中でも、コアターゲットの特徴を知りたい

→課題やニーズが明確で、導入意欲が高い

 

MiiTelの「Talk:Listen比率」では、こちらが話しているトークと、相手が話しているリッスンの比率が架電1本ごとに表示されます。

 

数値のイメージとしては、相手が7割以上話している架電は、各段階で細かい質問や先方の状況を丁寧にご説明いただいています。こちらのトークスクリプトの全パートに渡って熱量高くお答えいただいているので、コアターゲットとすべき人たちが多い傾向にあります。

 

シーン④

 

・デイリー/ウィークリーで、ターゲットの変化/変遷を捉えていきたい

→例:アーリーアダプターからアーリーマジョリティへの遷移など

 

MiiTeの「応対メモ機能」では、架電1本ごとに特定のタグ付けができます。アポイントを獲得した架電を抽出して期間ごとに区切ると、特徴の移り変わりを感じやすくなります。

 

例えば、アーリーアダプターからアーリーマジョリティーの遷移を感じたい場合、キーワードとして、事例を求める声が増えてきた時や、とりあえず、トライアルを使ってみようというお客さんが減ってる傾向を掴んでいくことが良い方法だと思います。

 

【シーン⑤】

 

・リードは獲得できているが、商談化/受注まで至っていない顧客の解像度を高めた場合

 

5~10分以上話しているにも関わらず、アポイントが獲得できていない架電を中心に聞いていくことで、リード獲得後に通電し会話のラリーもできたが、商談化や受注まで至らなかったお客さんの特徴や、マーケティングとして訴求できていなかった部分、訴求すべき内容が浮き彫りになります。

 

以上、5つほど事例をご紹介させていただきました。インサイドセールスとテレアポの架電録音を活用する方法はかなり奥が深く、多様な活用ができます。

 

株式会社RevCommではセミナーを通して積極的に情報発信を行い、サービスの提供を通して皆様方の営業力強化に貢献できればと思います。

最新のセミナー情報はこちらになります。

https://miitel.revcomm.co.jp/seminar