製薬会社がリモート環境下で営業組織力を上げるコツ!成功事例を紹介

新型コロナウイルスの影響で、MRは病院への訪問が自粛されています。リモートワークに移行し、オンライン上で医師に情報提供する流れに切り替わってきています。オンライン上で医師に有益な情報を提供して売上を伸ばすためには、各部門との連携が欠かせません。チーム連携力を高めるために、どのように営業組織力を上げていけば良いのでしょうか?この記事では、製薬会社がリモート環境下で営業組織力を上げるコツをご紹介します。

製薬会社に必要な「営業組織力」とは?

営業組織力とは、営業部門全体で目標達成するために必要な仕組みを指します。従来はジェネラリスト型のMRが求められ、1人で情報提供や契約を担当していました。しかし、近頃は「オンコロジー」「免疫」「希少疾患」など特定領域に関連する専門知識を持つMRが求められるようになってきており、従来の営業プロセスを分業化する動きが出てきています。

営業プロセスの分業化は、各部門(マーケティング・インサイドセールス・営業)の連携が欠かせません。売上アップを狙うために営業組織力の強化が求められています。

参考資料:日刊工業新聞「製薬各社、営業組織体制の最適化に腐心−ジェネラル・専門の両立に力」

 

製薬会社で営業組織力が求められる理由

製薬会社には営業組織力が必要だと述べましたが、何故なのでしょうか?次に、製薬会社で営業組織力が求められる理由を解説します。

疾患領域別のチーム制の営業組織に改編するため

幅広い領域の疾患に関する知識を持つジェネラリスト型MRは少なく、確保が難しいです。このような問題を解決するために、人材流動性の高い外資系企業は、必要な知識レベルを持つMRを確保しやすいように疾患領域別のチーム制が採用されています。このような外資系製薬会社の動きに合わせて、営業組織の改編を行う国内製薬会社が増えてきました。営業プロセスの分業化には連携が必要です。特に主力商品を販売するためには、各領域の医療関係者にタイムリーに情報を提供ができる体制が求められてきています。

各部門の人材配置の最適化を図るため

製薬会社は「オンコロジー」「免疫」「希少疾患」など特定領域に関連する専門的な経験が求められるようになりました。MRの年齢へのこだわりを製薬会社は持っておらず、年齢より経験に基づいた各部門の人材配置の最適化が図られるようになってきています。複数の合併症を持っている患者へのアプローチは、各領域のMRが力を合わせることになるため、営業組織力の向上が必要となります。

(参考資料:Consultant転職「製薬メーカーの営業組織最適化」)

 

【製薬会社】リモート環境下で営業組織力を上げる7つのコツ

製薬会社では営業業務の分業化に切り替わってきており、組織力向上が欠かせないものとなりました。リモートワーク環境下で営業組織力を上げるには、どうしたら良いのでしょうか?次に、製薬会社がリモート環境下で営業組織力を上げるコツをご紹介します。

1.テレワークを導入する

新型コロナウイルスの影響で病院への訪問が自粛されている中、テレワーク導入は必須です。ミクス編集部の独自調査「MRが2021年にチャレンジしたいこと」に、リモート面談やテレワークのスキルを磨きたいと回答しています。テレワークを導入すれば「三密」が避けられ感染拡大の防止ができ、医師にも積極的にアプローチができるようになります。MRはテレワークを活用した営業をしたいと思っているため、早期にテレワークを導入しましょう。

(参考資料:MembersMedicalMarketing「今後MRに求められるのは「テレワークスキル」!医師とのリモート面談やチーム力に差が付くコミュニケーションのコツとは?」)

2.CRMシステムを導入して情報を一元管理する

工場の各拠点でスケジュール管理や日報報告がバラバラで、業務が煩雑している製薬会社は珍しくありません。各拠点で業務の方法が異なると煩雑になり、データ入力やデータ探索で相当な時間を要してしまいます。

また、問題が発生している企業は、顧客情報の管理が行えていないことが多いです。このような状態でリモートワークに切り替えてしまうと、どこに何の情報があるか把握できずに、営業組織力が低下してしまいます。この問題を防止するためにもCRMシステムを導入して情報を一元管理しましょう。

(参考資料:セールスマネージャー「情報の一元化によって案件化率アップや顧客満足度向上などの効果を創出したCRM/SFAの活用方法」)

3.MRの情報提供力を可視化する

従来、MRの営業プロセスは属人的であり、ブラックボックスでした。営業成績が良い担当者と悪い担当者で二極化されていました。この問題は、各担当者の営業手法の可視化で解決できます。AIが実用化されてきたことにより、各担当者の情報提供スキルや営業スキルが可視化でき、比較ができるようになりました。MRの情報提供力を可視化できれば、担当者別に「どこに問題があるのか?」の仮説立てができて、適切な教育が行えるようになります。営業手法を可視化してデータ蓄積しておけば、リモート環境下でも適切な教育ができます。

4.ナレッジを共有する

製薬会社は、1つの医薬品を開発・販売するまでに10年以上要することがあります。そのため、計画書や報告書、マニュアルなどの社内資料が膨大な数になります。

関係者の異動や退職の際に、当時の資料が探しにくくなるというケースも非常に多いです。このような問題を解決するために、これらをナレッジを一元管理して、共有する製薬会社が増えてきています。

(参考資料:PreSight「製薬会社のナレッジ活用事例(大鵬薬品工業株式会社)」)

5.精度が高い情報をタイムリーに提供できる体制

製薬業界では、従来のジェネラリスト型MRを中心とした組織から、疾患領域別のチーム制へと営業プロセスの分業化が始まっています。製品に対するメッセージを迅速に顧客に明確に伝えるために、マーケティング部と協力をして取り組む体制の構築が必要になります。より詳しく正確な情報を顧客に伝えられるようになり、医師からの評価向上が期待できます。ファイザー社やアステラス製薬においては、MAツールを導入することで、一人ひとりの医療従事者に対して、精度の高い情報提供をタイムリーに行うことができるようになりました。

参考資料:アステラス製薬がAdobe Experience Cloudを採用し、医療関係者向け情報サイトを刷新

参考資料:製薬業界の大競争時代!Withコロナ時代の新たな営業方法とは?

(参考資料:Consultant転職「製薬メーカーの営業組織最適化」)

6.教育制度を整備する

リモート環境下に移行したら、教育制度を再度整備し直してみましょう。マネージャーからの直接指導だけではなく、e-ラーニング等の自己学習の場を設けるようにしましょう。また、MR認定試験の資格取得支援などを行う方法もあります。

(参考資料:あすか製薬株式会社「人材育成制度」)

7.定期的に交流の場を設ける

リモート環境下では、相手の稼働状況が分からずコミュニケーションが図りづらいという問題があります。そのため、仮想オフィスを設けたり、オンラインランチや社内イベントを開催したりして、コミュニケーションを図る取り組みが行われています。また、多くの製薬会社では、1on1が採用されています。1on1を活用すれば、部下が抱えている課題や悩みを一緒に解決できる場となり、組織力の向上が図れます。

(参考資料:DIAMOND online「リモートで「顔の見えない部下」と誤解なくコミュニケーションするには?外資系製薬会社が見つけた1on1活用法」

 

【製薬会社】リモート環境下で営業組織力向上に成功した事例

製薬会社がリモート環境下で営業組織力を上げるコツをご紹介しましたが、実際の企業では、どのような取り組みが行われているのでしょうか?ここでは、製薬会社がリモート環境下で営業組織力向上に成功した事例をご紹介します。

 

情報の一元管理で案件化率アップ(日本粉末製薬株式会社)

出典元:日本粉末製薬株式会社のオフィシャルサイト

日本粉末製薬株式会社では、営業組織力を上げるためにCRMシステムを導入しました。CRMシステムには、顧客情報や対応履歴だけではなく、オンライン面談のデータまで蓄積しています。

オンライン面談の履歴を確認してから、次の面談を実施することで、医師の価値観が分かり、ヒアリング重視型の営業スタイルに切り替えることができました。その結果、より医師のニーズに即した提案ができるようになり、案件化率がアップしました。

(参考資料:セールスマネージャー「情報の一元化によって案件化率アップや顧客満足度向上などの効果を創出したCRM/SFAの活用方法」)

 

ナレッジ共有で組織力向上に成功(大鵬薬品工業株式会社)

出典元:大鵬薬品工業株式会社のオフィシャルサイト

大鵬薬品工業は、医薬品の研究開発で有名な日本の製薬会社で、抗がん剤の開発を得意としており、グローバル展開をしています。

1つの医薬品を開発・販売するまでには10年以上の期間を要すこともあり、計画書や報告書、マニュアルなどの社内資料が膨大な数になっていました。そのため、資料を取り出すまでに30分程度の時間を要していたのです。

この時間を削減するために、ナレッジ共有システムを導入しました。その結果、資料の探索時間は1/10程度に短縮でき、組織力向上にも効果を出すことができました。

(参考資料:PreSight「製薬会社のナレッジ活用事例(大鵬薬品工業株式会社)

 

1on1で部下と上司の信頼関係を構築(MSD株式会社)

(参考資料:MSD株式会社オフィシャルサイト

グローバルな製薬会社のMSD株式会社では、リモート環境下の営業組織力を上げるために1on1ミーティングを実施しています。上司と部下による定期的な1対1のミーティングを実施して、仕事を通して「上手くいったこと」「失敗したこと」「仕事の悩み」を聞き、上司がアドバイスすることで部下を育成しています。

部下の育成だけではなく、上司と部下の信頼関係の構築にも1o1ミーティングは効果的です。MSD株式会社は1on1ミーティングを実施して、リモート環境下でも、メンバー間の信頼関係の構築を実現しています。

(参考資料:DIAMOND online「リモートで「顔の見えない部下」と誤解なくコミュニケーションするには?外資系製薬会社が見つけた1on1活用法」

まとめ

製薬会社では、特定領域に関連する専門的なMRによる営業業務の分業化が始まっています。営業業務の分業化をすれば、効率的に営業が行えるようになります。しかし、各部署・各担当者で連携をしていかなければいけません。そのため、営業力組織を向上させていく必要があるのです。最後に、営業組織力を上げる方法をおさらいをしておきましょう。

【製薬会社の営業組織力の上げ方】

  1. テレワークを導入する
  2. CRMシステムを導入して情報を一元管理する
  3. MRの情報提供力を可視化する
  4. ナレッジを共有する
  5. 精度が高い情報をタイムリーに提供できる体制
  6. 教育制度を整備する
  7. 定期的に交流の場を設ける

ぜひ、これを機会にリモート環境下の営業組織力に関して見直しをしてみてください。