インバウンドセールスとは?特徴から手法、取り組み方まで徹底解説

インターネットの普及により消費者行動が変化してきました。このような時代に適した営業手法として「インバウンドセールス」があります。インバウンドセールスとは、どのような営業手法なのでしょうか?アウトバウンドセールスとは何が異なるのでしょうか?今回は、インバウンドセールスについて詳しく解説します。 

インバウンドセールスとは

インバウンドセールス(Inbound sales)とは、顧客が自ら企業に問い合わせするように誘導しながら営業することをいいます。インバウンドセールスの営業手法を詳しく説明した文を載せておきます。

  • 自社商品の購買意欲を掻き立てるような情報を配信して、顧客に興味・関心を抱いてもらう
  • 興味・関心を持った顧客から問い合わせしてもらう
  • 問い合わせしてくれた顧客に寄り添った応対をして契約を獲得する

インバウンドセールスは、問い合わせしてくれた顧客との信頼関係を第一に考えていくため、商品を売り込むような強引な営業はしません。顧客の役に立つ情報を提供しながら営業をするため、人々の役に立って、相手から好まれる魅力的な営業手法となっています。

メリット

インバウンドセールスのメリットは3つあります。 

1.顧客と良好な関係を構築しやすい

顧客は、商品に興味・関心を抱き、問い合わせをしたことから営業担当者の話をしっかりと聞いてくれます。相手に有益な情報を提供すれば喜んでもらえて、良好な関係を構築することができます。

2.営業コストが削減できる

インバウンドセールスでは、Web広告やSNS広告を運用して自社商品を不特定多数の人に認知させ、興味・関心を持ってくれた見込み顧客に応対していきます。そのため、1人1人にアプローチするアウトバウンドより、効率的な営業が実現できます。 

3.成約率の高い見込み顧客を集められる

現在は、インターネットを利用して商品に関する情報を収集したり、商品の比較検討ができたりします。そのため、企業に問い合わせする顧客は、「インターネットでは分からない深い情報を知りたい」「商品購入を具体的に考えているから話を聞きたい」と思っている場合が多いです。そのため、顧客と接触すると高い確率で成約に至ります。

デメリット

インバウンドセールスのデメリットは2つです。 

1.企業のマーケティング力が求められる

インバウンドセールスで結果を出すためには、企業にマーケティング力が求められます。マーケティング力とは、将来顧客となる人が求めているものを探り、顧客ニーズを満たす商品やサービスを効率的に提供するための力をいいます。このようなマーケティング力を身に着けないと、Web広告を出稿したりイベントを開催したりしても、リード(見込み顧客)は獲得できません。 

2.コンテンツ制作に時間がかかる

インバウンドセールスの手法には、さまざまなものがありますが、ホワイトペーパーやWeb広告のクリエイティブを制作するにはコストと時間がかかります。したがって、アウトバウンドセールスのように、すぐに取り組めるものではありません。 

インバウンドセールスが注目される背景

インバウンドセールスが注目される背景には、インターネットの普及で消費者行動が変化したことがあげられます。消費者側がインターネット上で商品を比較検討できるようになったため、従来のような押し売り営業を嫌うようになったのです。そのため、プッシュ型の営業手法ではなく、プル型の営業手法が好まれるようになりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、直接訪問できなくなったことも要因となっています。

インバウンドセールスとアウトバウンドセールスの違い

インバウンドセールスとアウトバウンドセールの違いは3つあります。

  インバウンドセールス アウトバウンドセールス
アプローチ対象 購買意欲が強い顧客 購買意欲が弱い顧客
手法 プル型の営業手法 プッシュ型の営業手法
連絡目的 信頼関係の構築 アポ獲得

1.アプローチ対象

1つ目が、アプローチ対象です。

アウトバウンドセールスでは、購買意欲の弱い顧客に対しても営業していきます。そのため、相手から拒否されたり、営業のタイミングが悪いと怒られてしまったりするのです。強引に押し売りをすると、相手から嫌悪感を持たれてしまう恐れがあります。

その一方で、インバウンドセールスは、企業に問い合わせしてくれた購買意欲の強い顧客に対して営業していきます。相手の抱えている悩みや要望を聞いて、役に立つ情報を提供して良好な関係を築き、契約を獲得していくのです。このように、アプローチ対象となる顧客の購買意欲が異なります。 

2.営業手法

2つ目が、営業手法です。

アウトバウンドセールスでは、企業側が、顧客に対して積極的に電話やメールをして商品を売り込む「プッシュ型」で営業していきます。そのため、営業担当者には、プレゼンテーション能力が求められることが多いです。

その一方で、インバウンドセールス は、問い合わせしてくれた顧客に情報提供して商品を売り込む「プル型」の営業をします。そのため、ヒアリング能力が求められるのです。

3.連絡の目的

3つ目が、連絡の目的です。

アウトバウンドセールスは、顧客に自社商品を売るための商談の機会を得るために営業をしていきます。アウトバウンドセールスの目的はアポ取得です。

その一方で、インバウンドセールスは、自社商品に興味・関心を持っている顧客に対して情報提供していきます。インバウンドセールスの目的は顧客との信頼関係の構築です。

インバウンドセールスの取り組み方

インバウンドセールスの取り組み方に関しては、2005年にHubSpotの創業者が提唱した「インバウンドセールスメソドロジー」を参考にすると良いです。インバウンドメソドロジーでは、インバウンドセールスの流れを4つに分類しています。 

1.IDENTIFY(見極める)

2.CONNECT(繋がる)

3.EXPLORE(探索する)

4.ADVISE(助言する)

ここでは、各手順を分かりやすく紐解きながら解説します。

1.IDENTIFY(見極める):潜在顧客を見込み顧客へ移行させる

まずは、潜在顧客の中から見込み顧客となる相手を見極めます。

自社サイトやSNS上の行動履歴から「自社商品を必要としている見込み顧客なのか?」「自社商品の購買意欲はどれぐらいあるのか?」を測定します。

基本的に、必要としていない商品を購入する顧客はいません。このような相手に電話やメールをすると、拒否されてしまいます。このような対象外の人を除外するためにも、見込み顧客となる相手を見極めるのです。

新規の顧客から自社サイトに問い合わせがあったり、SNSでアクションがあったりした場合は、迅速に対応すると喜ばれます。

2.CONNECT(繋がる):見込み顧客と繋がり良好な関係を築く

次に、見込み顧客と繋がり良好な関係を築いていきます。

相手と良好な関係を築いていくためには、相手の状況を把握した上で、パーソナライズ化した情報を最適な方法で届ける必要があります。そのため、問い合わせしてくれた内容を見て、「どのような情報を届けたら喜んでもらえるだろうか?」「何時頃に情報を提供したら見てもらえるだろうか?」などを考えて、コンタクトをとっていきましょう。

相手の状況を無視した一方的な電話やメールをすると、強引な人だと思われてしまいかねません。そのため、相手の状況を把握してコンタクトをとるようにしてください。

3.EXPLORE(探索する):見込み度の高い顧客からアポを取る

見込み顧客と良好な関係を構築できたら、商品の購入意欲が高そうな相手に質問を投げていきます。

  • 「現在、どのような悩みを抱えているのですか?」
  • 「現在、どのような要望を抱えているのですか?」
  • 「商品を検討していると思いますが、どのような商品と比較検討していますか?」

このような質問をして、なぜ、商品購入を検討しているのかを把握していきます。これらの情報を把握して、自社商品を購入すべき根拠を示すとアポが取りやすくなります。

4.ADVISE(助言する):顧客に提案して契約を獲得する

顧客との商談の場では、自社商品の魅力を具体的に説明します。相手に納得してもらえるように、抱えている悩みを解決できるプレゼンテーション資料を用意しましょう。

なぜ、相手が抱えている悩みを解決できるのか根拠を示します。ユースケースやお客様の声などを見せながら助言すると納得してもらいやすくなります。また、自社商品のメリットだけでなく、デメリットまで説明すると相手から信頼されやすくなるはずです。

顧客が納得してくれたら、クロージングをして契約を獲得していきます。

 参考:『HubSpot インバウンドセールス手法とは?』 

インバウンドセールスの手法

インバウンドセールスは、不特定多数の人に自社商品の情報を配信して、問い合わせしてくれた見込み顧客に応対していく営業手法だと説明しました。インサイドセールスには、主に以下のようなものを活用します。 

1.Webサイト

2.SNS

3.ホワイトペーパー

4.セミナー

5.インサイドセールス 

ここでは、それぞれの手法の特徴について詳しく解説します。

1.Webサイト

自社サイトを定期的に更新しておくと、何度もサイトを閲覧してもらえるようになります。自社サイトのデザインを変えることは大変かもしれませんが、ブログを活用すれば誰でも簡単に行えます。ブログ上で最新情報やお役立ちコンテンツを配信すれば、ブランディング効果が見込めるでしょう。

また、ブログ運営する上でSEO対策すれば、GoogleやYahooのキーワード検索結果で、コンテンツが上位表示されます。その結果、自社サイトの訪問ユーザ数を増やせます。

参考:『ikkosha 企業ブログ運営のメリット・デメリット ーブログ運営で集客を成功させるポイントー

2.SNS

ビジネスのSNSアカウントを作成して情報発信すると、顧客と接点が増やせます。発信した情報に対して「いいね」や「コメント」などがもらえることもあります。また、有益な情報を発信すれば、顧客が情報を拡散してくれたりとバズの効果が見込めたりすることもSNSの大きな特徴です。そのため、SNSは認知度アップをさせたい方におすすめです。 

参考:『SUNLOFT 【初心者向け】SNS運用とは?企業のSNS運用を徹底解説!

3.ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、ビジネスにおけるお役立ち情報(またはレポート)をいいます。自社サイトにホワイトペーパーダウンロードページを設けるのが一般的です。

業界の市場分析や、業界内の企業が抱えている悩みを解決するためのノウハウをまとめてレポート化します。

Web上では収集できないお役立ち情報を無料で提供する代わりに、ダウンロード時に「企業名」「担当者名」「連絡先」などの顧客情報を入力してもらうのです。そのため、ホワイトペーパーは、新規の見込み顧客を獲得したい方におすすめです。

 参考:『ナイルのSEO相談室 【マーケティング】ホワイトペーパーの活用メリットと作成時の注意点

4.セミナー

セミナーを定期的に開催すれば、興味・関心度の高い見込み顧客を獲得しやすくなります。オンラインでもオフラインでも、セミナーでは顧客と接触できるため、質疑応答など個別対応もできることが魅力となっています。

また、セミナー開催後のアフターフォローがしやすいです。そのため、他の施策と比較してクロージング率が高い傾向があります。したがって、セミナーは、見込み度の高い顧客を獲得したい方におすすめです。

参考:『NEWSBASE セミナー実施する際のメリット・デメリットとは?プロの視点から徹底解説

5.インサイドセールス

企業に問い合わせをしてくれた顧客に対しては、インサイドセールス(電話やメール、会議ツール)で対応します。見込み顧客に対して有益な情報を適切なタイミングで提供して、相手と良好な関係を築き、アポイントや契約の獲得を目指していきます。インサイドセールスを行うために、以下のデジタルツールを用意しておきましょう。 

  • コールセンターシステム:三者間通話や自動音声案内などの機能がある電話システム
  • 顧客管理システム:顧客の情報を管理できる
  • 営業支援ツール:営業活動の進捗状況を管理できる
  • マーケティングオートメーション:見込み顧客をセグメント化してメールを一斉送信できる

 参考:『Sales Media インサイドセールス導入におすすめのツールをご紹介! 目的別ツール10選

まとめ

今回は、インバウンドセールスについて解説しました。インバウンドセールスを行えば、不特定多数に自社商品をアピールでき、興味・関心を持ってくれた相手の問い合わせに対応するだけで済むようになります。

問い合わせしてくれた顧客は、自社に興味や好意などポジティブな印象を持っているため、アポ取得や契約獲得がしやすくなります。したがって、売上アップをしたいなど思っている方は、インバウンドセールスに取り組んでみてください。