PHSサービスが終了!企業が行う対策とは?

PHS同士の通話であれば、無料で使用できることもあり、多くの企業でPHSが利用されていました。とくに、電波干渉の不安から電波が弱いPHSを利用する医療機関や介護施設は多かったです。

しかし、携帯電話やスマートフォンの高機能化、低価格化によりPHSの需要が減少しました。その結果、2021年1月にPHSサービスが終了しました。今回は、PHSサービス終了後の現在、企業が行うべき対策について解説します。 

※PHSについて最後までサービスを提供していたワイモバイルにおいて通常のPHS向け料金プランは2021年1月31日を以って終了。業務用機器をはじめ車両やPCなど広範囲な製品に通信モジュールなどを組み込むテレメタリングサービス向け料金プランは2023年3月末をもって終了。

PHSとは

PHS(Personal Handy-phone System)とは、1995年に販売開始された簡易型携帯電話をいいます。PHSは持ち運べて、当時は携帯電話より通話品質が良く、手頃な価格で利用できました。そのため、最盛期には700万件の契約がありました。 

PHSの仕組み

PHS用の基地局(アンテナ)を電話交換機(PBX)と接続することで、基地局がカバーする範囲であれば無線通信で通話ができます。基地局のカバー範囲外の場合は、電話交換機にPHSを有線で接続すれば通話できます。

(※無線通信ができて便利な仕組みですが、PHS用の基地局は半径500m程度とカバー範囲が狭く、複数の基地局を設置しなければいけません。基地局の設置工事などは、安価な価格で行えます。)

PHSの利用用途

PHS用の基地局のカバー範囲内であれば、オフィス内で内線、外線、転送機能が利用できます。また、以下のようなメリットがあり、営業の業務効率化ができます。

PHSのメリット
  • オフィス内であれば、着信電話に出られる
  • 会社の代表の電話番号を使用して発信電話ができる
  • 電話を取り次ぐ手間を省ける
  • 電話を折り返さなくて済む
  • 微弱な電波で通話ができる

したがって、以下のような利用用途でPHSは活用されています。 

 

PHSの利用用途
  • 移動が多い倉庫でのスタッフ同士の業務報告
  • オフィス内の移動が多い管理職の連絡手段
  • 電波干渉の不安がある医療施設や介護施設の連絡手段

PHSの歴史

PHSについて詳しく理解するために、歴史も振り返っておきましょう。

1995年 PHSが販売開始となる

携帯電話より通話品質が良くて、サービス利用料金も低価格だったため普及した

PHS用基地局のカバー範囲であれば、無線通信で通話ができたため、オフィス内でも利用されるようになった

最盛期で約700万件の契約を獲得

2000年 2000年に第3世代のモバイル通信端末が販売開始された

3GやLTEの登場により、Webサイトなどに快適にアクセスできたり、動画の視聴にも耐えたりするモバイル端末が登場

携帯電話が便利になっていく中で、PHSの需要が少しずつ減少

2007年 携帯電話の性能のアップ、料金の低価格化により、PHSの契約件数が減少

最盛期は約700万件あった契約数も、2007年には約500万件まで減少

電波干渉の不安などから携帯電話の使用を懸念していた、医療施設や介護施設ではPHSが使用されていた

2020年 PHSの需要が減り、アステルやNTTドコモのPHSサービスが終了

2020年12月にはPHSの契約数は109万件まで落ち込む。2021年1月にY!mobileがPHSサービスを終了

 PHSと携帯電話の違い

かつて、PHSと携帯電話のどちらを導入すべきか迷っている方は多かったです。PHSと携帯電話の違いをまとめると以下の通りになります。

  PHS 携帯電話
通信方式 狭域で無線通信を行う 広域で無線通信を行う
利用エリア 都市圏 地方
利用料金 格安 割高

(※近年、携帯電話の利用エリアは幅広くなり、利用料金も低価格になってきました。)

通信方式

PHSと携帯電話の違いの1つ目が「通信方式」です。

PHS用の基地局は、半径500m程度の通信をカバーできます。狭域で微弱の電波で無線通信を行います。その一方で、携帯電話用の基地局は、数十kmまで通信をカバーできます。高出力の電波で無線通信を行います。そのため、携帯電話サービスを提供する会社は無線局免許の取得が必要です。

利用エリア

PHS用の基地局は500m程度と狭域しかカバーできませんが小型です。小型の基地局であるため、地下鉄や地下街に設置できました。そのため、都市圏でPHSが多く利用されていたのです。

その一方で、山間部など基地局が設置しにくい場所ではPHSは使いにくいです。このような山間部など地方での利用では携帯電話が主流となっていました。

利用料金

PHS用の基地局は、携帯用の基地局と比較すると小型です。そのため、小さいサイズの基地局を設置する導入費用も安く済みます。PHS用基地局の導入費用は、携帯用の基地局の1/10程度で済みます。

また、PHS回線の電話番号への通話は何回かけても無料であることが魅力であり、オフィス内で利用されていました。

PHSサービスが終了する理由

PHSサービス提供事業所が、続々とサービスの提供を終了しています。2006年には株式会社アステル、2008年には株式会社NTTドコモのPHSサービスが終了となりました。そして、2021年1月には、Y!mobielもPHSサービスを終了しました。さらに、テレメタリングサービス向け料金プランは2023年3月末をもって終了します。

PHSサービスが終了する背景には、携帯電話やスマートフォンの低料金化と高機能化があります。これにより、携帯電話やスマートフォンのシェアが上がり、PHSのシェアが下がってしまったのです。そのため、PHSサービス提供事業者は需要がないと見込み、撤退していきました。

PHSサービス終了への対処方法

PHSサービスが終了した現在、どのように対処すればよいのでしょうか?PHSサービス利用者の対処方法は3つあります。

1.構内PHSを継続して使用する

PHS用基地局のカバー範囲で構内PHSとして使用する場合は、継続して使用することも可能です。しかし、基地局の通信の不具合や端末の修理が必要になった場合に販売店が対応してくれないので、注意が必要です。

電波干渉の不安から医療施設や介護施設では、構内PHSを継続して使用しているケースが多いです。

しかし、携帯電話やスマートフォンを使用しても電波干渉の問題は発生しないと言われています。そのため、電波干渉の不安から構内PHSを利用している場合は、業務効率化も兼ねて別の対処法を選ぶことをおすすめします。

2.ビジネスフォンのスマホ連携機能を導入する

2つ目の対処法が、現在利用しているビジネスフォンと電話交換機(PBX)をそのまま使用しながら、オプション機能「スマホ連携機能」を付与する方法です。

専用のアダプター(主装置)を設置して、オプション機能のサービスを申し込むだけで済みます。サービスに申し込んだら、サービス提供会社が接続工事をしてくれて、10日前後でサービスが利用できるようになります。

この対処法の魅力は、インターネットに接続する必要がなくなることです。そのため、セキュリティ面を強化したいという方におすすめの方法です。

3.クラウドPBXサービスを導入する

3つ目の対処法が、クラウドPBXサービスを利用して、スマートフォンを内線化する方法です。

クラウドPBXに接続したスマートフォンを使用すれば、オフィス外からでも内線・外線・転送ができるようになります。また、スマートフォンの内線化の設定は、ベンダーが提供するアプリ内の簡単な操作だけで完了します。したがって、オフィスに主装置を設置する必要もありません。

もし、電話交換機に不具合が発生した場合もクラウド上にあるため、ベンダーがメンテナンスを遠隔でしてくれます。そのため、クラウドPBXの導入や修理など迅速に対応してもらえることが魅力です。また、コールセンターシステムなど付属機能がついているものを選べば、業務効率化ができます。

参考:『OFFICE10 【ビジネスフォン】PHSが2021年1月に終了?後継する2つの新機能!

クラウドPBXをお探しなら「ミーテル」

PHSサービス終了にあたり、クラウドPBXを導入したい場合は「ミーテル」を検討してみてください。ここでは、クラウドPBXサービス「ミーテル」の魅力を簡単に説明します。

音声品質が良い クリアな音声品質で聞き取りやすい
導入費用が安い 初期費用は0円

サービス利用料は5,980円/ID 

導入スピードが早い 最短1日でサービスが導入できる
営業力の強化ができる 商談内容を保存できて音声解析機能でスコアリング

データの数値を参考にしながら営業手法の改善が可能

顧客対応の向上ができる CRMやSFAと連携すれば、他部門と情報共有の強化ができる

トラブルが起きたときは、音声データの事実に基づいて話し合える

リモートワークに対応できる 日別の発信回数、平均通話時間、ステータスを確認することで従業員の稼働状況が把握できる

クラウドPBXを利用するため、在宅勤務者も利用できる

データドリブンによる組織運営ができる 架電数や通話内容のログにより、各従業員の制約件数の可視化ができる

経営戦略が立てやすくなる

音声データを自動保存できる サーバー内に音声データを自動保存できる

機器漏れやトラブルの原因の解明に聞き直せる

 まとめ

今後、PHSサービスを利用している事業者は、以下の対処が求められます。

  • 構内PHSを継続して使用する
  • ビジネスフォンのスマホ連携機能を導入する
  • クラウドPBXサービスを導入する 

クラウドPBXを導入すれば、最短即日で代替が完了します。代替えが完了するだけでなく、営業業務を効率化させることも可能です。そのため、PHSサービスの終了を機会に、電話や通信回線の見直しをしてみてください。