クラウドCTIとは?メリット・デメリット、導入すべき企業まで解説!

IT技術の進化で電話とコンピューターが統合できるようになり、オペレーターの稼働状況を可視化したり、着信番号を参照して顧客情報を自動で表示したりできるようになりました。このような役割を果たすのが「CTI※」です。

CTIには、オンプレミス型とクラウド型がありますが、どちらが良いのでしょうか?結論から説明すると、クラウドCTIがおすすめです。

今回は、クラウドCTIについて詳しく解説します。この記事を読めば、クラウドCTIの機能をはじめ、どのような方法を導入すべきか分かるようになります。CTIの導入を検討している方は、この記事を参考にしてみてください。

※「CTI」とは、Computer Telephony Integrationの略でコンピューターと、電話機やFAXといった電話システムを統合して動かす技術のことを指します。

クラウドCTIとは

クラウドCTIとは、電話とコンピューターをクラウドサーバーを活用して統合するシステムをいいます。電話とコンピューターを統合すると、着信番号を参照してPC画面上に顧客情報を自動表示することができます。

顧客情報を閲覧しながら顧客対応ができるようになるため、対応品質を上げることができます。

参考:『KDDI クラウドCTIシステムとは?導入するメリット・デメリットを比較

クラウドCTIの機能

クラウドCTIには、一般的に以下の機能が用意されています。

 1.ACD:着信電話の振り分けをコントロールする

2.IVR:着信電話に対してコンピューターが自動対応する

3.CRM連携:着信番号を参照してPC上に顧客情報を自動表示する

4.モニタリング機能:顧客対応を第三者が聞ける

5.レポート機能:コールセンターの運営状況を分析できる

1.ACD

ACD(Automatic Call Distribution)は、着信呼自動分配と呼ばれ、着信電話の振り分けをコントロールするための機能です。設定したルールに沿って、オペレーターに着信電話を振り分けられます。

例えば、電話対応の回数が均等になるように、着信回数の少ないオペレーターに優先的に着信電話を振り分けられます。また、問い合わせ内容に応じて着信電話を振り分けることも可能です。さらに、待ち呼ガイダンスを流したり、あふれ呼を設定したりもできます。

2.IVR

IVR(Interactive Voice Response)は音声自動応答システムと呼ばれ、着信電話に対してコンピューターが自動対応する機能をいいます。

「〇〇の場合は1、〇〇の場合は2のボタンを押してください」とアナウンスを流して、担当部署に着信電話を振り分ければ、一次対応の解決率が上げられます。

IVRは、郵便物の再配達などにも活用されている機能で、顧客対応の自動化にも活用されています。そのため、オペレーターの業務負担を軽減できます。

3.CRM連携

CTIは、CRMシステム(顧客管理システム)と連携できます。CRM連携すれば、着信番号を参照して、CRMシステムの中の顧客情報をPC上に自動表示してくれます。顧客情報のポップアップ表示がされれば、顧客に対して氏名や電話番号などを直接答えさせるような本人確認を行う必要がありません。

また、CRMシステムの中から顧客情報を探す手間が省けます。顧客情報や対応履歴を見ながら、顧客対応ができるため、対応品質が上がり顧客満足度を上げられます。

4.モニタリング機能

複数の電話装置を統合しておけば、コールセンターのSV(スーパーバイザー)がオペレーターの顧客対応中に会話内容を聞けるようになります。オペレーターが顧客対応をしている最中に、第三者としてサポートすることも可能です。そのため、オペレーター研修を目的として使用されることが多いです。

5.レポート機能

オペレーター毎の対応件数や時間帯別のコール数などを分析することができるようになります。コールセンターの運営状況を分析して改善していけば、オペレーターの業務負担を軽減できたり、対応品質を上げて顧客満足度を高められたりします。

参考:『BOXIL CTIとは?機能や導入するメリット・種類&おすすめシステム8選

オンプレミス型とクラウド型の比較

CTIには、自社サーバーを利用するオンプレミス型と、クラウドサーバーを利用するクラウド型が存在します。2種類のCTIを比較し表にまとめましたが、多くのコールセンターで利用されているのがクラウドCTIです。

オンプレミス型 クラウド型
  • カスタマイズできる
  • セキュリティ強化ができる(※)
  • 導入スピードが速く、費用が安い
  • 場所を問わずに利用できる
  • メンテナンスを任せられる

(※)最近は、クラウド型CTIもセキュリティが強化されてきており、優劣がつかなくなってきています。

 クラウドCTIのメリット

クラウドCTIのメリットは3つあります。

 1.導入スピードが速く費用が安い

クラウドCTIは、電話やPBX(電話交換機)がセットで含まれていることが多く、クラウドサーバー上に構築するだけで利用できるようになります。自社オフィスのサーバーを利用する場合は、配線工事が必要になりますが、クラウドサーバーであれば配線工事も必要ありません。そのため、最短翌日から利用できる製品なども販売されています。また、オンプレミス型と比べて導入費用と運用費用が安価なところも魅力的です。

 2.場所を問わずに利用できる

クラウドサーバーを利用してクラウドCTIを設置すれば、オフィスだけでなく、自宅や外出先からも利用できます。自社サーバーを利用するオンプレミスCTIは工事を別途しなければいけませんが、クラウドCTIはインターネット接続ができる端末があれば、場所を問わずに利用できます。

 3.メンテナンスを任せられる

クラウドCTIは、クラウドサーバーを利用しているため、障害が発生した場合は、ベンダーが遠隔操作で障害対応してくれます。また、サーバー機器の管理やネットワーク管理を全てベンダーに任せられ、自社でメンテナンスをせずに済みます。

 クラウドCTIのデメリット

クラウドCTIのデメリットは2つあります。

 1.提供されている機能のみの活用になる  

クラウドCTIは、基本的に提供されている機能のみ利用できます。他のシステムと連携して機能拡張することはできますが、CTIに対して自社独自の機能をカスタマイズして付けてもらうことはできません。

 2.製品選びが難しい

さまざまなクラウドCTIが販売され始めているため、自社に見合うものが選びにくくなってきています。ただし、クラウドCTIを導入する場合は、以下の選定基準で製品を選べば、自社に相応しいものを選ぶことができます。

 【クラウドCTIの選び方】

  • 使用目的に見合っているものか
  • AI搭載など最新機能が搭載されているか
  • 他のシステムと連携できるか
  • ランニングコストが予算内であるか
  • サポート体制が充実しているか
  • セキュリティの安全性が確保されているか

 参考:『NTT東日本 オンプレミスとクラウドの比較|移行・併用のポイントや選び方

 クラウドCTIで業務効率化を実現した企業事例

ここでは、クラウドCTIで代表的な「ミーテル」を導入した事例について採り上げたいと思います。

SALES ROBOTICS株式会社は、独自のクラウドソフトウェア「SALES BASE」とBPOサービスを提供することで急成長してきています。同社のインサイドセールスチームは、定量的に成果を図れる仕組みがなく「何が原因で目標達成できないのかわからない」という課題を抱えていました。

インサイドセールスメンバーの課題が分からなかったため、1on1を実施しても、適切なアドバイスができない状態でした。このような悩みを「ミーテル」を導入して、話速や被り率、Talk:Listen比率などを可視化することで解決しました。

各自の顧客対応の状況を可視化して、どこに課題があるかが分かるようになり、1on1で適切なアドバイスができるようになりました。それだけでなく、1時間以上かかっていた1on1が10分で終えられるようになりました。適切なアドバイスのおかげで、毎月3件のアポイントしか取れていなかったメンバーが、20件のアポイント獲得できるまでに成長しました。

参考:『ミーテル導入事例「何が課題かわからない」を解決し2ヵ月で生産性を2倍に向上組織の意識も大きく変化』

まとめ

CTIは主に以下のような機能があります。

1.ACD:着信電話の振り分けをコントロールする

2.IVR:着信電話に対してコンピューターが自動対応する

3.CRM連携:着信番号を参照してPC上に顧客情報を自動表示する

4.モニタリング機能:顧客対応を第三者が聞ける

5.レポート機能:コールセンターの運営状況を分析できる

CTIにはオンプレミス型とクラウド型があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、最近ではクラウドCTIを導入する企業が増えてきており、効果がでてきています。コールセンター運営の効率化を検討している方は、これを機会にクラウドCTIの導入を検討してみてください。