インサイドセールスとフィールドセールスの違いは?連携方法まで解説

営業活動をより生産性高く効率化するために「インサイドセールス部門」と「フィールドセールス部門」に分業化する企業が増えてきました。なぜ、営業部門を分けることで効率化できるのでしょうか?また、インサイドセールス部門とフィールドセールス部門の役割の違いは何なのでしょうか?

この記事では、インサイドセールス部門とフィールドセールス部門について解説します。ぜひ、営業強化したい方は、この記事を参考にしてみてください。

インサイドセールス部門とフィールドセールス部門の違い

まずは、各部門の役割について詳しく解説します。

1.インサイドセールスとフィールドセールスの比較表

インサイドセールスとフィールドセールスの違いは「営業場所」「接触方法」「接触回数」「営業スタイル」「営業目的」の5つです。

  インサイドセールス フィールドセールス
場所 内勤営業 外勤営業
接触方法 電話・メール 訪問営業
接触回数 多い 少ない
営業スタイル ヒアリング

情報提供

提案

見積もり

契約

営業目的 顧客育成 顧客狩猟

参考:『INNOVA 進化するインサイドセールス!BtoBセールス&マーケティングの『コマンドセンター』へ

2.インサイドセールス部門とは

インサイドセールス部門は、見込み顧客に対してメールや電話、Web会議を活用して非対面で営業します。

主な役割は、顧客の育成です。非対面営業で見込み顧客にヒアリングして、要望や課題を洗い出していき、商品やサービスの検討段階へ遷移させていきます。また、顧客の見込み度を把握して他部門に伝える役割も担います。

商品やサービスの提案、見積書作成、契約などの商談は、一般的にフィールドセールス部門の役割でしたが、Web会議ツールを利用したオンライン商談の機会が増えており、顧客育成から商談、契約までをインサイドセールス部門が担うケースが増えてきました。

参考:『Sales Media 【2022版】インサイドセールスとは?基礎知識やメリット・特徴・役割を解説

3.フィールドセールス部門とは

フィールドセールス部門は、顧客先に出向いて自社商品の提案や見積もりをして、契約を獲得することを目標に営業をかけていきます。マーケティング部門やインサイドセールス部門が獲得した見込み顧客の中から、購買意欲の高い人を見つけて営業活動していきます。

マーケティング部門やインサイドセールス部門を設置していない企業では、見込み顧客の発掘から顧客育成、契約の全ての工程をフィールドセールス部門が担っています。

参考:『法人営業応援マガジンホット 【フィールドセールスとは】定義や成果を高めるポイントをご紹介

インサイドセールス部門が設置され始めた理由

近年は、インサイドセールス部門を設置する企業が増えてきていますが、それは何故なのでしょうか?次に、インサイドセールス部門が設置され始めた理由について解説します。

1.サブスクリプションサービスの登場でビジネスが変化した

定額料金でサービスが利用できるサブスクリプションサービスが普及したことも、インサイドセールス部門が設置され始めた理由の1つです。

サブスクリプションサービスは月額料金制で低価格であり、利用者に長期間利用してもらうことで収益を得ています。安価で便利なサービスのため、オンライン上で比較検討されて契約に至るケースが多いです。

このようなサブスクリプションサービスの顧客1人1人に、訪問営業で対応していたら営業活動が非効率となってしまいます。そのため、インサイドセールス部門を設置して、オンライン上での営業活動が始まりました。 

2.コロナの影響で非対面ビジネスが推奨された

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、非対面ビジネスが推奨されたことにより、インサイドセールス部門を設置する企業が増えました。なぜなら、3密回避で従来の営業手法が行いにくくなったためです。

顧客企業がテレワークを導入している場合は、訪問営業をしてもコンタクトが取れません。また、顧客側が感染を恐れている場合、訪問営業してくる担当者に対して不快感を抱いてしまうでしょう。このような時代の変化に伴って、インサイドセールス部門を設置する企業が増えてきました。

3.顧客の購買行動が変化した

インターネットの普及に伴い顧客の購買行動が変化したことも、インサイドセールス部門を設置する企業が増えた理由の1つです。

インターネットの普及により、商品やサービスに関する情報収集を顧客自身ができるようになりました。

企業に直接お問い合わせする際は、購入予定だったり候補商品を絞り込んで比較検討している段階だったりする方が増えました。そのため、顧客を待っているだけでは、商品を購入してもらいにくくなってきているのです。

顧客に商品を購入してもらうためには、購買意欲が低い段階から、メールや電話でアプローチしていく必要があります。このような背景により、各企業がインサイドセールス部門を設置し始めました。

参考:『Inside Sales Magazine インサイドセールスはトレンドの営業手法|理由や導入手順を説明

インサイドセールス部門とフィールドセールス部門を連携するコツ

インサイドセールス部門を設置する場合、どのようにフィールドセールス部門と連携させれば良いのでしょうか?ここでは、インサイドセールス部門とフィールドセールス部門を連携するコツをご紹介します。

1.役割分担を明確に決める

インサイドセールス部門とフィールドセールス部門を連携させる場合は、役割分担を明確に決めておきましょう。一般的に書く部門の役割は、以下の通りになります。

[各部門の役割]

  • インサイドセールス…リスト作成・アポイントメント獲得・要望ヒアリング
  • フィールドセールス…営業先訪問・商談・契約 

また、どのような顧客を引き継ぐのかを具体的に決めておくと「受注確度の低い見込顧客をパスされた」などの問題を防げます。

2.部門間で情報共有を行う

インサイドセールス部門とフィールドセールス部門で情報共有を行えば、業務効率化が図れます。顧客情報や案件進捗状況を共有する他、担当者が得た知識を共有しておくことで、円滑に業務を進めていけます。ナレッジを共有しておけば、組織全体の営業力のボトムアップも可能です。近頃は、お客様との通話内容を録音したデータを保存して共有する動きも出てきています。

3.ITツールを導入して体制強化する

インサイドセールス部門とフィールドセールス部門を上手く連携させるために、ITツールを導入しましょう。CRMシステム(顧客管理システム)やSFAツール(営業支援ツール)を導入して、顧客情報や案件進捗状況を管理しておけば、いつでも状況が把握できるようになります。ITツールを活用すれば、報告・連絡・相談の手間が省けるため、 部門間連携が上手くいきやすくなります。

参考:『Accel インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは?分業のメリットや連携のコツを解説

インサイドセールスとフィールドセールスの違いに関する質問

最後に、インサイドセールス部門とフィールドセールス部門の違いに関して、よくある質問をご紹介します。

Q.1 インサイドセールス部門の立ち上げに向き・不向きはありますか?

A:インサイドセールス部門とフィールドセールス部門を起ち上げて、営業の分業化をするのに向き・不向きがあります。一般的に安価な商材やサブスクリプションサービスなど、インターネット上で商品を比較検討して購買まで決めるものは、営業の分業化が向いています。

向いている商材 向いていない商材
安価な商材

サブスクリプションサービス

不動産・保険

高額な商材

大規模システム

特注商品

(※不動産・保険は高額商材ですが、商品の比較から契約までの期間が長いため、インサイドセールス部門が顧客育成した方が成約率は上がります。そのため、インサイドセールスが向いている商材に含めています。)

Q.2 コロナ禍でもフィールドセールス部門は必要ですか?

A:フィールドセールス部門の立ち上げは必須ではありません。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、非対面ビジネスが推奨されて訪問営業がしにくくなりました。感染リスクが高いことから対面を断られてしまうこともあります。このような時代の変化に伴い、インサイドセールス部門を設置する企業が増えました。

インサイドセールス部門の役割は、各企業で異なります。顧客の見込み度を育成して、購買意欲を高めてから、フィールドセールス部門にパスするまでを仕事内容に定めている企業が多いです。その一方で、顧客の見込み度の育成から商談、契約獲得までを仕事内容に定めている企業も存在します。

株式会社インターパークの独自調査では、インサイドセールス部門が商談まで行っている企業は、6割と述べられています。そのため、フィールドセールス部門を設置せずにインサイドセールス部門だけで営業活動を完結させることも可能です。

参考:『KAAAN フィールドセールス|インサイドセールスとの違いや役割を徹底解説』 

Q.3 インサイドセールス部門の導入率はいくつですか?

A:2020年にHubSpot Japan株式会社が独自調査した結果によると、36.4%の企業がインサイドセールス部門を設置していると述べられています。そのうち、直近1年以内に導入した企業が46.9%です。

また、同調査では顧客側の意識調査も行っており「訪問営業より非訪問営業の方が好ましい」と回答する方が多いという結果になりました。この調査結果から分かるように、ここ数年でインサイドセールス部門を設置する企業が増えているのです。

さらに、新型コロナウイルス感染拡大防止で非対面型ビジネスが推奨されていることからも、様々な業界、特に大手企業を中心に積極的に採用されてきています。

例えば、保険業界においては、東京海上日動火災保険やアフラック生命保険株式会社、第一生命保険株式会社などがインサイドセールスを戦力として導入してきています。

(※詳しくはこちらの記事「保険業界はインサイドセールスで商品提案をする時代へ」を

ご参照ください。)

 

製薬業界においても医療機関への訪問自粛がされた影響により、大手製薬会社を中心に、インサイドセールスの積極的な導入と営業プロセスの分業化がなされてきています。

(※詳しくはこちらの記事「製薬業界におけるインサイドセールスの現状」を

ご参照ください。)

 

参考:『HubSpot Japan 【2022年版】インサイドセールスに関するデータ集

まとめ

今回は、インサイドセールスとフィールドセールスについて解説しました。ビジネスモデルや消費者行動の変化により、従来の営業部門を「インサイドセールス部門」と「フィールドセールス部門」に分けて業務効率化する動きが出てきています。

インサイドセールス部門を立ち上げる企業は3社中1社と、続々と企業で導入が始まっている現状です。ぜひ、営業力強化を考えている方は、これを機会に営業業務の分業化を検討してみてください。